フリーランスの廃業率が高いって本当?
中小企業白書によると、個人事業主として開業した人の約4割が1年以内に廃業しています。2年で約半数にまで落ち込み、10年後まで生き残れるフリーランサーは1割しかいません。
フリーランスの廃業率が高いのは、公的に事実として見ることができるのです。
企業でも10年以内に90%以上が消える
ここで注視しておくべきなのは、廃業するのはフリーランスだけではないという点です。企業であっても、10年以内に90パーセントが消えていくというデータがあります。
リッチ・シェフレンという米国の起業家によると、
最初の5年間で80%のビジネスが廃業し、残ったビジネスのうち80%が次の5年間で廃業する。この結果、ビジネス全体の4%しか生き残ることができず、96%が廃業する。
という試算があるそうです。それくらい、仕事と言うのは個人であれ企業であれ廃業の可能性に苛まれているということになります。
うまく行かない時、廃業も選択肢の1つ
フリーランスは、会社員時代と比べハイリターンな面があります。休日だけではなく、自分の実力次第で稼ぎは会社員の比ではないこともあるでしょう。その代わり、それ以上に極めてハイリスクな立場であるということも忘れてはいけません。
今好調のフリーランスであれ、常に「廃業」がちらついていることは何ら変わりはありません。上記の数値から見ても、事業というのは成功するよりも失敗する可能性のほうが高いというのが分かるでしょう。成功体験は人の判断を鈍らせます。明らかに失敗が目に見えていても「せっかく軌道に乗っているのに」と思い廃業をためらうことが結果として、最悪の事態を引き起こしかねないのです。
仕切り直しや再就職もアリ
廃業は、収入面を安定させるための再就職をすることで、生活設計をしやすくなるというメリットもあります。また、今は大幅な働き方改革も行われています。会社によっては副業も認可してくれる場合もあり、次に独立してフリーランスとして生活していくための仕切り直しにもなります。
廃業のための手続き
廃業した場合は、どういった手続きが必要になるのでしょうか。必要な書類は何なのか、その書類を出すタイミンブについても事前に確認しておきましょう。
廃業届等の提出
廃業する場合にも、届出を出さなければなりません。フリーランスを廃業する場合『個人事業の開業届出・廃業等届出書』に必要事項を記入し、廃業した日から1カ月以内に税務署に提出します。これまで青色申告を行っていた場合は、『青色申告の取りやめ届出書』を提出することになります。下記は、それぞれ必要な場合に応じて提出します。
- 消費税を納めていた場合:事業廃止届出書
- 給与を支払っていた場合:給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
確定申告、個人事業税の支払いは必要
廃業したその年も、確定申告はしなくてはなりません。廃業申告の時期がずれ込むと確定申告をしても経費として認められない可能性もありますので、年末に廃業するように設定して、その年中に経費関連はすべて計上してしまうのが効率的だと言えるでしょう。
個人事業税についても、廃業にかかわらず支払いの義務は生じます。例年であれば今年の事業税は来年に支払うものですが、廃業した年については異なります。前年に加えて、当年の事業税も支払う義務が発生します。
事業承継の場合は手続きも多い
個人事業主が他人へ事業承継をする場合、個人事業に必要な事業用資産を譲渡することで、事業承継とみなされます。個人事業では、現預金、棚卸資産、固定資産なども個人が所有しています。そのため、法人が行う事業承継よりも煩雑な手続きを要するでしょう。
できるだけ早い段階から、弁護士・税理士や事業承継のサポートをする業者などに相談することも視野に入れつつ、計画的に準備しておきましょう。取引先への対応
何の通達もなく突然事業を廃業させてしまうと、取引先とのトラブルを引き起こす可能性があります。
事業が廃業・承継したことを、取引先へ連絡するのを忘れないようにしてください。
取引がある企業、担当者へ挨拶
取引先との円滑な業務終了や事業引き継ぎに掛かる時間を考えて、廃業日・事業譲渡日は猶予ある日程にします。取引先への挨拶や報告など、廃業したとしてもマナーは忘れずに最後までしっかりとした取引を行ってください。
継続している仕事先には早めに廃業を報告
あなたしかできないわからない仕事がある場合、一時的に業務がストップしたり、廃業しても処理に追われたりなど、トラブルのもとになる可能性があります。フリーランスとして長くお付き合いをしている仕事先がある場合、早い段階で状況を共有し、未完了の仕事がないようにしましょう。
まとめ
自身の腕がすべてとなるフリーランスは、給与アップなどのメリットも多い一方、ちょっとしたことがきっかけとなって廃業してしまうデメリットもあります。
継続が難しいと判断した場合は廃業も一つの手段ととらえ、将来へ向けての新たなスタートとしましょう。