2019年2月12日、「弥生会計」の弥生株式会社と、フリーランスやパラレルキャリアを支援する団体「フリーランス協会」が、確定申告セミナーを共同開催しました。

事前申し込みの時点で、用意された60名の定員が満席となり、80名に増席。さらに、当日はFacebookのライブ配信も行われ、会場とオンラインを合わせて140名が参加しました。
講師を務めたのは、弥生株式会社マーケティング部担当マネジャーの岡部毅さん。セミナー開始前には、会場内の席が隣の人と自己紹介をする時間が設けられ「確定申告は初めてですか?」「どんな仕事をしていますか?」など、笑顔で会話する様子が見られました。

はじめは少し緊張感があった会場内でしたが、自己紹介後は雰囲気も和らぎ、セミナーがスタート。「フリーランス & 副業デビューのための確定申告セミナー」と題された通り、セミナー内容は「そもそも確定申告って何?」「青色申告と白色申告の違い」など、確定申告の基礎部分が主でしたが、節税の方法や制度改正まで、少し踏み込んだことも説明されました。
セミナーの内容は以下の通りです。
- 確定申告って何?
- 青色申告と白色申告
- 青色申告をするためには
- 青色申告決算書と確定申告の書き方
- 申告前に押さえておきたいポイント
- 税金を少しでもやすくするためには?
- 年内に準備をはじめるメリット
- 「◯◯は経費になる or ならない」クイズ
- 平成30年一向の確定申告の制度改正
また、本セミナーでは、白色申告よりも控除額が大きく、メリットの多い青色申告について特に詳しく解説されました。セミナーで紹介された青色申告のメリットについて、以下に列挙しましょう。
青色申告のメリット
- 青色申告特別控除(最高65万円)が受けられる
- 事業の赤字を3年間繰り越せる
- 家族の給与が必要経費として計上できる
- 自宅開業なら家賃や光熱費も必要経費になる
- 30万円未満の固定資産を一括で経費にできる
このように、メリットが多い青色申告ですが、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければならない、「青色申告決裁書」を作成・提出しなければならないなど、白色申告と比較して手間がかかります。
しかし、岡部毅さんは「手間はかかるが恩恵は大きいので、ぜひ青色申告に挑戦してほしい。一度覚えてしまえばそんなに大変なものでもありません」と述べていました。
セミナーの最後には、質疑応答の時間が設けられ、オンライン上に投稿された質問に回答。面白い質問や判断が難しい質問も多数あったため、その中から三つ、回答とともに紹介します。
質問①:雑誌やブログの記事執筆のため、トレーニングジムのパーソナルトレーニングを受けましたが、これは経費になりますか?
回答:個人事業主の場合、福利厚生費としてパーソナルトレーニングの料金を経費に計上することは難しいです。反面、事業(本業)のためにかかった経費としてなら、認められる余地があると考えられます。
1、2記事程度であれば、事業として認められるのが難しいため、経費には計上できないと思いますが、筋トレに特化したブログを運営しており、そこからある程度の収入を定期的に得ているのであれば、事業として認められる可能性があるので、経費に計上できると思います。
質問②:12月に働いた分の業務委託収入・給与が1月に振り込まれます。これは昨年分または今年分のどちらで確定申告すればよいですか?
回答:業務委託収入として受け取っている場合は、今年の1月に振り込まれるとしても、12月分としてわかっているのであれば、昨年分の所得として計上します。
給与として受け取っている場合は、今年の1月に振り込まれた給与は、昨年分の確定申告の対象にはなりません。今年分の確定申告の対象となります。(※1)毎年末に会社側から受け取る給与所得の源泉徴収票でも、「(給与の)支払金額」は「実際の支給日ベース」で計上されているはずです。
業務委託収入、給与とで確定申告の対象となる年度が異なりますので、どちらの扱いかわからない場合は、支払先の会社に確認することをおすすめします。
質問③:交通費精算ですが、電車を利用する際はSuicaにチャージしています。これはチャージした時点で経費になるのでしょうか。
回答:チャージの時点ではなく、実際に「乗車した日」に経費になります。そのため、日々どこからどこまで行ったのか記録しておき、その使った分を交通費として経費に計上しましょう。
いかがでしょう。ちょっと悩むような質問もあったのではないでしょうか。

確定申告の基礎から手続きの方法まで、非常に丁寧に解説する本セミナー。今年フリーランスとして独立をする方や、副業・複業を考えている方は、次回の開催時にぜひ参加してみてはいかがでしょうか。