Offers MGRの導入背景と組織の課題
Offrs MGRの導入は2022年11月とのことですが、まずは導入の理由から教えてください。SlackやNotionなどを通じて組織内のメンバーの動きやコミュニケーション量を可視化ができることです。これによって、他のSaaSでは発見できないような課題を発見できたり、その改善アクションの結果を可視化できるところに魅力を感じて導入しました。
当時、具体的に何か組織課題があったのでしょうか?明確な課題があったわけではないのですが、特定の人物がコミュニケーションのハブになることで負荷が集中してしまったり、チーム内で自律的な対話や議論が生まれていないこと。さらにチームによってコミュニケーションの量と質に差分が出てしまっていることなど、潜在的な課題は体感として多少ありました。
人員が増えてきたことも背景としてあるのでしょうか?それはあると思います。エンジニアの人数は現在35人ほどですが、昨年11月にOffers MGRを導入した時点では30人程度でした。それ以降、毎月1人以上のペースでエンジニアが増加しており、今後はコミュニケーションの課題がますます顕在化すると考えています。
現状は一部のチームで、課題解決が自律的に回りにくくなるケースが多少出始めているかな?くらいですね。
その出始めている課題には、どう対処されているのでしょうか?EMやPdMが中心になって現状の課題を言語化し、そのうえで各メンバーに対してスクラムやアジャイルをなぜやっているか、私たちの目指す理想の組織を改めて説明することで改善していく部分が多いですね。
なるほど。では現在の開発体制について教えてください。前提として、私たちは「スニダン」という1つのプロダクトを運営しており、日本版と海外版でシステムを分けています。そして開発チームといいますか、いわゆるストリームアラインドチームみたいなものとしては、日本版に3チーム、海外版に1チームの合計4チームで構成しています。
各チームの役割ですが、日本の2つのチームはエンドユーザーが頻繁に使用する機能を、そしてもう1つのチームが社内のカスタマーサポートやロジスティクスチームが利用する機能の開発を担当しています。
領域ごとに役割を分けているのですね!そうですね。ただ完全に役割分担をするのではなく、最近はチーム間で少しずつ越境していくなど、開発の進め方は適宜改善しているところです。今はScrum@Scale(スクラムアットスケール)を少しずつ試しながら、うまくチーム間で連携してユーザーへの提供価値が高い順に着手していく体制を目指して動いています。
そうなっていくと、チーム同士の連携がますます重要になりますので、たとえばAというチーム内だけではなく、AチームとBチーム間のコミュニケーション頻度・量なども考慮すべき課題と感じています。
その部分でもOffers MGRのコミュニケーション可視化には期待いただいているのでしょうか?はい! 特にOffers MGRの直近のプロダクトロードマップを共有してもらったのですが、私たちの求める機能が今後実装されていく予定なので楽しみです。Offers MGRの機能と、私たちが今後目指していく組織体は非常にフィットしていると思います。
コミュニケーション相関図と、CSからのサポートで組織課題をチェック
実際にOffers MGRを使ってみた感想を聞かせてください。コミュニケーション相関図の機能は想像していた以上に可能性を秘めていますね。
何となく「この人に負荷が高そうだ」という感覚は、日々のSlackを見てるだけでも明らかなのですが、Offers MGRによってそれが数値化できたのは興味深いです。
具体的にはエンジニアのAさんだけがPdMとのコミュニケーション量が多く、他のエンジニアはPdMやエンジニア同士とのコミュニケーションが少ないというケースです。
もちろん一概にそれだけで良し悪しは判別できませんが、可視化されたコミュニケーション量を見ながら改善アクションをしていくことで、振り返りも容易になると期待しています。
ありがとうございます!一方でOffers MGRに対して気になる点はございますか?まだまだサマリーというか、大枠の部分のみが可視化されているので、細かな改善のHowを出すためのデータがまだまだ可視化しきれてないと感じています。
ただ、そのポイントはいずれ機能追加されることで埋めていけると思いますので、短期的にはOffers MGRのカスタマーサクセス(以下、CS)からのレポートや、日々のサポートをいただきつつ模索しているところですね。
CSからはどんなレポートを?Offers MGRで計測できる数値と、Offers MGR上には出てない数字を整理してくれています。CSとの定例MTGの中で現状の課題を一つ一つ確認し、今後の組織改善につなげているところです。
全員リードエンジニア。自律した組織を目指して
御社の開発チームのバリューに「全員リードエンジニア」という言葉がありますが、「自律性」という言葉が今回のキーワードとしてある印象を受けました。やはりソフトウェアエンジニアの本質的な能力というのは、課題解決力。それに再現性があればなお良いと思います。課題解決力のなかに課題を発見することも含んでいますが、その課題解決力を全員が高いレベルで持っていることが、強い組織に直結すると考えています。
つまり、特定のリーダーだけが改善を担うよりも、全員で改善に動ける組織・チームの方が、プロダクトを成長させる上では最も成果が出せると考えています。
「スニダン」というプロダクトは短期間で成長している印象がありますが、「全員リードエンジニア」というバリューがその原動力にもなっていそうですね。それはあると思います。最近出した大きな機能開発とかも、僕はもう何もしてないんですよ。
それは凄いですね! とはいえ、実際のコミュニケーション相関図では林さんにコミュニケーションが集まっている傾向などあるのではないでしょうか?いいえ、それが全然なくて。Offers MGRで可視化したコミュニケーション量の社内ランキングに私は上位に入っていません。10位以内にも入ってないと思います。
そうなんですか?いつの間にか開発が終わってた、みたいなことも最近は多くなっているので、 開発チームの自律性が向上していて本当にすごいと思います。
もし「全員リードエンジニア」の考え方のもと、課題解決力を全員が高めていこうとしていなければ、私やCTOがボトルネックになってたかもしれないと思いますね。
そこは採用時に自律した人が最初から入ってきてるところが大きいでしょうか?それも大きいです。各開発チームがどうやって開発していくかとか、どうやって改善していくかという意思決定をチーム内で自律的に考えているので、コミュニケーションもチーム内で完結していることが多いんです。
PdMに負荷が寄ってしまう課題は別であるのですが、基本的には開発のサイクルはチームごとに自律してまわっているので、Slackチャンネルで行われている日々のプロダクト開発のコミュニケーションには私は入っていません。
Offers MGRの機能で組織の未来を描いていく
いま林さん個人が一番注力して取り組んでることは何ですか?組織開発が最近のメインです。どうやったらもっとフルサイクルに動ける組織になるのか、そのためにはPdMやデザイナーを含めた開発組織の体制や開発プロセス、チーム構成は何がベストなのかを検討しています。
さらにチームビルディングや、1on1を通じてチームの課題解決力を高めていくにはどうすべきかなどを日々考えています。
そこでもOffers MGRは役立ちそうでしょうか?はい、チーム内のコミュニケーションと、チーム外とのコミュニケーションをしっかり区別しつつ両方を可視化することで、私たちの目指す理想の組織に近づいていけると考えています!
チーム内のコミュニケーションが適切に回り、かつチーム外とのコミュニケーションは少ないことが理想ですが、チーム外の特定の人とコミュニケーションが極めて多い場合、もしかしたらチームの境界が間違っているかもしれないとか、この「チーム外の人」は同じチームにした方がいいのでは、という議論ができるので、組織デザインの検討の際にも非常に重要なツールにもなると期待してます。
さらに今後の期待でいきますと、NotionのAPIもアップデートされているので、Offers MGRで可視化・分析できる部分が今後増えていくようでしたら、Notion上でも新たな課題の発見ができると思います。あとは、Googleカレンダーとの連携機能(※)も早くほしいですね!
※編集部注釈:Googleカレンダーは2023年秋に機能実装予定。 最後に、「スニダン」は、国内海外含めてどういうようなプロダクトに成長していくか教えてください。注力ポイントはC2C、B2C、海外展開と大きく3つあります。
C2Cでは、他のフリマやECサイトで偽物をつかまされてしまったり、品質が悪いモノが届いてしまうというような残念体験をもっと減らしたいと思っています。これまではスニーカー、ストリートウェア、ハイブランド、トレカといった一部のジャンルに限定していましたが、今後はジャンルの取り扱いを拡大していきたいです。
続いてB2Cでは、SODAのミッションである「世界中が熱狂する次のマーケットプレイスをつくる」で掲げている「次のマーケットプレイス」はC2CとB2Cが混ざり合っていると思っていて、取り扱いブランドを拡大するだけでなく、ブランドさんと共同でデジタルコンテンツの開発をしたり、日本発のブランドの海外展開を協力させていただいて国内だけでなく海外でも人気を獲得するようなサポートをできたらと思っています。
海外展開は、C2CとB2Cの掛け算だと思っていて、海外では日本限定の商品ニーズが強くあるので、日本限定の商品が海外でもより一層買える状態をつくっていきたいですし、日本発でまだ世界では知られていないブランドに光が当たるようにしていきたいと思っています。C2C、B2Cの成長が海外展開にも密接につながっているので、C2C、B2C、海外展開のそれぞれの領域でどれだけ絡めながらやり切れるかがポイントだなと思っています。
そうなると、各領域におけるチーム強化もさらに求められそうですね。はい、各チームが自律して動いていかないと早い成長は望めませんし、それを実現させるためには「人と人のコミュニケーション」がより大事になります。先ほどの繰り返しにはなりますが、コミュニケーション量を可視化するOffers MGRの今後の進化には期待しています!
ありがとうございました!