個人事業主が廃業するときの手続きとは。必要書類と流れについて

個人事業主が廃業するときは、廃業届を出すことになります。また、青色申告の取りやめ手続きも必要です。滞りなく進めるためにも廃業に関わる手続きの流れを把握しておきましょう。個人事業主の廃業に必要な書類について解説します。

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廃業時に必要な手続き

個人事業をたたんで廃業するときは、届け出を2カ所に提出する必要があります。また、青色申告の取りやめ手続きも必要です。廃業するのに必要な手続きについて解説します。

廃業届を2カ所に提出

廃業するにあたり、『税務署』と『都道府県税事務所』の2カ所に書類を提出する必要があります。

税務署に提出するのは『個人事業の開業・廃業届出書』で、税務署で受け取るほか、公式ページからのダウンロードも可能です。

都道府県税事務所に提出する書類は、提出先により異なります。

東京都の都税事務所の様式は『事業開始(廃止)等申請書』と呼ばれる書式ですが、大阪府税事務所では『事業開始・変更・廃止申告書』という名称です。それぞれの書類は提出期限も異なりますので、詳細をしっかりと確認してください。

  • 個人事業の開業・廃業届出書:廃業後1カ月以内
  • 都道府県税事務所に提出する書類:提出先により異なる(東京都の場合は廃業後10日以内)

都道府県税事務所に提出する書類の提出期限は、東京都では具体的な日数を設けていますが、大阪府では『遅延なく』と具体的な日数がありませんので、提出先によって様々です。

提出先のホームページなどで期限を確認して、滞りなく提出しましょう。

青色申告の取りやめ手続き

青色申告をしている場合は、『所得税の青色申告の取りやめ届出書』の提出が必要です。所轄の税務署に書類を提出することになります。

提出期限は青色申告を取りやめようとしている年の翌年の3月15日。つまり確定申告の期限と同じです。開業届を出すときに、青色申告承認申請書も提出する人がほとんどだと考えられますので、青色申告の取りやめに関する手続きも忘れずに行いましょう。

榎本希

個人事業主が廃業する際に提出する書類のほとんどは開業時の書類と同じです。

「開業」か「廃業」かの項目の違いだけであり用紙自体は同じものになります。

  • 税務署へ提出する書類

①廃業届(開業届と同じ用紙)

②青色申告の取りやめの届出

③事業廃止届(消費税の課税事業者及び課税事業者を選択している場合)

  • 都道府県税事務所へ提出する書類

①事業開始(廃止)等申請書(開業じと同じ用紙。都道府県により名称は変わります。また、提出期限も都道府県により異なります)

この4つの書類を提出すれば廃業の手続は完了です。

あとは屋号付きの銀行口座があるような場合には口座の解約が必要になります。

廃業届の書き方

ここからは廃業届の書き方を解説します。書類は開業届と同じものを使用しますので、開業手続きを行った人にとっては一度目にしたことのある書類のはずです。

記入のポイント

廃業届の記入項目は、上から順に12カ所あります。

  1. 個人事業の廃業届(開業の部分を二重線で消す)
  2. 〇〇税務署長殿(提出する税務署名を記入)
  3. 提出年月日
  4. 納税地(自宅や事務所の住所を記入)
  5. 氏名・押印(印鑑は認め印でも可能)
  6. 職業
  7. 屋号
  8. 届出の区分(廃業を囲み、理由を簡潔に記入)
  9. 所得の種類
  10. 事業等を廃止した場合
  11. 廃業事由が法人の設立に伴うものである場合(設立した法人名などを記入)
  12. 廃業に伴う届出書提出の有無

以上の項目をそれぞれ記入していきます。届出の区分の欄で、廃業理由を書くときは『自己都合による廃業』や『法人成りのため』など簡潔に書きましょう。

不明な場合は所轄の税務署に行くと、担当者が記入をサポートしてくれます。時間があれば活用してみてください。また、個人事業の開業や廃業に関する書籍も販売されているため、それらを参考にすることで書類作成は十分に可能です。

マイナンバーと本人確認書類が必要

廃業届を提出するときは、『マイナンバーを証明する書類』と本人確認のための『本人確認書類』が必要です。開業届の提出と同様に窓口にて必要となりますので、忘れずに用意しましょう。

マイナンバーを証明する書類とは、マイナンバー通知カードなどです。本人確認書類は運転免許証やパスポートなどが該当します。『マイナンバーカード』があれば、両方の役割を果たしますので便利です。

榎本希

廃業届の書き方も基本的には開業届の書き方と同じです。

提出した開業届の控えを参考にしながら書き、廃業の理由についてはその理由を簡潔に記載しましょう。

提出も開業届の際と同様にマイナンバーを証明する書類と身分証明書を持って税務署へ提出するか郵送します。

廃業のタイミングと流れ

廃業に関する手続きの概要がつかめたところで、提出の流れを確認しましょう

廃業日を決める

まずは廃業日を決定することからはじめます。取引先との円滑な業務終了や引き継ぎを考えて、余裕を持った日程にしてください。

早い段階で状況を共有することでトラブルの防止につながります。また、事業をたたむ場合なら取引先への挨拶や報告など最低限のマナーを忘れないようにしましょう。

特に地域に根ざした個人事業主であれば、突然廃業すると取引先を混乱させる可能性があります。ゆとりある廃業日の設定をしてください。

書類提出などの手続き

取引先とのやり取りなどが落ち着いてきたら、書類の提出に移りましょう。廃業届や青色申告の取りやめ手続きの他にも、いくつか提出が必要な書類があります。

  • 事業廃止届出書(消費税を支払う課税事業者の場合)
  • 予定納税額の減額申請書(予定納税の場合)
  • 給与支払事務所の開設・移転・廃止の届出書(従業員がいた場合)

上記で示した3つの書類は全て、所轄する税務署に提出するものです。また、業種によって提出書類がさらに追加で必要となる場合があります。例えば、飲食店なら保健所に『食品営業許可証』を返却します。

接骨院は保健所に『施術所廃止届出書』を、宅建業ならば所轄する県土整備事務所にも『廃業届』を出してください。

個人事業税の納税

廃業するにあたり、個人事業税には注意が必要です。個人事業者の事業税は、前年の事業所得で決まりますが、廃業した年に関してはその年の分も個人事業税を支払います。廃業から1カ月以内に個人事業税の申告と納税をしてください。

榎本希

個人事業主が廃業する場合は法人化する場合と事業自体を辞める場合がありますが、いずれにせよ取引先に迷惑をかけないように予め廃業の日を挨拶とともに伝えておきましょう。

法人化する場合には法人化のタイミングに合わせて廃業することになります。

また、スムーズに廃業手続をするために提出書類や業種により必要な手続の準備をしておきましょう。

許認可を得て開業した場合には廃業の手続も行政書士に依頼するというのも手続の手間を省く事になります。

廃業に関する疑問点

最後に廃業届に関する疑問点を3つ取り上げます。個人事業の廃業に関して重要なポイントなので、あらかじめ把握しておきましょう。

書類提出は郵送でもOK?

廃業届は所轄の税務署に提出しますが、様々な理由で窓口に直接出せないこともあるでしょう。その場合は、郵送による提出も可能です。

書類の書式は変わりありません。廃業届の控えがほしいときも郵送になりますので、返信用封筒を入れるようにしてください。控えが返送されると、提出物が正しく受理されたことの証明にもなり安心できるでしょう。

また、郵送の場合も、先ほど解説したマイナンバーが確認できる書類と本人確認書類が必要です。コピーを台紙に貼り付けて同梱してください。

廃業手続きにかかる費用

法人の場合は、廃業するために様々な登記費用がかかります。では、個人事業主が廃業する場合に、登記費用などは必要なのでしょうか?

その心配はありません。開業のときと同じように、廃業にかかる登記費用などはありません。書類を滞りなく提出するだけで完了します。かかる費用といえば、郵送で送る場合の切手代などの諸費用だけです。

再開したい場合は開業届の提出から

廃業した後に、再び個人事業を再開したい場合は開業届が必要です。青色申告の取りやめ手続きをした場合も、青色申告承認申請書の再提出となります。

「事情により個人事業を続けられないが、いずれは再開したい」という考えなら『休業』という選択も可能です。この場合は特に書類の提出の必要はなく、休業中も確定申告を毎年行えば、青色申告の承認が引き継げます。

もちろん、休業中は収入がないので所得0円で申告します。貸借対処表は変更なし、損益計算書は0円で申告する流れです。毎年の確定申告が面倒でなければ、休業を検討してみても良いでしょう。

榎本希

廃業届の提出は郵送でも行う事ができます。

郵送で行う場合には書類に必要事項を記載し、身分証明書のコピーを同封して税務署に提出します。

個人事業主は法人ではないので費用はかかりません。

廃業後に事業を再び始めたい場合には、再度開業届を提出して事業の再開をします。

まとめ

個人事業を廃業するには多くの書類が必要です。廃業届と青色申告の取りやめ手続きが主体となりますが、業種や事業主の都合により付随する書類もあるので確認が必要です。

廃業日の設定には余裕を持ち、取引先と円滑なやり取りをしてから廃業しましょう。廃業後は個人事業税の納税に注意が必要です。廃業する年に申告と納税をしましょう。

廃業届の提出は郵送でも可能ですが、返信用封筒やマイナンバー確認書類、本人確認書類のコピーを忘れないようにしてください。

榎本希 [監修]

医療機関・医大の研究室にて長年勤務をした後、行政書士試験を受験。医療系許認可をメインに扱う行政書士として、行政書士のぞみ事務所を開業。再生医療関係の許認可・診療所開設・医療広告ガイドラインに基づく医療広告のチェック等の他、任意後見・契約書作成・起業支援を扱う。

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