個人事業主の業種は税金に関わる
個人事業主となると、地方税のひとつである『個人事業税』を支払うよう通知が届きます。これは、会社でいうと『法人税』に当てはまるものです。
ある程度の収入を得られる場合に、会社の拠点となる住所地の都道府県に納める必要があります。個人事業主であれば全員該当するわけではなく、支払い義務を課せられているのは、70の法定業種の事業主のみです。
個人事業税の税率が業種により異なる
法律に定められた70業種の個人事業主であっても、全員が同じ税率を課されるわけではありません。業種と税率については、後に詳しく説明します。
また、70もの業種が定められているため、たいていはこのうちの一つに当てはまることになりますが、特殊な業種であれば、この地方税法の定める法定業種に入っていない可能性もあるため、1度個人事業税の支払いが必要かどうか確認してみるといいでしょう。
確定申告の際に記載が必要
職業や業種は『確定申告』の際に、職業欄・業種欄に記載する必要があります。職業欄は個人事業主であれば『自営業』になるでしょう。
業種欄は、業種がわかっていればそのまま書けばいいのですが、自分の仕事が何業に当てはまるのかハッキリわからない場合も少なくありません。
そんなときは、何をやっているのか税務署に伝わるように仕事の内容を書きましょう。実は、確定申告の業種欄は記載の方法に決まりはないのです。たとえば、アウトソーシング業、フリーライター業などとしておけば問題ありません。
要は、税務署の方で課税・非課税業種の振り分けと税率の判断ができる内容であればよいのです。
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実際の業務内容で判断される
税務署での業種判定は、実際にどのような仕事をしているかによって決められます。開業届に『画家』としていても、仕事の内容がイラストを描くものが多い場合は『イラストレーター』であると判断されるでしょう。
ちなみに、画家には個人事業税は課せられませんが、イラストレーターは個人事業税のかかる事業のうち、第3種事業に含まれるため3%の税金がかかります。
榎本希
法定業種は第1種事業から第3事業に区分されています。
第1種事業は全部で37業種、第2種事業は全部で3業種、第3種事業は全部で30業種となっています。
なお、年間の事業所得が290万円以下である場合には個人事業税はかかりません(年度途中の開業の場合には開業月数で変わります)
代表的な業種と税率
個人事業税は所得金額に応じて決定された税金を都道府県に納めます。実際の業務によって業種が判断されるとはいえ、納める必要のない個人事業税を払うことになるリスクは避けたいものです。
会社勤めをしている人だといまいちなじみのない『税率』ですが、個人事業主として働くことを考えているのならば、自分の業種が何になるのか確認しておく必要があるでしょう。
課税対象の業種は3種類
法律に定められた70業種の中でも、さらに業種によって税率が変わります。業種による税率は以下のとおりです。
- 第1種事業:5%
- 第2種事業:4%
- 第3種事業:3%
第1種事業は37業種あり、物品販売業・保険業・製造業・運送業・出版業・飲食店業などが挙げられます。多くの事業主がこの第1種事業に当てはまるのではないでしょうか。
第2種事業は畜産業(農業に付随しないもの)・水産業(小規模な事業を除く)・薪炭製造業(他から原木を仕入れる場合も含む)の3業種のみです。
第3種事業は30業種あり、医業・薬剤師業・弁護士など各種士業・コンサルタント業・デザイン業・美容業などが挙げられます。フリーランスはこの第3種事業に当てはまることが多いでしょう。
他の業種は非課税
上記に述べた3つの事業に含まれていない業種は、個人事業税の対象ではありません。具体的には下記のような業種があります。
- 農業
- 通訳翻訳業
- 文筆業
- 漫画家
- 画家
- 作詞家
- 作曲家
- 芸能人
デザイン業やイラストレーター業は第3種事業に含まれているものの、多くの芸術系の事業が非課税となっています。こうした芸術系職種や今までにない職種で事業を立ち上げた場合はどこに分類されるかわかりにくい場合が多いでしょう。
各都道府県のHPで確認しても課税の対象であるかどうかわからないようであれば、電話などで問い合わせすることをおすすめします。
榎本希
ほとんどの事業が法定業種に該当しますが、副業やフリーランスで最近多い
- ライター
- システムエンジニア
- プログラマー
などは法定業種に該当しないので非課税になります。
とはいえ仕事内容によっては請負業と判断されてしまう場合があり、その際には個人事業税が課税されてしまいます。
業種に関する注意点
スムーズに業種がわかればいいですが、どういった働き方をするのかは人によってさまざまです。また、途中で業務内容を変更したり、追加したりすることもあるでしょう。
細かい注意点ではありますが、税額や手続きについて迷うことの多いケースについて確認しておきましょう。
同じ職業でも税率が異なる場合がある
職種が同じであっても実際の業務内容が異なると、税率も異なる場合があるので注意が必要です。
たとえば、職業が『エンジニア』であっても、片やアプリ制作で片やシステムエンジニアだったとしましょう。この場合、前者は『製造業』後者は『コンサルタント業』に振り分けられ、税率がそれぞれ5%・3%と異なります。
システムエンジニアの場合、常駐型では課税されないケースが多いです。都道府県により判断が変わるので都道府県に確認すると良いです。
複数の業種を兼業している場合
複数の業種を兼業している個人事業主も少なからずいるでしょう。開業届は主な業種を記入したうえで1枚だけ提出すれば問題ありませんが、個人事業税はどうなるのでしょうか。
この場合、所得の割合によって個人事業税を決定します。総所得から各種控除額を引いた額×事業割合×税率によって計算できるでしょう。
変更したい場合、手続きは不要
これまである業種で開業していたが業種を変更することになった場合、まったく違う業種であれば廃業等届出書や新しい開業届を出すことをおすすめします。
また、これまでの業種に追加して新たな業種での業務を始める場合は、特に変更手続きをする必要はありません。気になるのであれば『事業の概要』欄に業種を追加して記載することもできます。
榎本希
個人事業税は、事業を行っている個人事業主が都道府県に対して支払う地方税のことです。
そのため、個人事業税は都道府県によって事業税の対象であるかの判断や見解が変わってきます。
対象事業に該当するのか分からない場合には都道府県の都税事務所・県税事務所に確認してみましょう。
まとめ
業種は大きく3つの事業に分けられ、自分の職業がどこに分類されるかにより個人事業税の税率が3~5%の範囲内で変わってきます。
新たに開業する際には、課税される法定業種に含まれない非課税業種であるかどうかの確認が必要です。また、同じ職業であっても、実際の事業内容により業種が異なるため、分類がわからない場合は各都道府県に問い合わせましょう。