フリーランスの確定申告
会社員の場合は会社で年末調整が行われており、個人での確定申告の必要はありません。しかし、フリーランスは多くの場合、例外を除き確定申告の必要があります。正しい知識を身に着けて正確に申告しましょう。
確定申告って絶対必要?
確定申告は、年間で38万円以上の所得がある場合に、必要になります。しかし、始めて1年目で所得がなかったり、大きな損失が出てしまったりして決算が赤字になる場合でも確定申告をするメリットは多いです。では、どうして赤字であっても申告したほうが良いのでしょうか。
所得の証明
個人事業主にとって、確定申告をしなければ所得を証明する手段がありません。このことがどう影響するか説明します。
例えば、業務上必要になった車を購入したいとき、一括払いで買うことができれば特に影響はありません。しかし、多くの場合ローンを組みます。そして、その契約をするためには収入を証明する必要がありますが、確定申告をしていない場合、どこからも所得が証明されていない状態になるため、そういった契約が難しくなってしまいます。
繰り越しができる
赤字でも、青色申告であれば確定申告をしておくことによって、その赤字の状態を3年分まで翌年以降に繰り越すことができます。
例えば、1年目に100万円の赤字を申告し、2年目に300万円の黒字になった場合、2年目に支払うべき課税対象額は200万円になります。
エンジニアが気をつけるべき節税
確定申告のメリットがわかったところで、次に節税について見てみましょう。以下に、2種類の節税の基礎知識をご紹介するので、参考にしてみてください。
経費を最大限申請しよう
経費といえば節税、節税といえば経費、というように税金とうまく付き合うためにはどのラインまで経費に含めるかの判断がとても重要です。ここでは、エンジニアとして仕事をしていく上で悩みそうな2項目について、経費に含めることができるかどうか検討していきます。
ハイスペックPCの購入費
まず、エンジニアとして活動する中で必要となるであろう、ハイスペックなパソコンの購入を検討してみましょう。これは価格によって処理が異なります。10万円未満の場合は、全額その年度の経費として処理することができ、それ以上の場合は、減価償却費という項目で経費として一部計上することができます。
パソコンであれば、3年間で均等に減価償却されることになっており、15万円のパソコンを購入した場合、3年にわたって5万円ずつ申請することになります。
パソコン以外にも、車やカメラを業務のために購入する際など同様に適用されます。
出典:減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後取得分)|国税庁
ポートフォリオサイトの運営費
では設備や消耗品以外の出費はどうなのでしょうか。フリーランスで稼ぐためには、仕事をもらえるようクライアントへのアピールが大切です。そのために必要になるポートフォリオサイトについて考えてみましょう。
サイトを運営するためには、サーバー代、ドメイン代、管理費などがかかります。これも、業務上必要なことな出費であるためすべて経費として申請することができます。この場合、広告宣伝費という項目に当てはまります。広告宣伝費にはほかにも、外部へ広告を出したり、紹介サイトの掲載料なども含まれます。
控除を適用しよう
控除とは、様々な条件に応じて、自分に当てはまるものを申請して課税対象額を減らしてもらう、というものです。控除には例えば、配偶者控除や医療費控除などがあり、当てはまる場合は申請をしないと損をしてしまうことになります。
控除には以下の14種類があります。
- 基礎控除
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄付金控除
- 障害者控除
- 寡婦(寡夫)控除
- 勤労学生控除
- 扶養控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
今まで控除に気づかず過払いしていた、という可能性もあるため、注意してチェックしてみるとよいでしょう。
確定申告はソフトで簡単に
新しくフリーランスエンジニアとして活動する人にとって確定申告は1年目の壁とも言えます。いくら節税で支払うお金が減るとはいっても、やはり複雑な確定申告を自力で行うことは面倒ですよね。
そんなときは、惜しまずソフトを使って確定申告を簡単にしましょう。
確定申告freeeを利用する
freeeを利用すれば、クレジットカードや口座と連携して決済を自動で入力してくれたり、スマホでとったレシートの写真から必要な情報を読み取り保存してくれるため、領収書保管の手間が省けて便利ですよね。
また、青色申告と白色申告の両方に対応し、複雑な帳簿も自動で変換してくれます。
他の会計ソフトと比較しても、会計簿記の知識をはじめから必要とせず、初心者にお勧めのソフトです。
まとめ
会社員からフリーランスに転向するエンジニアにとって初めて自力で行わなければならない確定申告は複雑で面倒な作業ではありますが、確定申告をしておくことで、証明書として使えたり、節税によって払うべき額を減らすこともできるため、自動化して上手に付き合いましょう。どうしても面倒という場合には税理士にお任せしてもよいでしょう。