ECサイト作成に必要な要素
『electronic commerce site』の略であるECサイトには、『ショッピングモール型』『自社型』があります。このうち、より自由度が高くランニングコストがかからないのが自社型で、自身の希望に沿ったサイト作りが可能です。
自社型のECサイトを作成する際、必要な要素とは何なのでしょうか。
コンセプト、要件定義
ECサイトを作成する前に必要なのが、サイトのコンセプトや要件を決めることです。まずこの段階では、次の点を明確にしておきましょう。
- どのような人にどのようなことを伝えるか
- どのような特徴をどうやって伝えるか
- その結果、何をコミュニケーションするか
ここで決めたコンセプトや要件定義が、後のプラットフォームやデザインの選択、機能の設置に大きく影響します。思い浮かんだコンセプトや要件は文章などに書き残し、サイトの細かなイメージまできちんと決めておきましょう。
デザイン
ECサイトの集客力に大きくかかわるのがサイトデザインです。
まずはECサイトのラフ画ともいえる『ワイヤーフレーム』を作成し、おおまかな全体像をつかみましょう。
ただし、選択したECプラットフォームによっては、希望のデザインを実現できない場合もあります。理想のECサイトを作るには、事前に『どのECプラットフォームなら、どこまでのことができるのか』を明確に把握しておくことが重要です。
ワイヤーフレームは事前に複数作成し、最初に決めたコンセプトに沿っているものを選択しましょう。
コーディング
サイトデザインが決まれば、イメージした機能やデザインをインターネットブラウザ上で表示できるようにコーディングします。
ただし、この時気をつけたいのが、脆弱性を極力少なくすることです。サイト上に脆弱性があるとサイバー被害に遭いやすくなります。完璧は無理でも、セキュリティに気を配ったコーディングを心がけましょう。
近年は一切のコーディング無しでECサイトを構築できる製品も販売されています。コーディングの知識に乏しい人は、こうした製品を利用した方が手間もかからずスムーズです。
制作費用の相場
ECサイトは大きく分けて4つの構築方法があり、どれを選ぶかによって費用相場が異なります。ECサイト制作費用について見てみましょう。
サイト規模により費用は変動
ECサイト構築は、サイト規模に合わせて以下の4つの方法から選択します。
構築方法 | サイト規模 |
ASP(Application Service Provider) | 小 |
オープンソース | 小、中 |
パッケージ | 中、大 |
フルスクラッチ | 大 |
まず、ASPはオンライン上のシステムを利用してECサイトを構築します。構築費用・ランニングコストともに低く、制作期間も短いのが魅力です。ただし、自社システムとの連携やカスタマイズは困難という弱点もあります。
次のオープンソースは、無償公開されているECサイトの構築システムを指します。カスタマイズしやすく費用もほどほどですが、専門的なプログラミング知識は必須です。
一方、パッケージは開発会社が有償で提供しているシステムです。必要な機能が揃っており、カスタマイズも容易です。ただし、初期費用やランニングコストは高く、バージョンアップにも費用がかかります。
最後のフルスクラッチはゼロからシステムを構築することで、カスタマイズや連携は思いのままです。ただし、構築費用とランニングコストは飛び抜けて高額になるでしょう。
工程ごとに外注する
自力でECサイト作成が困難な場合、工程ごとに制作会社に外注するという方法もあります。例えば、ページデザインを依頼した場合、Topページの費用相場は5~20万円、商品詳細テンプレートなら5~10万円程度です。さらにコーディングの場合もほぼ同額の費用がかかり、すべての工程を合わせると、75~230万円ほどになります。
費用を安く抑えるなら、注力する、しない部分のメリハリを付けることが重要でしょう。
一括で依頼する
ECサイト構築を一括で依頼する場合、どの構築方法を選ぶかで金額は全く異なります。それぞれの相場については以下を確認してみましょう。
- ASP(Application Service Provider):無料~10万円
- オープンソース:10~100万円
- パッケージ:100~500万円
- フルスクラッチ:500万円~
ただし、同じ構築方法でも作成内容によって金額に幅があります。一括で制作依頼する際は、複数会社から見積りを取るのがベターです。
制作時の注意点
ECサイト構築で注意したいのが、費用対効果とセキュリティです。それぞれ、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
費用対効果を考える
ECサイトを構築する際は、かけた費用に対してどのくらいの効果が見込めるかを考慮する必要があります。ただし、サイトにかかる費用を考慮する際は、構築時だけではなく運営にもコストがかかることも忘れてはいけません。
サーバ等システムを維持する費用は、ASPなら月々1~10万円、パッケージやフルスクラッチなら5~100万円程度かかります。加えて、パッケージやフルスクラッチの場合、システムの耐用年数は3~5年です。セキュリティレベルが低下したりソフトウェアの保守期限切れが発生したりする前に、ECサイトそのものをリニューアルする必要があるでしょう。
ECサイトを構築する際は、構築費用、ランニングコストに加えて、リニューアル費用も併せて考慮し、その上で利益が見込めるようなサイト作りが必要です。
セキュリティを疎かにしない
個人情報や金銭をやりとりするECサイトでは、セキュリティを徹底することが重要です。サイト構築の際にコストを抑えたい場合でも、セキュリティだけは確保しておく必要があるでしょう。
サイバー攻撃からサイトを守るための対策としては、顧客情報の送受信を暗号化する『SSL』の導入、管理ページにID、パスワードでアクセス制限を設ける、などがあります。
ハッカーはサイトの大小に関係無く、脆弱性のあるサイトを無差別に攻撃します。被害を避けるには、サイトのセキュリティレベルを常に最高に保つことが必要でしょう。
まとめ
ECサイトの作成は、どのような構築方法を選ぶかで大きく金額が異なります。事前にコンセプトや要件定義を適切に行い、希望に沿うサイトを作成しましょう。
小さなサイトなら個人での作成も可能です。ただし、多様なカスタマイズやシステム連携を望むなら、専門知識のある制作会社に任せた方が無難でしょう。
サイトを作る際は費用対効果等を踏まえて、バランスの良いものを選んでください。