QAエンジニアとしての副業の魅力
▲副業収入で得たもの① QAの実務のときにも役立ちます。
はじめまして、本業ではWebサービスの開発ディレクターをしている中井(@hujuu)です。副業ではQAをはじめ、エンジニアとしていくつかのプロジェクトに関わらせていただいています。
QAエンジニアの副業はまだ多くないと思うので、今回はQAとして副業をするメリットや働き方などご紹介させていただきたいと思います。特に私と同じようなQAエンジニアの方にとって少しでも参考になれば嬉しいです。
QAエンジニアは、副業を始めやすい職種
QAはアウトソーシングするケースが多く、各社とも遠隔地でコミュニケーションを取り合うことが日常的だったため、「副業ニーズにマッチするのではないか?」と以前から感じてていました。
雇用する企業の視点で考えてみても、経験のあるQAマネージャーが在籍するチームであれば、副業として雇う心理的なハードルはそこまで高くないと思います。
また、私がQAエンジニアをいくつかの会社で経験する中で、進め方は会社やプロダクトチームによって異なるルールは多少あるものの、ソフトウェアテスト自体は新しい言語やフレームワークによって大きく変わるものではないと感じました。
担当するプロダクトの仕様把握やテストの粒度などの認識さえ揃えられれば、仕事の準備がだいたい整います。特に類似したプロダクトを扱った経験があれば、キャッチアップまでのコミュニケーションコストはかなり減らせると思います。
QAエンジニアとして必須の「現場経験の広さ」を培える
プロダクトの品質を向上させるために、テスト技法の学習やプロダクト間でのナレッジ共有など、様々なことに取り組まれている方は多いと思います。一般的にはそういった知識を活かし、テストパターンの洗い出しや、ユーザーの利用シーンを踏まえた観点でテストを設計します。
しかし、世の中には大手のプラットフォームの仕様やサービス同士の繋ぎ込み、端末・ブラウザ依存など、体系化された情報にはまだまとまっていない部分で問題が発生する部分が多々あります。
そういったシーンに対して、数々のリリース経験や幅広いプロダクト経験があることで、未然に不具合や障害を防ぐことに繋がります。
こういった経験はなかなか1社で長く同じプロダクトに専属していると培うことの難しいものですが、副業として様々なプロダクトに関わることで伸ばせる可能性があります。副業で培った経験は、かなりの確率で本業に還元できると感じています。
キャリアプランの参考になる
QAエンジニアのキャリアは正直、悩ましい部分が多く、QAマネージャー・QA部長の先に何があるのか、あったとしてもどう舵取りするのかは、度々議論になります。
特に事業会社にいる場合、コスト削減や全体的な品質向上は可能でも、なかなか売上に直結した成果の説明をしにくいという部分があります。
しかし様々な会社を見てみると、QAマネージャーがゴールではないと知ることができます。
自分が知る中ではQAでプロダクトに深くコミットしていく中で、開発エンジニア(サービスそのもののコードを書くという意味で)、PM、プランナー、スクラムマスターなど、様々な職種にキャリアチェンジしている方を見てきました。
プロダクトの品質にコミットする中で「自分の強み」をどこに見出すかによって、その後のキャリアプランが見えてくると思います。
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QAエンジニアの副業案件の進め方
副業のときは契約の際の期待値調整と、契約後の主体性が重要になると考えています。
▲自宅の作業スペース。椅子は変えたい......
案件獲得の際の注意点
まずはじめにQAエンジニアとして経験したプロダクトの種類は、副業先に明確に伝えることが必要だと思います。Web、 アプリ、 IoT、B向け製品、C向け製品など、これまで扱ったことがあるプロダクトの傾向を伝えることで、業務内容が自分のスキルや適正とマッチしているか判断してもらうためです。
例えば、静的なWebサイトを短期的にテストする場合と、会員機能などを持つアプリでアップデート単位が数ヶ月単位で1度のテスト量も多い場合では、テスト設計の複雑性が大きく異なります。この辺のニュアンスや温度感がずれないようにすることが、仕事をする上でお互い幸せになるポイントだと思います。
仕様書確認→実行に至るまでの流れ
仕事が決まると、担当するプロダクトのキャッチアップが始まります。仕様書を始めとして、不具合報告のフロー、チームのメンバーの構成、採用している技術などを把握します。テストの自動化も進んでいるプロジェクトであれば、様々なフレームワークがありますので、どのようなものを採用しているのかも確認をします。
仕様を把握したら、次期アップデートや不具合修正のリリースなどを目標に、テスト設計、項目作成、スケジューリング、テストの実行、報告を一貫して進めます。
仕事を作る意識が大切
副業であっても仕事を自ら作る意識を持つことは重要です。大切なのは、担当するプロダクトをよりよいものにするために必要なことを考え、必要なタスクを自ら作り出していくこと。テストベンダーとは違う存在感を発揮することが、「単なる外注」ではない副業メンバーとしての価値だと思っています。
QAエンジニアが副業として求められること
▲副業収入で得たもの② 家族旅行で南国に
QAエンジニアが副業として求められるのは、体制づくりや副業先にない知見・経験です。
QAチームの立ち上げ
副業としてのQAエンジニアは、QA組織の立ち上げ期や、QA組織内でテストの自動化やテストツールの検証など、新しい取り組みに挑戦したいタイミングに求められやすいのではないでしょうか。
- 既存プロダクトに対するタスクで溢れて新しい挑戦ができない
- エンジニアリングの知識が足りない
- 技術的知見からツール検証ができない
上記のような課題を抱えているQA組織は多くあると思います。そういった組織にとって、副業QAエンジニアというのは、価値ある選択肢になり得ると思います。
幅広い経験
配信プラットフォームやITサービスの多様化が進み、QAの複雑性も増しています。QAとしてもあらゆるプロダクト開発に精通できればよいのですが、なかなか難しい面もあります。
ずっとWebサービスとして開発していたプロダクトのiOS/Androidアプリ版を作るとなれば、そこに詳しい人が欲しくなります。
最近ではWebやアプリもAIやIoTと絡めたプロダクトも増え、そこに対するQAの必要性も高まっています。事例は多くありませんが、それこそ経験者の知見が非常に貴重です。
副業の方がコストが安い
QAの立ち上げ期は、プロジェクト組織自体もまさに構築中といった段階が多く、ふわっと方針があるくらいで、実は何をすればいいのかまだ分からないような状況もあります。
そういったときに、テストプロセスや品質基準など、QAの基礎となる部分の整備にコミットできるQAエンジニアが求められます。
ここは経験に左右される部分も大きく、経験があればスムーズに進められるため、経験豊富なQAエンジニアに副業で入ったもらったほうがコストパフォーマンスがよい気もします。
副業はリリース経験の幅を広げるのにうってつけ
私は新しい価値を世の中に出す瞬間が楽しくQAエンジニアを続けています。副業という形でも様々なプロダクトに対してコミットし、リリースを経験させてもらっています。リリースしたものが上手くいくこともあれば、逃した不具合で苦労することなども起きます。
しかしQAエンジニアは失敗含めひとつでも多くの経験を蓄積することで、プロダクトのクオリティ向上に繋げることができる仕事だと思います。
ここまでお伝えしてきたように、QAエンジニアが副業をするメリットが多くあります。今後、QAエンジニアとして副業をしたい人も、仕事を頼みたい人も両面で増えて欲しいと思っており、この記事も誰かの副業を始めるきっかけになればと思っています!