テレワークでかかる費用は誰が負担するのか?
テレワークでは、通信費や光熱費など在宅作業だからこそ発生する費用があります。これらの費用は誰が負担すればいいのでしょうか?
労働法規はどうなっているのか?
労働基準法には、「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に定めなければならない。」と規定されています。必要に応じて、就業規則を変更しなければなりません。
通信費を含む様々な費用の負担については、テレワーク導入にあたって明確なるルールを作り、社員に確実に共有するようにしましょう。しっかり話し合いをしておくことで、トラブルを回避することができます。
費用の一部を会社が負担する
テレワークにより発生する費用には、以下のようなものがあります。
- 情報通信機器の費用
- 水道・光熱費
- 通信費
- 文具・備品等の費用
このうち情報通信機器や文具手・備品等の費用については明確な額が分かるため、会社負担としているケースが多くみられます。しかし、水道・光熱・通信費はプライベートでの使用との切り分けが難しく、一定額手当を支給するといった対応が見られます。
なぜテレワークの費用を会社が負担すべきなのか?
これまで説明した通り、テレワークで発生する費用は企業がある程度負担をするべきです。会社が費用を負担することで、会社や従業員にどのような影響をもたらすのか説明します。
効率アップにインターネット環境の整備は欠かせない
テレワークでは、インターネット環境が整っていなければ、仕事になりません。インターネット環境が悪いと一つ一つの作業に時間がかかる上に、オンライン会議がスムーズに進行しないといった、コミュケーションでの不具合が生じます。
インターネット環境の整備には、固定回線やモバイルルーターなどいくつかの種類がありますが、無制限の格安wi-fiルーターでも月額3000円かかります。節約のために公衆無線を使い効率が悪くなる、ということがないように、モバイルルーターの支給や一定額の手当を出すなどの支援を実施するべきです。
従業員の健康を守ることに繋がる
テレワークでは、在宅での作業が基本になります。そのため、自宅でのワークスペース環境は重要です。ディスプレイや作業用のいすなど用意すべきものはいくつもあり、高価な製品をそろえると費用も膨らんでしまいます。従業員の負担ということにすると、十分な環境構築ができないという人も出てくるでしょう。
また、光熱費を節約しようとして、体に負荷のかかる環境で作業することにもなりかねません。そこで、企業が手当を支給することで、従業員が十分に環境を整えることができ、健康的に業務を行うことができるのです。
テレワークの手当支給の事例
テレワークでは、企業が通信費といった費用を負担するべきですが、実際テレワークを取り入れている企業は、どのように費用を負担しているのでしょうか? 二つの企業の事例を紹介します。
ドワンゴ
ドワンゴは、多彩なデジタルコンテンツやサービスを展開しているインターネットの総合エンターテインメント企業です。現在、同社は約1000人を対象とした在宅勤務を実施しています。しかし、従業員からは電気代に対する不安の声が寄せられたことをきかっけに、電気代・通信費等手当を支給することを取り決めました。
電気代・通信費等手当として、全社員に3306円を一律給付し、さらに小中高生の子供がいる社員には、休校手当2204円をを追加で支給しています。支給額の計算は総務省統計局のデータを基に、会社独自に計算しています。
出典:ドワンゴ、全社員に在宅勤務手当を支給 「電気代に不安の声が寄せられた」
スペクティー
スペクティーは、ニュースの素材となるUGC動画をSNSで収集し、必要な権利処理を行った上で、世界中のテレビ局・新聞社などの報道機関に提供している企業です。同社は、テレワークに必要なPCやモニター、モバイルwi-fiを貸与している上に、上限5万円の備品購入補助金を支給しています。購入する備品は本人が必要と判断したものであれば、原則どんなものでも対象となっています。
また、在宅でかかる通信費や光熱費を支援するため、毎月1万5千円のリモートワーク支援手当を支給しています。
出典:スペクティ、『リモートワーク支援手当』制度を拡充 ~ 毎月1万5千円の手当支給と上限5万円の備品購入補助 ~
まとめ
今回は、テレワークにおける通信を始めとする費用を、どのように負担すればいいか説明しました。OffersMagazineを運営する株式会社overflowでも必要な社員にはWi-Fiルーターを支給してリモートワークの環境を整えています。
テレワークで発生する費用を会社が負担することで、作業環境が充実し、生産性の向上や社員の健康増進が期待されます。支給する金額については、企業がそれぞれ適切に判断し、社員としっかり話し合いをしてトラブルが起こらないようにしましょう。