テレワークとは?
最近よく耳にするテレワークですが、そもそもどのような働き方のことを指すのでしょうか? テレワークの普及率やテレワークとの違いについて、詳しくご紹介します。
テレワークとリモートワークの違い
『テレワーク』『リモートワーク』という言葉を耳にするものの、実際どのような違いがあるのかわからない人も多いのではないでしょうか?
日本テレワーク協会によると、テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用した場所や時間にとらわれない働き方のことを指しています。
つまり、オフィス以外の場所で働く『リモートワーク』と『テレワーク』は、意味に大きな違いはありません。強いて言えば、テレワークはIT企業やベンチャー企業が、テレワークは大企業や国がオフィスに出社しない働き方を指す言葉として使う傾向があります。
出典:テレワークとは
テレワークの普及率
新型コロナウイルスの発生をきっかけに、テレワークを導入する企業は急速に増加しています。
株式会社リンクライブの調査によると、新型コロナウイルスをきっかけにテレワークを導入した企業の割合は、8割を占めていることが分かりました。
発生後の実施頻度に関しては、週5日が15.4%、週3〜4日が29.4%、週1〜2が29.9%、週1が25.4%いう内訳でした。
また、新型コロナウイルス発生前にテレワークを導入していた割合はわずか22.4%であり、新型コロナウイルスをきっかけに、テレワーク導入企業が2倍以上になっていることが分かります。
出典:株式会社リンクライブ
テレワークの働き方
テレワークには、以下の三種類の労働形態があります。
在宅勤務
在宅勤務とは、所属する会社のオフィスに出勤をせずに、自宅を作業場所として働く勤務形態のことを言います。在宅勤務はテレワークやテレワークと同様の意味で使用されることが多いですが、テレワークやテレワークがカフェやレンタルオフィスで働くことを含んでいることに対し、在宅勤務は自宅での作業のことのみを指しています。
モバイルワーク
モバイルワークとは、顧客先や移動の合間でパソコンやスマートフォンを用いて働くことを指しています。
サテライトオフィス
サテライトオフィスとは、勤務先以外の会社が所有もしくは借りているオフィススペースでパソコンやスマートフォンを利用して働くことを言います。
サテライト(衛星)のようにオフィスを設置していることから名付けられており、都市企業が郊外や地方に、地方企業が都市にオフィスを設置するケースが多くあります。
テレワークの企業側へのメリット
テレワークは企業にどのような効果を及ぼすのでしょうか?ここでは、テレワークのメリットについて具体的に解説していきます。
コストの削減
テレワークの導入は、以下のコストを大幅に削減することに繋がります。
- 交通費
- オフィススペース代
- 出張費
テレワークを導入する上では、環境整備のための初期費用が必要となります。しかし、テレワークによって見込まれる削減コストは非常に大きいと言えるでしょう。
優秀な人材の採用
勤務地や労働時間に特定の制限がないテレワークでは、世界中から優秀な人材を採用することが可能です。
自分に適した働き方ができるテレワークは、企業にとってのアピールポイントになり、優秀な人材を確保できる可能性が高まります。
テレワークの導入によって、企業の価値観にあった優秀な人材と出会うことができるでしょう。
従業員のモチベーションアップ
テレワークでは、一人一人に適した働き方が実現されるため、結果的に従業員のモチベーションを向上させ、作業の効率化にもつながります。
会社内で作業を行なっていると、周囲の会議や電話対応によって集中できないことが多々あります。テレワークでは、自宅以外のカフェやレンタルオフィスなどでも作業が可能なため、従業員は自分に適した環境で働くことができます。
また、従業員のモチベーションを向上させるためには、仕事環境の構築支援が必要です。必要に応じてパソコンやモニター、オフィスチェアなどを支給し、一人一人の従業員が最大限の成果を出すことができるようにサポートしましょう。
テレワークの企業側へのデメリット
テレワークには、上記のようなメリットがある一方で、デメリットが存在するのも事実です。ここでは解決策とともに、テレワークのデメリットについて解説していきます。
人事評価がしにくい
テレワークの問題として、人事評価が難しいという点が挙げられます。
勤務時間や職務プロセスを通して評価を行なっている会社も多くあり、直接対面してコミュニケーションをとることができないテレワークでは、社員の評価が難しいと言えます。
そこで、テレワークを導入する際は、時間ではなく成果で評価をする評価制度が必要です。それぞれの従業員に合わせた成果を定め、『目標に対しての達成度』と『取り組む姿勢』という二軸から評価することをオススメします。
これによって従業員はモチベーションを保ちつつ、安心して作業に取り組むことが可能です。
状況の把握がしにくい
テレワークは、社員の進捗を把握しにくいという難点があります。
同じ空間で作業をしていれば、随時作業状況を確認し、作業量の調整や相談が可能です。しかしテレワークの場合はそれが難しく、結果的に業務過多で全体の進行が遅れてしまう可能性があります。
そこで、テレワークではビジネスチャットツールや会議システムを用いて、健康面を含む状況を定期的に把握することが求められます。
緊急時の対応が遅れる
オフィスであれば、トラブルが発生しても連携してすぐに対応することが可能です。しかしテレワークの場合は、勤務時間が従業員によって異なるため、問題が発生しても担当者と連絡が取れない可能性があります。
そこでテレワークでは、緊急時の対応マニュアルの作成や、情報共有を常に怠らないことが必要不可欠です。普段から緊急時の対応を想定し、柔軟かつ迅速に対応できるようにしましょう。
テレワークの注意点
テレワークをより効率よく行うためには、以下のことに注意する必要があります。しっかりと確認し、トラブルなどが起こらないようにしましょう。
セキュリティを強化する
情報漏洩や端末のウイルス感染を防ぐためには、セキュリティの強化が必要不可欠です。
オフィス内であれば、パソコンは社内のネットワークに接続され、インターネットの出入口はファイアーフォールやIPSによって保護されているでしょう。しかしテレワークでは、従業員はそれらの保護が施されていない端末を用いて作業を行うことになり、インターネット側から端末へアクセスされる危険が高まります。
機密性の高い情報が社外に出てしまうと、クライアントや顧客に対しても加害者となってしまうため、以下の対策を行うことをオススメします。
- セキュリティポリシーの見直し
- 定期的なパスワードの再設定
- 持ち運びハードディスクの暗号化
- ウイルス対策ソフトの導入
- セキュリティ問題発生時の対処マニュアルの作成
テレワークを導入する際は、自社の事業や社員を守るためにも、最適なセキュリティ対策を行いましょう。
雑談でチーム力を向上させる
チャットツールや会議システムでは、仕事のやり取りがメインですが、雑談をはさむことでチーム力を向上させることができます。
ビッグデータの研究者である日立製作所の矢野和男さんのレポートによると、『コールセンターの休憩時間中にパート社員の雑談が弾んだ場合、センター全体の幸福度が上昇し、受注率が30%以上向上した』そうです。
そこで、チャットツールで雑談専用のチャンネルを作り、経営者やマネージャーが積極的に近況や趣味の共有を行うことが重要です。テレワークでの雑談は仕事の息抜きになりますし、チーム内での連帯意識を向上させ、生産性をアップさせることにも繋がるでしょう。
出典:日立評論2015年6・7月合併号:ウエアラブル技術による幸福感の計測
情報共有の仕組みを構築する
会議ツールやチャットツールを用いてコミュニケーションを円滑に進めることももちろん大切ですが、そもそも社内の誰もが必要な情報にアクセスできなければ、スムーズな業務ができません。
そこで、ナレッジ共有ツールを活用し、タスクや必要事項に誰もがアクセス出来る基盤を整備することが必要です。オフィスにいなければわからないことは極力なくし、議事録や売上はどこにいても見られるようにしましょう。
テレワーク未経験にオススメのツール
テレワークを円滑に行う上では、積極的にツールを活用することが必要不可欠です。ここでは、テレワークの効率を上げるおすすめのツールを紹介します。
チャットツール『Slack』
Slackは、ビジネス向けのチャットコミュニケーションのプラットフォームです。
Slackにはチャットや通話機能だけでなく、コミュニケーションを活発化させ、業務を効率化させる機能が多く搭載されています。
チャンネルを複数作成することができるため、業務内容ごとにチャンネルを作成したり、雑談スレッドを利用してちょっとした出来事を共有することにも優れています。
出典:Slack
遠隔会議ツール 『Zoom』
Zoomでは、最大1000人までWeb会議に参加でき、また最大で49もの映像を画面に表示することが可能です。1対1であれば無料で制限なく利用でき、多人数のグループチャットも40分までなら無料で利用することができます。
また、Zoomは画像や資料を画面上で共有することができるため、実際の会議と同様に円滑な会議を行うことができるでしょう。
データを送る際はツール上で暗号化が行われるため、安全にデータの転送を行うことができるのも魅力です。
出典:Zoom
テレワーク導入企業の事例
企業はどのようにテレワークを活用しているのでしょうか。ここでは、具体的な導入事例をご紹介していきます。
Softbank
Softbankは、社内スローガンとして『Smart&Fun!』を掲げ、独自の働き方改革を推進しています。
育児や介護に関わらず、業務状況に応じて在宅勤務制度を利用することができ、現在では9割以上の部署が在宅勤務を導入しています。また、関東圏内の事業所6拠点をサテライトオフィスとして全社員に解放しており、営業部の社員が外出時に利用するなどして効率的な働き方をしています。
2017年からはスーパーフレックスタイム制を導入し、各社員が業務の状況などに応じて始業時間・終業時間を変更することも可能です。
出典:Softbank
資生堂
資生堂は、民間洋風調剤薬局として創業後、現在は120以上もの国で事業を展開しています。
1990年には育児休暇制度を取り入れ、2016年からは育児や介護支援のみが対象であった在宅勤務制度を、美容部員以外の全社員に適用しました。
さらに、在宅勤務における女性の悩みをを解決する手段として、オンライン会議用の自動メイクアプリを導入しました。画面上の顔にメイクを施すだけでなく、顔色の補正・ぼかしまで行えるので、在宅勤務中でもすっぴんで会議に参加できてしまいます。
出典:資生堂
リクルートホールディングス
リクルートホールディングスは、『Follow Your Heart』をビジョンに創業後、現在は人材メディア事業や販促メディア事業を手がけています。
リクルートホールディングスでは、2016年から全従業員を対象に、日数上限なしのテレワークを導入しています。
自宅以外のカフェやレンタルオフィスでも作業可能で、個人の評価は成果を持って行われるのが特徴です。
さらに、パソコンや携帯電話などは、セキュリティ対策が施された状態で支給されます。アンケートや実験も積極的に行い、従業員が最大限の力を発揮できるよう日々改善に努めています。
まとめ
今回は、テレワークの概要や魅力、活用事例についてご紹介していきました。テレワークは、適切な対応策をとることで企業の生産性を上げ、コストの削減にも繋がります。これを機に、ぜひみなさんもテレワークの導入を検討してみてはいかがでしょうか。