フリーランスと会社勤めの場合の手取り比較
フリーランスを考えるにあたって、それがすべてではないにせよ、気になるのはその収入でしょう。フリーランスの収入を、会社勤めと比較してみましょう。
フリーランスエンジニアの平均手取り額
フリーランスのエンジニアの平均な手取り額はいくらでしょうか。一般的なフリーのエンジニアの年収総額は700~900万円程度だと言われています。平均年収としては800万円ぐらいだと考えてよいでしょう。
そこから税金(累進課税なので所得で変動)、社会保険料なども支払われます。経費に収入のざっと2割程度がかかるとして予想される手取りの月額は約53万円です。実際はサラリーマンよりも経費で使える幅が広がるので、実感としての手取り額はもっと大きいかも知れません。
会社勤めエンジニアの平均手取り額
国税庁の『民間給与実態統計調査結果』(平成27年度)によれば、 SEなどのIT関連の情報通信業に従事する人の平均年収は575万円(平均年齢41歳)です。税金と社会保険を差し引いての年間手取り額は約450万円です。月割にすると約38万円です。
比較すると、エンジニアとしては会社勤めよりもフリーランスの方が、やはり実入りが多いようです。ただしフリーランスの場合は退職金も厚生年金もありませんので、手取り額ですべてが判断できるわけでもありません。
フリーランスが支払う税金と保険
サラリーマンなら会社がすべて手続きをしてくれる税金のことや保険関係も、フリーランスはすべて自分でしなければなりません。保険と税金の基本情報を押さえておきましょう。
税金は3種類
フリーランスが納めるべき税金は3種類あります。『所得税』と『住民税』はサラリーマンでも同じです。違うのは『個人事業税』で、地方税のひとつになります。所得税は国税で、住民税とこの個人事業税が地方公共団体に納める税金になります。
すべてのフリーランスに、個人事業税が課せられるわけではありません。個人事業税が課せられる対象は、法律で定められた70業種の従事者です。自分の仕事が該当するかどうかは、所属する地方公共団体に確認をとるのがよいでしょう。
国民年金保険料と国民健康保険料
フリーランスエンジニアは3種類の税金の他に『国民年金保険料』と『国民健康保険料』を納めないといけません。
『国民保険』は、日本在住の20~59歳の人すべてに加入が義務づけられている保険制度です。老後に老齢年金を、または病気や怪我で障害者になった場合の障害年金を受け取ることができます。
『国民健康保険』の保険料は会社員の『協会けんぽ』と違って『扶養』の概念がありません。家族一人一人にかかってくるので、会社員より高額になる可能性が高いです。退職時に『協会けんぽ』の『任意継続』を選択すれば、2年間は継続できます。
フリーランスエンジニアのメリットとデメリット
フリーランスエンジニアとして仕事をしていくことには、メリットもあればデメリットもあります。どのようなものか、具体的に見ていきましょう。
自分に有益な仕事を選べる
会社員の場合は、仕事の内容は自分で選ぶのではなく、上が決定します。自分の希望を発信することはできても、それが反映されるとは限りません。あたりまえですが、企業の利益が優先されるので、仕方のないことです。
一方、フリーランスであれば仕事内容は自分で決定できます。たとえば、報酬面がさほどよくなくても、自分の将来にとって有益だと思われるプロジェクトであれば参加できます。
仕事の方向性についても、特化した領域をピンポイントで選ぶこともできれば、幅広くさまざまな仕事を選ぶこともできます。自分自身が納得する考え方を基準に、仕事を選択できるのは会社員との大きな違いと言えるでしょう。
全ての管理を自分自身でしなければならない
会社勤めであれば、与えられた仕事のみに専念すればよいのですが、フリーランスは違います。個人事業主なので、あらゆる管理を自分でしなくてはなりません。収入が高ければ、人を雇ったり外注したりで負担を減らせますが、最初はそうもいきません。
財政面の管理はもちろんのこと、時間やスケジュールの管理、健康面を含む自己管理もしかり、こまごまとした備品の管理、顧客(クライアント)管理などすべての項目にわたります。フリーランスが苦労する部分ですね。
フリーランスで仕事を探すには
フリーランスになると、じっとしていては誰も仕事を回してくれません。自らアクションを起こさないとなりませんが、一体どのような方法があるのでしょう。いくつかの有効な方法を紹介します。
自ら営業したり知人に紹介してもらう
一番コストがかからない方法は、自分で営業活動をするか友人に紹介してもらうことです。営業センスがある人なら自ら営業をかけることも苦になりませんが、そういうことが苦手な人も多いことでしょう。そういう人は友人に声をかけてみましょう。
ただし、友人の人脈を頼る場合に気をつけたいのは、『友人価格』にならないようにすることです。モノではなく技術を売る仕事ですから、安く受注するのは自らのスキルの安売りになってしまうので、避けましょう。
クラウドソーシングを利用する
インターネットのクラウドソーシングサービスを利用するのも、方法の1つです。実績があり信頼できるサイトが、すでにいくつか存在します。案件も豊富にあって、やりたい方面や属性で検索することも可能です。低い単価のものも多いですが、とにかく仕事が溢れています。
ただし、マッチングサービスなので、当然ですが仲介手数料が発生します。これがそこそこ高くて、報酬の2割程度が相場です。それが一度だけでなく、そのクライアントとの仕事の度に支払わなければならないので、年間通してだと相当な額になります
案件紹介サービスに登録する
案件紹介サービスに登録して紹介を待つのも有効な選択肢のひとつです。登録もとても簡単なので、仕事を真剣に探す人はぜひ利用しましょう。
多くのサイトがあり、それぞれの特色もあります。起業やフリーランスとしての独立を考えている人が相談に乗ってもらえたり、すでに仕事を始めている人もサポートを受けられたり、テーマごとにセミナーを開催したりなど、積極的に展開されています。
フリーランスエンジニアの種類
フリーランスエンジニアの種類には、どのようなものがあるのでしょうか。IT業界に欠かせない重要な仕事であるエンジニアの、代表的なものを紹介しましょう。
システムエンジニア
トータル的な視点を持つ必要がある仕事です。クライアントの要望をしっかりと把握して、業務の内容の詳細な分析をもとにしたもっとも効率の良いシステムを考案し、設計・開発をおこなう仕事です。
案件の規模が大きい場合には、複数のシステムエンジニアがプロジェクトリーダーの指揮のもとに、プログラム設計をはじめとして色々な作業を、分担して進めることもあります。現場のエンジニアから始まり、経験を積み上げていけば、未来のシステムエンジニアたちを指導をする仕事もできるでしょう。また、コンサルタントの道なども開けます。
Webプログラマ
プログラマとは、システムエンジニアによる仕様書をもとにして、プログラミングするエキスパートです。ソフトウェアの制作には欠かせない存在のプログラマは、多種多様なジャンルに分かれています。Webプログラマはその中のひとつで、インターネット上でのさまざまなサービスのプログラムを開発するのが仕事です。
ブログやオンラインショップはもちろん、企業のホームページにせよ、スマホのオンラインゲームその他のサービスにせよ、インターネット上でのサービスはWebプログラマなしには享受することはできません。
まとめ
フリーランスエンジニアの手取りや税金・保険関係の基本情報を紹介しました。収入面でも税金や保険の面でも、会社員とは良くも悪くも違いがたくさんあるようです。