プロジェクトマネージャ資格とは
高度IT人材を育成するために、国は様々なIT関連資格を制定して取得試験を実施しています。その中の一つであるプロジェクトマネージャ資格は、どのような資格なのでしょうか。
専門分野では重要度の高い仕事について活躍している一方で、馴染みの薄いプロジェクトマネージャ資格について詳しく解説します。
システム開発プロジェクトの責任者
大きなシステム開発を無事に成功させるためには、人的資源と物的資源、開発環境の全てを整え、プロジェクト全体を円滑に進行させることが大切です。
しかし、そこにかじ取り役がいなければ、どこかで不備やトラブルが生じた際に、プロジェクトの進行が滞ってしまう危険があります。そこでプロジェクト全体を管理するマネジメント役が必要になるのです。
プロジェクトマネージャはシステム開発の現場のマネジメント役として、プロジェクトが円滑に進行するように全体を管理し運営をする責任者なのです。
試験概要と平均年齢
情報処理推進機構が主催する情報処理技術者試験の一つであるプロジェクトマネージャ試験は、経済産業省が管轄しています。プロジェクトマネージャ資格は、国家資格として高い信頼性を有する資格なのです。
プロジェクトマネージャの平均年齢は30代後半〜40代前半です。プロジェクトマネージャには幅広い知識だけではなく、豊かな経験に裏打ちされたマネジメント力が必要です。
開発現場で経験を重ねてきた人々が、プロジェクトマネージャ資格に合格して活躍しているのです。
資格の難易度と勉強期間
合格するのが難しいプロジェクトマネージャ試験ですが、合格するためにはきちんと時間をかけて試験対策を行う必要があります。開発現場で現役として働いている人も受験生の中には多くいるので、勉強時間を捻出する必要もあります。
ここではプロジェクトマネージャ資格の難易度や勉強時間について解説します。
最高難易度の資格
プロジェクトマネージャ試験は、1〜4段階まで設定されているスキルレベルのうち、最難関のレベル4に該当する、難易度の高い情報処理技術者試験です。
プロジェクトマネージャに求められる資質は情報処理に関する専門知識だけではなく、人や物を上手にマネジメントできる能力も必要です。資格の難易度を一概に決めることはできませんが、決して誰しもが取得できる簡単な資格ではないのです。
合格率と勉強期間
プロジェクトマネージャ試験の合格率は例年12〜13%を推移しています。数年間をかけて試験にチャレンジして、やっと合格したという人も多く、この試験が難関試験であることが分かります。
合格者の勉強期間はさまざまで、期間が短い人で3カ月から半年ほど、長い人は数年かけて勉強して合格しています。
勉強時間を十分確保できる人もいれば、仕事が忙しく週末しか時間が取れない人もいるでしょう。それぞれが自分の置かれた環境の中で上手に試験勉強ができるよう、時間を管理する能力も必要であるといえます。
出典:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ資格のメリット
難関資格であるプロジェクトマネージャ資格は、多くのIT技術者が憧れるとても魅力ある資格です。受験生の多くが試験勉強に長い時間をかけて努力するということは、それだけ合格のメリットが大きいと感じているといえるでしょう。
プロジェクトマネージャの資格のメリットを具体的に解説します。
転職の際に有利になる
プロジェクトマネージャ資格は、転職する際に有利に働きます。多くのIT企業が様々なシステムを開発している中で、その開発現場全体をマネジメントする人材が圧倒的に不足している現実があります。
経験を積んだプロジェクトマネージャは、システム開発を行う多くの企業が必要とする存在です。この資格を保有することで会社内ではキャリアアップのきっかけになり、転職する際は採用の決め手にもなりうる価値の高い資格なのです。
知識、スキルの証明になる
情報処理技術者試験の一つであるプロジェクトマネージャ資格は、経済産業省が認定する国家資格であり、簡単に取得できるものではありません。
したがってプロジェクトマネージャ資格の保持者は、難関試験を突破し、高いスキルや幅広い知識を有した優秀な人材であることを、証明していることになるのです。
仕事の意味や、やりがいがわかる
プロジェクトマネージャ資格は、より実践に即した資格です。単純な情報技術の知識や技能だけでなく、システム開発の現場での流れをしっかりと把握できる、視野の広さが必要とされています。
したがって、プロジェクトマネージャ資格の取得の過程で、一連の仕事の流れや仕事の意味を学ぶことができます。また、責任感が必要とされる重要な仕事であることから、IT企業におけるやりがいを大いに感じることができるでしょう。
おすすめ勉強方法
プロジェクトマネージャ資格は高度情報技術者資格に位置付けられており、難易度の高い試験です。出題範囲も広く、闇雲に勉強を進めても合格できない可能性があるのです。
効率よく勉強を進めて確実に資格取得にたどり着くためには、試験合格者が実際に取り組んだ勉強法を参考にするとよいでしょう。ここでは、合格するためのおすすめの勉強法について、試験区分ごとに紹介します。
午前対策
プロジェクトマネージャ試験は午前I、午前II、午後I、午後II試験の4つの区分で構成されています。午前試験は多肢選択問題が出題され、問題の多くは過去問やその類似問題を中心に出題されます。
対策としては、評価の高い参考書で知識を深めながら、同時に過去問を使って演習を行い、アウトプットとインプットを繰り返しながら勉強を進めるとよいでしょう。
午後I対策
午後Iの試験は記述式問題です。試験時間90分の中で、全3問の中から2問を選択して回答します。記述式であることから文章作成力と読解力が問われるのです。
文章問題が苦手な人は過去問を解くと同時に、現代文に関する問題集も参考にして、国語力を鍛えるようにしましょう。また、問題文自体が長文なので、試験対策の一環として、文書を速く読む癖をつけるのもおすすめです。
午後II対策
午後II試験は論述形式となっています。大問1問につき設問が3題あり、それぞれ1000文字前後の文章の記述を要求されるので、しっかりとした対策を立てることが大切です。
文書読解力や文章作成力を鍛えるだけでなく、システム開発の現場に置いて、課題にどのように向き合い解決してきたかを表現できるようにするとよいでしょう。論述試験では実践に沿った思考力が問われるので、リアルな言葉が評価されるのです。
独学で難しいなら講座を受けるのもアリ
プロジェクトマネージャ試験に関わらず、独学で勉強を続けることは困難を伴うものです。勉強の方向性を間違えてしまい、なかなか合格できないケースや、モチベーションが維持できないケースもあります。
対策として通信講座や通学講座を受講するという手段もアリでしょう。通信講座は時間や場所を選ばすに学習できるメリットがあり、通学講座は直接質問できる講師や、互いに刺激しあえる仲間と出会えるメリットがあります。
参考書、過去問を活用する
試験対策として、定評のある参考書や試験の過去問を活用することは非常におすすめです。合格者のほとんどが参考書や過去問を使って試験勉強に取り組んでおり、高評価の参考書であれば安心して使用できます。
プロジェクトマネージャ資格を取得する際に、おすすめの参考書を紹介します。
情報処理教科書 プロジェクトマネージャ
プロジェクトマネージャ試験の定番の一冊として、これまで多くの合格者が利用してきた書籍です。プロジェクトマネージャ試験で問われる全ての範囲を網羅的に解説しており、演習対先として多くの過去問を用意しています。
付録には過去問だけでなく便利な用語集も付いています。必要とされる知識を効率的に身につけられるおすすめの参考書です。
- タイトル:情報処理教科書 プロジェクトマネージャ
- 価格:3110円(税込)
- Amazon:商品ページ
徹底解説 プロジェクトマネージャ 本試験問題
直近3年分の過去問と詳しい解説が掲載されており、実践形式で演習を行いながら出題傾向を探ることができる参考書です。
午前試験、午後試験ともに過去問をベースに作成されています。過去問を細かい箇所まで徹底的に分析し、詳細に解説している本書は、試験傾向を探るために必須の一冊ともいえるでしょう。
- タイトル:徹底解説 プロジェクトマネージャ 本試験問題
- 価格:3780円(税込)
- Amazon:商品ページ
プロジェクトマネージャ合格教本
この本では、試験に詳しいベテランの講師による、試験合格のために大切なポイントがいくつも掲載されています。特に午後試験の問題に対する解説に力を入れており、実例をもとに論文の書き方を分かりやすく教えてくれます。
付属しているCDROMには過去問が収録されており、午前試験から午後試験まですべての区分の対策をすることができる万能な一冊です。
- タイトル:プロジェクトマネージャ合格教本
- 価格:3110円(税込)
- Amazon:商品ページ
まとめ
プロジェクトマネージャ資格は価値ある国家資格です。システム開発の現場において、プロジェクト全体を管理しマネジメントする重要な役割を担っており、それだけ仕事のやりがいがあるといえます。
試験に合格することは決して簡単なことではありませんが、あらゆる業界の様々な開発現場において、プロジェクトマネージャは常に必要とされているのです。
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