スクラムマスターの役割と仕事
スクラムマスターは、チームにスクラム開発の理論を理解してもらい実践することにあります。スクラム開発のチームを構築しても、その理論から外れた行動をとるメンバーがいると、スクラム開発は機能しなくなる可能性があるので注意が必要です。
チームを機能させるためには、スクラムマスターというチームを牽引する存在が不可欠なのでしょう。
スクラム開発について知る
スクラム開発とは、アジャイル開発の手法の一つです。アジャイル開発は、短期間で実装とテストを繰り返して進めていく手法で、効率的な作成を行うことができます。
スクラム開発においては、3~9人でチームを構成します。そして、メンバー全員がフラット関係であることが求められるでしょう。
他の手法においては専門能力の高いメンバーに依存しすぎたり、責任を負わせたりといったことが起こりますが、スクラム開発においてはラグビーのスクラムのようにメンバー全員が責任やタスクを分担します。
スクラムマスターの役割
スクラム開発において、スクラムマスターの役割はメンバーの誰かがスクラム開発の概念から外れそうな行動をとるときに指摘することになります。つまり、チームをスクラム開発の正しい方向性に導くことが求められるのです。
また、上層部やクライアントから不要な外部干渉があった場合は、チームを守る役割も担当しなければなりません。
スクラムマスターの具体的な仕事とは
スクラムマスターの仕事は多岐に渡ります。まずは、スクラム開発の概念をメンバーに理解させ、円滑に進行させることからスタートします。そして、継続的にその概念がチーム内に浸透しているかを確認するのも重要です。
スクラム開発においてはメンバー全員が平等な立場にあるので、お互いの協力がうまくいくような環境作りにも努めます。そして、このスクラム開発の概念を上層部やクライアントにも理解してもらい、不要な干渉を避けるよう調整します。
そして、最終的には自分の指示がなくても、チーム内においてスクラム開発の理念が完全に浸透し、チームが円滑に進むようにすることがスクラムマスターの最終目標です。
このように、スクラムマスターはチームにスクラム開発の概念を完全に浸透させることで、チームの成果を最大化することを目的に業務を推進していくといいでしょう。
認定スクラムマスターの資格を取得しよう
スクラムマスターになるためには、スクラム開発の概念を完璧に理解する必要があります。もちろん独学で学ぶという方法もありますが、より理解を深める際に役立つのが『認定スクラムマスター研修』の資格を取得する研修を受講することです。
認定スクラムマスター(CMS)とは
認定スクラムマスターとは『Scrum Alliance』が認定している資格です。認定スクラムマスターの資格を得るためには、認定スクラムトレーナーによる研修を受け、合格する必要があります。
認定スクラムマスター研修の流れ
認定スクラムマスター研修は2日間に渡って開催され、試験はオンラインで受験することになります。
研修に参加する
まずは、スクーリングによる研修に参加します。この研修では、スクラム開発の歴史、理論、ロールモデルといったスクラム開発の概念を理解するために必要な基礎的な知識から応用的な実践までを学ぶことができます。
参加者のほとんどは、スクラムマスター経験者やスクラム開発のメンバー経験者です。スクラム開発について、それなりの知識を身に着けていることが受講の条件となります。
ワークショップでは、実践的な手法をゲームを通じて学ぶことになるでしょう。このワークショップは、職場に戻ったときにメンバーやクライアントにスクラム開発の概念を理解してもらう際に役立つものです。
研修費用は決して安くない(後述します)ですが、スクラム開発をチームに浸透させるためには十分な価値がある研修と考えられる内容となっています。
オンライン試験に合格する
2日間の研修を終えてからオンライン試験を受けることになります。この試験は自宅で受けることもできますが、スクラム開発の概念を理解していないとかなりの時間がかかります。この試験に合格すると、認定証と名刺用のバッジをもらえます。
出典:Scrum Alliance Certification | Transform your workplace
認定スクラムマスターの知っておきたいポイント
それでは、認定スクラムトレーナー研修を受講して、合格するためにはどのようにすればよいのでしょうか。大切なことは、この資格はお金を出しさえすれば合格できる生易しいものではないということです。
認定スクラムマスター研修の費用
認定スクラムマスター研修を受講する際の費用は、1名30万円(税抜き)からとなっています。
認定スクラムマスターの合格率と難易度
認定スクラムマスターの合格率は、正式な発表はされていませんが50%を少し超える程度といわれています。しかしながら、試験の内容は毎年変更されていますし、参加者のレベルによって合格率は変化しますので、あくまで参考程度だと考えてください。
参考:認定スクラムマスター研修を受けて、認定スクラムマスターになるまでの感想と知見を共有する
認定スクラムマスター研修を受けるメリット
スクラムマスターになるためには、認定スクラムマスターの資格を取得することは必須ではありません。では、この研修を受けるメリットはどこにあるのでしょうか。
単純に知識をで得るだけであれば専門書を読めばよいのですが、実際にスクラム開発に携わると、現場ではさまざまな問題が発生します。自分の現在の能力だけではどうにもならない問題もあります。
それらの課題・問題を解決するためのヒントを、認定スクラムマスター研修では得ることができるチャンスとなります。
参加者と問題や課題を共有できる
認定スクラムマスター研修の参加者は、スクラム開発の現場を経験している人がほとんどです。そのため、実践的な課題抽出・問題提起を研修内で何度も体感することになるでしょう。
例えば、スクラム開発チームを複数作ることの問題点や、チーム内でのコミュニケーションの方法など、すぐに現場に持ち帰って実践できる内容のワークショップが行われます。
もちろん講師の認定スクラムトレーナーからアドバイスはあるものの、基本的には参加者がお互いの意見を共有しながら解決方法を見出していくので、スクラムマスターとしての引き出しが増えていく研修と言えるでしょう。
実践的なケーススタディを学べる
そして、自分ではまだ経験していない課題・問題についても、実践的な事例を通して学ぶことができます。これは、今後似たような事態が起きたときに、すぐに対応できるようにするために非常に有用です。
スクラムマスターは、スクラム開発チームの中にひとりしか存在しません。そのため、なかなか他のメンバーに悩みを打ち明けるということは難しいでしょう。そのため、このような研修を通してさまざまな事例を頭に入れておくと、実際の現場で役に立ちます。
スクラムマスターは、チーム内の環境改善が主な役割となりますが、時に改善よりも思い切った改革が必要になることがあります。この時に、スクラム開発の概念を理解していなければ有効的な手段が取れずに現場が混乱してしまう可能性があるのです。
そのためにも、書籍だけで知識を得るのではなく、実践的な事例を学べる認定スクラムマスター研修を受講することは、知識だけでなく手法の面でも向上できる大きなチャンスとなります。
まとめ
スクラムマスターの役割は、スクラム開発チームを組むことで成果を上げることです。スクラムマスターがスクラム概念を実践する第一人者になり、チームをけん引しなければなりません。
そのためにも、スクラム概念の知識・手法の向上が期待できる認定スクラムマスター研修を受講することも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。