スクラムマスターとは
スクラムマスターの役割
スクラム開発において、重要な存在がスクラムマスターです。スクラムマスターは、スクラム開発の持つ価値・意義を本質的に理解して、その手法をスクラムチームが正しく実践できるようにすることが求められます。
スクラムの運営から始まり(スプリントプランニングやスプリントレビューが確実に行われているかなど)、スクラムの役割が兼任になっていないか、プロダクトバックログが適切に運用されているか、見える化されているか、スプリントバックログはどうか、プロダクトオーナーと開発チームの関係性の質はどうか、を見ます。
実施はされているが、効率が悪い、効果的でない場合もスクラムマスターはチームに対してコーチングをします。基本理念としては、スクラムの3原則、透明性・検査・適応の観点とアジャイルマインドセットの観点からチームや組織をコーチングします。
また、完了の定義の拡張に向けて、組織や会社の変革への働きかけを行います。
評価の高いスクラムマスターのポイント
スクラムマスターの評価は、スクラムマスター自身はあまり気にしないかも知れません。なぜなら、スクラムマスターはサーヴァントリーダーといって、他人に奉仕するリーダーシップを発揮する傾向が強いからです。スクラムマスター自身の評価は、スクラムチーム(POと開発チーム)にしてもらうと良いと思います。
ただし、スクラムにおいて、MBO等の従来型の個人の評価制度には気をつける必要があります。個々人が評価されてしまうと、チームとして成果を出すことにコミットできません。『チームの評価』に、会社の人事制度も変えていくようにスクラムマスターは働きかける必要があります。スクラムマスターは、人事部門(HR)とも協力して、よりよい会社・組織文化を形成できるよう努めていきます。
スクラムは、現状を把握するためのフレームワークと呼ばれています。スクラムを実施したからといって、生産性があがる、コミュニケーションが勝手によくなるということはありません。適切に運用することによって、現状の問題が炙り出されます。チームの作業可能時間、予実、レビューのパス率など様々な指標を手に入れようとすればできるようになります。その指標を使って改善を始めることができます。
認定スクラムマスター研修について
スクラムマスターになるためには資格の取得は必須ではありませんが、その職務の理解を深めるためにScrum Allianceが開催している認定スクラムマスター研修というものがあります。
認定スクラムマスターの試験概要
認定スクラムマスターの資格を取得するためには、2〜3日間の研修後にオンラインの試験を受けて合格する必要があります。毎年試験の内容はアップグレードされていますので、受講時には最新の知識を身に付ける必要があります。
研修や試験の流れ
研修は、トレーナーによって全く異なります。
研修で能力を発揮し、トレーナーに認められると、認識資格のオンライン試験を受けることができます。このオンライン試験に合格すると、認定スクラムマスターとして認められるのです。
主な研修内容や費用
研修内容は、トレーナーによって全く異なりますので、一概には言えません。
費用は1人20〜30万円(税抜き)からです。若干高めではありますが、それだけの内容が詰め込まれた研修内容となっています。
知っておきたいポイント
認定スクラムマスター研修は、スクラム開発の概念を理解している人が対象に行われるものなので、予習や実践をしていることが前提で進められます。
スクラムマスターの予習について
アジャイルソフトウェア開発宣言、スクラム開発の概要については把握してから望む必要があります。
認定スクラムマスター研修に臨むにあたり予習しておくべき書籍は以下です。
1.スクラム入門(翻訳はVer1.2ですが、原本はVer2.0が出ています)
2.スクラムガイド(参考程度に)
3.英語のリーディングが得意な方であれば、CoreScrumも読んでおくと良いと思います。
4.以下のNoteも参考になります。
認定スクラムマスター研修のメリット
スクラムマスターとしての考え方、アジャイルマインドセットを本質的に体感できます。肌に合わない方もいるかも知れません。
主にプロジェクトマネジメントを長くやられていた方、従来のマネジメント手法によるマネージャ経験が長い方は、価値観のあまりの違いに研修を投げ出すこともあるようです。スクラムチームとして、変化を喜んで受け入れ、楽しめる姿勢がないと、スクラムマスターは務まりません。
まとめ
スクラムマスターとしての自分を高めるために、認定スクラムマスター研修を受講し、チームの成果のアップにつなげてみてはいかがでしょうか。