副業を始める前に
近年、政府が働き方改革の一環として、企業に社員の副業を容認するよう働きかけています。副業で国民一人一人の生産性を高めることは、増税への備えや年金の確保につながります。
また、副業によって個人のスキルや収入向上が狙えます。そもそも社員の副業禁止は違憲であることなどからも、希望する社員には副業を認める企業が増えてきました。
ただし、これらはあくまでも政府が推し進める流れであり、社員のスキルの流出や体調管理の面から、副業を禁止、もしくは望ましくないと考える企業も多数存在します。
禁止の場合もあるため就業規則を確認
社員の副業を認める企業であっても、機密情報の流出など本業に影響する事案が起こらないか危惧している企業は多いものです。そのため、副業をする社員には就業規則として事前に届け出や了承を得ることなどが義務付けられている企業が多いです。
IT系の仕事は自宅などで空き時間を利用して働きやすく、クライアントからも副業ワーカーが歓迎される、いわば相思相愛の状況です。
なかでも、エンジニアやデザイナー・アプリ開発など、専門の知識や技術のある人は、比較的スムーズに副業を始めることができ、一定の副収入が期待できるでしょう。
ただし、副業と本業の対象ユーザーがかぶっていないか、クライアントが競合相手ではないか、就業規則に背いていないかなど検討したうえで、副業を開始する前に勤務先に申告するようにしましょう。
アプリ開発の収入源は?
IT関連の副業として人気があるアプリ開発ですが、クライアントからの依頼を受けて開発を行う場合と個人で開発や管理を行う方法があります。
個人でアプリ開発を行う場合、どのような流れで収入を得ればよいのでしょうか。
有料のアプリ
開発したアプリで収入を得るための王道は、アプリを有料化することです。アプリの価格設定は開発者が行えるので、開発にかかった時間や工数を基準に、納得いく価格が設定できます。人気アプリとなれば多額の収入を得ることが可能です。
ただし、世界中から多くの開発者や企業が多種多様な無料アプリを提供しています。よほどの強みとなるサービスやオリジナル性がないと有料のアプリはダウンロードに至らないといえるでしょう。
アプリ内課金
最近のアプリ市場では、無料配信でアプリのダウンロードを促し、特定の機能に課金の設定をする方法が主流です。たとえば、画像処理アプリだと画像補正能力が格段に上がるもの、ゲームのアプリだとアイテムの購入などがこれにあたります。
しかし課金のサービスやアイテムには、高いレベルが求められたり、多くのユーザーが無料の範囲でアプリを利用したりするため、なかなかアプリ内課金につながらないといえるでしょう。
広告収入
アプリに掲載する広告から収入を得る方法もポピュラーです。こうした掲載料で稼ぐ広告は現在ほとんどのアプリで見かけます。
ただし、あまり広告の量が多すぎると煩わしかったり、評価が悪くなったりしてアプリ自体がダウンロードされないといった事態を招きかねません。また、アプリ内広告は掲載料が低いため、たいした収入につながらないのが実情です。
個人のアプリ開発は儲からないことも
実際、完成度の高いアプリが多くの企業から次々と開発・提供されるため、個人レベルではなかなか太刀打ちできない場合が多いです。
また、アプリの開発や進展には、多くの技術や時間、手間を要します。反面、たとえアプリ自体が良いものであっても収入に直結しづらいのが現状です。
そのため、個人でのアプリ開発はコストパフォーマンスが悪いとも言えてしまいます。アプリ開発の副業に興味がある場合は、アプリ開発者を探す企業から案件依頼を受けられるエージェントなどを介すのがおすすめです。
アプリ開発など副業した場合の確定申告
アプリ開発を副業として軌道に乗せることができた場合、他の副業の仕事と同様確定申告が必要です。詳細を見ていきましょう。
所得の合計が20万円を超えたら必要
副業の場合、所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。所得とは、収入から必要経費を差し引いたものです。
経費には、自宅で作業を行っている場合の住居費や光熱費の一部、パソコンや文房具などアプリ開発に要した道具の購入費用などが計上できます。
確定申告を行わなかったり、申告期限に遅れたりすると原則として罰則や追徴税が課せられます。しっかり確定申告をしておけば、還付金が給付される可能性があるため、忘れず行いましょう。
雑収入もしくは事業所得で
副業の確定申告では、事業所得もしくは雑収入として副業の収入を申請する必要があります。事業所得と雑収入の違いは、仕事が完結するまでにかかる期間や収入の発生が続く期間の違いなどです。
一定期間、継続している仕事から得られる所得は事業所得となります。また、継続して得られる収入も事業所得です。事業所得の申告には確定申告書Bの用紙を使います。
雑収入は毎月の給与所得以外の全ての収入です。1度きりの仕事や報酬の発生が納品の際のみの場合などがこれにあたります。雑収入の申告には確定申告書Aの用紙を使用します。
まとめ
政府が副業を促進する流れから、社員の副業を認める企業が増えてきました。しかし、本業への影響を危惧する企業も多く、就業規則などで副業は届け出が必要とされるケースが多いです。もし勤務先に申告せず副業を行っても確定申告などから知られる可能性があります。
アプリ開発などの知識や技術のある人は副業を得やすいことが多いですが、本業に悪影響を与えないか十分に考慮することが大切です。
また、個人のアプリ開発で収入を得るのはハードルが高いため、マッチングするクライアントのもとでのアプリ開発を検討するのが良いでしょう。