SEに資格は必要?
結論から言うと、SEになるための資格は必要ありません。しかし、資格を持っておくと有利なことはあります。
資格は必要ない
SEは国家資格が必要な職種ではないため、必ず持っていなくてはいけない資格はありません。つまり、資格は不要ということになります。現在活躍しているSEの中にも、独学でSEになった人はたくさんいます。
しかし、資格が全く無意味かと言うとそうでもありません。
資格を取得することで、新しい知識・情報が身につき仕事の幅が広がることはもちろん、昇進や転職によるキャリアアップにつながるというメリットもあります。
また、会社によっては資格を取るためのバックアップや、資格取得後に手当が出るといった、資格取得を奨励しているところもあります。
国家資格とベンダー資格
SEが取得すると何かと有利に働く資格には、2種類あります。それが『国家資格』と『ベンダー資格』です。この2つの資格は、意味合いも取得後のメリットも異なります。
まず国家資格についてですが、医者や弁護士などの資格と同じく、国(もしくは国が資格取得について委託している機関)によって認定される資格です。
会社がSEに、資格取得を積極的に取得しているものの多くが国家資格です。会社としての信用度のアップにもつながると同時に、取得者にも資格手当が支給されるケースが多いようです。
また、ベンダー資格は一般企業が独自で定めている資格が多いとされ、その知名度や実際の現場で役立つのかどうかに大きな差があります。
ベンダー資格を取得する際は、あまり知名度が高くない資格を取得しても、認知度が低いため、社会で活躍できるメリットは少なくなってしまうので、ある程度名の知れた資格を取得しましょう。
資格を持つメリット
SEが資格を取得することのメリットを、改めてまとめておきましょう。
スキルや知識の証明
資格を取得するためには、相応の勉強と知識の習得が必要になりますので、資格があるとスキル・知識が対外的に証明できるというメリットがあります。
資格を取得するための勉強で基礎力をつけ、現場ではその基礎力を応用し、さらに難易度の高い開発に携わることもできるでしょう。
例えば、同じスキルを持っているであろうAさんとBさんというSEがいるとしましょう。Aさんは国家資格を持っていますが、Bさんは国家資格を持っていません。
もしどちらかにより難易度の高い仕事を任せるとしたら、Aさんの国家資格は大きな武器になることは言うまでもありません。
給与があがり、手当がつくことも
会社によっては、専門職が持つ資格に対して手当を支給しているところもあります。また、資格取得のバックアップや、資格取得時の報奨金などの制度が整備されている会社もあるなど、資格取得が優遇されているケースは多く見られます。
もちろん、難易度の高い資格ほど、報奨金や手当は高くなる傾向にあります。
転職にも有利
転職の際、資格は有利に働きます。書類選考の際はもちろん、最終的に雇用するか否かを判断する際にも、資格を取得していることは良い判断材料となるでしょう。
このように、客観的に見てSEが資格を取得しておくと有利に働くことが多くなります。
SE初級者におすすめの資格
SEが取得する資格にはさまざまなものがありますが、まずはSEになりたい人・なりたての人向けの資格を紹介していきましょう。
基本情報技術者試験(国家資格)
その名の通り、情報技術者としての基本的な事柄に関する資格です。
ITの知識・技能はもちろん、システム開発の現場で活用できるスキルを持っていることを証明する国家資格なので、SEになりたい人の多くがこの資格の取得を目指しています。
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験は、SEのみならずIT業界に関わるさまざまな職種の人が取得できる資格です。
この資格は、経済産業省が『情報処理の促進に関する法律』に基づき認定しているもので、情報処理技術者として、一定水準以上の知識・技能を持っていることを証明する資格となっています。
この試験についてはいくつかの試験区分があるので、自分自身の現在の知識レベル・技術レベルに合わせて受検しましょう。
オラクルマスター(ベンダー資格)
ベンダー資格は、一般企業が独自に認定している資格ですが、オラクルマスターはソフトウェア開発会社のオラクル社が認定しています。
オラクル社の主要製品である『Oracle Database』についての技術を証明する資格で、ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナという4段階のレベルがあります。
ブロンズから取得していき、最終的にはプラチナを目指すことになりますが、ベンダー資格とはいえ国際的に通用する資格となっています。
SE中級者におすすめの資格
続いて、SEとしてさらにレベルアップしたい時に取得したい資格を紹介していきましょう。
応用情報技術者試験(国家資格)
ITエンジニアとしてのレベルアップを証明となるのが応用情報技術者試験です。現場で活用できる技術だけではなく、管理・経営といった総括的な知識・応用力までをカバーした資格となっています。
IT系のソリューション・製品開発について、独力でレベルの高い業務に携わるためには取得しておきたい資格です。
ネットワークスペシャリスト試験(国家資格)
その名の通り、ネットワークシステムに従事しているSE向けの資格です。ネットワークならではの技術・サービスなどを幅広くカバーし、現場で要求されるネットワークシステムの構築・運用ができるSEを目指す人は取得しておきたい資格の一つです。
具体的には、ネットワークシステムの企画・要件定義・開発・運用・保守など全般に主導的に関わり、メンバーへの指導も含めた業務ができることが求められます。
SE上級者におすすめの資格
SEの中級向けの資格を取得した後は、SEにとっての難関資格に挑戦してみましょう。
システムアーキテクト試験(国家資格)
システムアーキテクト試験は、高度なIT人材として専門部屋における豊富な知識・技術を持ち、情報システムやシステム開発における要件定義を行い、設計・開発を主導する業務に従事しているSE向けの資格です。
SEはシステム開発において工程を主導することになりますので、専門知識が必要なことはもちろん、そのシステムを完成へと導く設計力も求められます。
これらの能力を持っていると認められた人に与えられるのが、システムアーキテクトという資格です。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ(PM)は、システム開発などのプロジェクト全体の責任者として、品質・コスト・納期の全てを管理し、プロジェクトを成功に導くことが求められる職種です。
このプロジェクトマネージャ向けの資格がプロジェクトマネージャ試験で、プロジェクトの責任者としてプロジェクト全体の計画を作成し、実行するためのスキルを持っていると証明するものです。
SEからプロジェクトマネージャへとスキルアップするケースも多く、そのようなスキルアップを目指す人にとっては有効な資格と言えます。
資格以外に必要なスキル
このように、SEになるためには資格は不要とはいうものの、資格があった方が有利に働くことはたくさんあります。
しかし、SEとして成長するためには、資格だけでなく業務を進めるためのスキルも必要になります。資格を取得したとしても、最低限のスキルが身についてないければ、業務は円滑に進みません。
コミュニケーション能力
SEの仕事は、システム開発の依頼者であるクライアントの要件をヒアリングすることからスタートします。つまり、このヒアリングがうまくいかなければ、クライアントの要求するシステムは完成しません。
ヒアリングをうまく行うためには、コミュニケーション能力が必要です。そしてヒアリングして要件定義をまとめ、それをメンバーに伝えるためにもコミュニケーション能力は欠かせません。
資格を持っていても、コミュニケーション能力に欠けていると、プロジェクトはなかなか順調には進みません。
問題解決能力
SEはクライアントの希望を最大限実現できるよう計画を立て、現場のメンバーからの意見を調整しながら、システムの完成に向けて主導する役割を果たします。
しかし、システム開発にはさまざまな問題が起こるでしょう。その際にパニックになってしまっては、さらに状況は悪化してしまいます。
このような危機的な状況でも、優先順位をつけて一つずつ問題を解決していく能力がSEには求められます。どのような問題が起きているのか、解決するためにはどうすれば良いのかをすぐ判断できなければなりません。
問題解決能力の高いSEは、どんな現場でも重宝される存在として活躍できることでしょう。
マネジメントスキル
SEは、プロジェクトを成功に導くとともに、メンバーの状況を把握しマネジメントする必要があります。システムの構築と共に、メンバーが今どのような課題を抱えているのかを察知し、修正していきます。
いわゆるマネージャーのような役割ですが、マネジメント能力のあるSEがいれば、メンバーのモチベーションアップにも活躍できますので、プロジェクトの成功に一歩近づきます。
まとめ
SEの資格はIT系の知識・技術を問うものが多いのですが、中小企業診断士のようなビジネス系の資格を取得するのも、クライアントと向き合う意味においては役立つ資格と言えます。
このように、SEとして成長するためには常に知識・技術をアップデートしていく必要があります。そのための勉強として、資格取得を目指すという方法もありますので、ぜひ検討してみましょう。