エンジニアの単価はどう決まるか
エンジニアの単価はどのように設定されるのでしょうか。まず、『人月単価』という言葉を理解するところから始めましょう。相場算出の考え方も併せて紹介していきます。
人月単価とは
『人月単価』とは、ひと月あたりの1人要員の価格を表します。つまり、1人のシステムエンジニアにあたえられるひと月あたりの値段です。熟練度や企業ごとに金額が異なる場合がほとんどで、エンジニアの経験や技術力が高ければ、それに比例して人月単価も高くなります。
人月単価算出の考え方
人月単価は会社の規模や業績、さらには世界の経済情勢によっても変動します。それらをベースとして個人のスキルを見て、会社がエンジニアの人月単価を設定するのが基本です。
ここで注意しなくてはならないのは、人月単価の金額がそのまま給料に反映されるわけではないという点でしょう。人月単価=あなたのエンジニアとしての値段が100万円だったとしても、経費や会社の利益となる部分など、さまざまな金額が引かれたものが給料となるのです。
エンジニアの単価相場
エンジニアと一口に言っても、多くの種類があります。ここからは、代表的な3種類のエンジニアの単価相場について見ていきましょう。
プロジェクトマネージャーやITアーキテクト
プロジェクトマネージャーやITアーキテクトなど、エンジニアの中でも上位クラスの単価相場は高く、ほとんどのレベルで60万円を上回っています。
一般社団法人『日本ニアショア開発推進機構』によると、プロジェクトマネージャーの平均月単価は、初級業務で65万9200円、中級業務で85万6000円、上級業務になると113万6000円と、かなり高めです。収入面はエンジニア中でTOPクラスといえるでしょう。
ITアーキテクトの平均月単価は、アプリケーション保守業務で68万円、インフラ設計業務で90万0800円、上級業務で100万8000円となっています。
ITアーキテクトのなかで単価相場の開きはあるものの、それでもプロジェクトマネージャー同様、単価のクラスはハイレベルだと考えられるのです。
システム運用やソフトウェア開発
システム運用やソフトウェア開発は、やはりスキルレベルの差が大きく見える結果となり、上記の2職種よりは単価が落ちてしまいます。ただ、システム運用やソフトウェア開発を経てハイクラスの職種へと上がっていくため、つねに高みを目指す姿勢でいれば単価は確実に上がっていくでしょう。
前述の一般社団法人「日本ニアショア開発推進機構」によると、システム運用の平均月単価は、初級業務で48万4800円、上級業務になるとその倍近くまで跳ね上がり、96万円になります。
ソフトウェア開発の平均月単価は、テスティング業務で44万8000円、上級プログラミング業務で69万7600円と変化します。プログラミング言語の取得率によって単価に変動が出ますので、需要の高い言語を優先して学ぶようにしましょう。
フリーランスの場合
フリーランスエンジニアの場合は、月収40万円~60万円以上と単価が高めです。経験の浅い20代のフリーランスエンジニアでも、平均値くらいの単価はたたき出すことができています。
その大きな理由は、会社から給料をもらうのではなく、直接、企業から受け取る成果報酬型が多いためです。
人月単価でも説明しましたが、会社が決めた単価は企業から天引きされる前のものになります。フリーランスエンジニアであれば、そもそも構造上そのような天引きはなく、単価が収入となることが多いのです。
ただ、フリーランスエンジニアを企業が採用する場合、単価交渉が必ず行われます。企業が実績等を見て、自分の設定した単価よりも低い報酬を提示される可能性もあります。常に研鑽の心は持ち続けなくてはなりません。
フリーランスエンジニアが単価を上げるには
では、フリーランスエンジニアが単価を上げるにはどのような勉強や準備が必要なのでしょうか。
開発言語やスキルの向上
まず第一に、開発言語やスキルの向上を行うことをおすすめします。エンジニアの収入はプログラミング言語の習得率によって大きな変動をします。案件数の多い「Ruby」「Python」「C」を扱えるようになるのはもちろん、「Go」「Scala」「Python」などのトレンドの言語の習得も大切です。
さらに市場価値の高い他業種スキルの向上も、エンジニアの単価を上げるのに大切な要素でしょう。マーケティングスキルやコミュニケーションスキルなど、一見エンジニアには関係のないスキルを合わせることで、相乗効果が生まれ価値も上がります。
キャリアアップ
上記で紹介したとおり、エンジニアの単価はキャリアによって大きく異なります。つまり、単価を上げる最も早い方法は、キャリアアップを目指すことです。
積極的にスキルアップを行い、常に上流の仕事も視野に入れながら活動しましょう。自分の目指したいキャリアを明確にし、目標を意識しながら仕事に励むことが大切です。今まさに上流で働いている人へアドバイスを求めるのもいいですし、資格試験に挑戦するのもおすすめですよ。
単価交渉のポイント
ここからは、フリーランスのエンジニアが単価交渉をスムーズに進めるために知っておくべき方法を紹介します。いつもうまく交渉できず、安い単価で受けているエンジニアは勿体ありません。しっかり交渉を行い、正当な単価を得ましょう。
信頼が重要
人間関係において、もっとも重要な関係性は信頼です。初めて仕事をする相手を信頼するのは難しいでしょう。そのため、最初の単価は低い場合も多くあります。それからその単価に見合った仕事をつづけ、さらには単価以上の仕事をすることで、単価アップを狙えます。
納期の厳守や、クライアントが求める内容をいち早く理解して先回りして作成すること、クオリティの高い仕事を続けること、何かあったときはすぐに連絡をすることなど、当たり前の様ですができないことも多いこれらを誠実に行えば、次第に信頼度が高まり、単価交渉もしやすくなります。
タイミングを考慮
単価交渉を成功させるもう一つのポイントは、クライアントに提案するタイミングを考慮することです。目に見えて何の成果もあげていないのに、いきなり単価を上げてくれと言われても成功しにくいのは明らかです。
仕事に応用できる新しいスキルを会得したときや、たくさんの仕事を発注され仕事量が増加したとき、さらに半年以上一緒に仕事をしつづけたときなど、クライアント側が単価を上げてもいいと思いやすいタイミングで交渉を行いましょう。
交渉材料をしっかり準備
自分の能力が上がったと口で言っても、クライアントは即座に信じてはくれないかもしれません。単価交渉には、明白な『単価を上げてもいいと思える理由』が不可欠です。
たとえば資格を取得した証明書や、スキルアップが分かる資料など、交渉のための材料はしっかりと準備しておきましょう。
まとめ
エンジニアの単価は、クライアントからの信頼や仕事のスキル向上によって決まります。これまでよりさらに高い単価を目指すならば、単価アップのポイントを抑えて上手に単価交渉を進められるよう、しっかりとした準備が不可欠です。
準備が整ったら、不安なこともあると思いますが、正当に自分を評価してもらうため適切な単価交渉に挑みましょう。