ITストラテジスト資格のメリット
ITストラテジストは、企業の経営戦略に合わせてシステム設計や構築に従事し、運用後の結果を評価する仕事を行います。試験の難易度に比例して、習得後は多くのメリットが期待できる資格です。
自身の市場価値が上がる
現在の社会ではIT技術が非常に速いスピードで進化し、既存の企業もインターネットを無視して経営を行うことはできません。IT戦略の重要度が企業の経営において増していくことで、ITストラテジストの資格を持つ人材の需要は高まり、今後益々市場価値も上がるでしょう。
ITストラテジストの需要はIT企業に限定されません。資格を取ることで、他業種の情報システム系部門や、コンサル企業などからも求められる人材になれるでしょう。
転職、年収アップのポイントになる
IT技術に関する経験や知識を客観的に評価できる資格として、ITストラテジストの認知度は近年高まっています。ITストラテジストの資格保有者を優先して採用する企業も増えているのです。キャリアアップのための選択肢が広がる資格と言えるでしょう。
また企業で働いているITストラテジストの平均年収は、IT系国家資格取得者の中では最高水準です。一般サラリーマンの平均年収と比較しても高収入の部類に属し、転職による年収アップが期待できます。
ITストラテジストに必要なスキル
ITストラテジストは、IT系の知識に加え、組織管理能力やシステム戦略に関するスキルなどが求められます。現代のビジネスシーンにおいて、総合職のように活躍できる能力が必要です。
技術的な知識
他のIT系資格と異なり、ITストラテジストはプログラミングなど現場レベルの技術的な知識が必須ではありません。もちろん実務の経験があれば有利に働く側面はありますが、システムエンジニアやプログラマーなどの経歴がなくても取得できる資格です。
しかしIT技術に関する深く幅広い知識と、会社経営の改善にIT技術を活用させる具体的なイメージは必要です。モバイルやクラウドサービスなど技術の進化に強い関心を持ち、今後さらに影響力を増すIT技術に関しても高いレベルの理解が求められます。
マネジメント力
部下の能力やモチベーションを最大限に引き出し、組織が掲げた目標を効率よく達成させる管理能力は、ITストラテジストに求められる重要なスキルの1つです。
プロジェクトに関する上司への説明や円滑な組織運営に欠かせない、理論的で説得力のあるコミュニケーション能力も必要です。
システム戦略を考えるスキル
企業が策定したシステム情報戦略を理解し、策定への意思決定に対する理解を問われるため、経営の基礎知識や実務レベルの経験があると試験での説得力が増します。
また企業ごとの特性を見極め、適切なシステムの導入と経営戦略が立てられるコンサルティング能力が求められます。最新のIT技術を効率よく活かすアイデア力も必要です。
ITストラテジストの難易度
ITストラテジストの試験では情報技術の知識のみならず、経営に関する能力も試されます。合格に向けての勉強量がより多く必要な、レベルの高い国家資格です。
トップクラスの難易度
ITストラテジストは情報処理技術者資格の中で最難関と言われており、情報処理推進機構が定める4段階の難易度の中で最高のスキルレベル4に分類されています。近年の合格率は10~15%と低いレベルで推移しています。
ITストラテジストは、旧制度の『システムアナリスト』と『上級システムアドミニストレータ』を統合した資格です。同レベルで受験者数の多いIT系資格には、『プロジェクトマネージャ』や『ネットワークスペシャリスト』『情報処理安全確保支援士』などがあります。
試験内容
ITストラテジストの試験は午前IとII、午後IとIIの計4回の時間帯に分けて行われます。午前の2回は4択問題、午後Iは記述式、午後IIが論文です。午前IとII、午後Iで6割以上の正解率をクリアし、論文で最高評価であるAランクを獲得できれば合格となります。
内容は、例年IT技術全般と企業のシステム導入から評価までの理解が問われます。暗記すべき量はそれほど多くありませんが、情報や知識の活用力、システム構築に関する応用力や発想力が必要です。特に午後IIの論文では特殊な事例の回答を求められ、実務経験がなければ回答が厳しいような出題もあります。
とはいえ独学で合格している人も少なくない試験です。徹底的に過去問をこなし、質の高い論文対策を行うことで、合格することは十分に可能な資格だと言えるでしょう。
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:ITストラテジスト試験
まとめ
『経営とITを結びつける戦略家』と公式に銘打たれているように、ITストラテジストは情報社会のビジネスシーンで重要な役割を担う人材として活躍が期待されています。
また厚生労働大臣によって、弁護士や医師と並び『専門的知識等を有する労働者』に認定されているIT系資格です。現場ではやりがいや誇りを持って職務に従事できる立場となれるでしょう。