採用単価が高騰するエンジニア採用でガイアックスが大切にしていること

採用市場において採用難易度が増しているエンジニア。採用単価の高騰が深刻化しているエンジニア採用において、優秀なエンジニアを欲しいタイミングでしっかりと採用成功につなげているのが株式会社ガイアックスです。「ソーシャルメディアサービス事業」や「シェアリングエコノミー事業」「インキュベーション事業」を展開する株式会社ガイアックスがどのようにエンジニア採用を進めているのか、人事支援チームでエンジニア採用を担当する藤堂和幸氏にお話を伺いました。

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ガイアックスの人事は、縁の下の力持ち

ガイアックスにおける人事の役割

早速ですが、中途採用でエンジニアを採用する際、どのような点を重視されているのでしょうか?

株式会社ガイアックス 藤堂和幸氏(以下、藤堂氏):基本的には各事業部の働き方や考え方、ミッションとマッチしていることを大切にしています。というのも、中途採用に関しては各事業部のニーズや必要とするスキルの差が大きく、採用基準はお任せしているんです。

▲採用チームは、様々な事業部・投資先の共有アセットとして機能(2020年12月期 第2四半期 決算説明資料 32ページより) 

なので、私たちガイアックスの人事は『人事支援チーム』として、各事業部の要望に合わせて採用の要件定義、募集、面接のセッティング、選考を行っています。

会社全体としては、どのような点に注意して採用を行っているのでしょうか?

藤堂氏:入社する方がガイアックスにきちんとフィットして、人生をより良い方向に進めていくために適した場所であると感じていただけることですね。ですので、「ガイアックスに関わることで、その方の人生のプラスになるか」ということは必ず考えていただくようにお願いしています。それ以外だと、先ほどもお話した事業部の方針を尊重しています。

お話を聞いているとガイアックス社の人事は採用コンサルタントのようですね。

藤堂氏:そうですね。私たち人事の役割は事業部支援なので、コンサルのように各事業部や投資先に入っていって、実務も含めて支援していくスタンスです。

例えば、ある事業部でピンポイントにスキルを持つ人材が必要であれば、事業部で採用・契約を行うつもりで進めていただき、その採用支援を人事で行う、という考え方です。ガイアックス社にとって事業部は投資先になりますので、投資先の採用選考を私たち人事支援チームが代行している形です。

ガイアックス流、エンジニアの採用単価の決め方

予算と採用単価の考え方

事業部によって採用にかけられる予算は違うのでしょうか?

藤堂氏:事業部の予算から採用にかかる費用は出てくるので、事業部のフェーズによって採用にかけられる予算が大きいところもあれば、小さなところもあります。事業部によっては、正社員を採用するのは難しいフェーズの事業部もあるので、その辺は状況を見ながら判断しなければいけません。その代わり、私たち人事支援チームが動く費用はかからないので、採用予算内でできる適切な採用手法を提示し、支援しています。

エンジニアの採用単価を決める背景、経緯について教えてください。

藤堂氏:中途採用では、事業部に採用予算を聞いて、採用予算にあわせて採用手法を組み立てています。

例えば、年間採用予算が1000万円、想定年俸が500万〜600万円であれば、残り400万円を採用予算として、採用手法を組み立てます。

「人事支援チームでスカウト媒体を月額で契約しているので、紹介手数料が追加でかからないスカウト媒体でスカウト打ちましょう」と薦めたり、「この予算だと外部費用を出すのは難しいので、ブログやインタビュー記事を書いて求職者に応募を促してみましょう」などと、様々な採用手法を取り入れつつ、事業部に提案しています。

直近だと、広告や人材紹介のエージェントをフル活用して、年俸600万円くらいの人を250万円くらいかけて採用したケースもあれば、社内で求人について告知をしたら、リファラルで3日で入社が決まった人もいます。

採用単価を下げ、欲しい時に優秀な人材を採れる採用広報の効果

▲ガイアックス社の運営するYouTubeチャンネル「gaiax official」 

採用単価を下げるために意識している採用手法

様々な採用手法がある中で、特に力を入れているのはどのような採用手法でしょうか?

藤堂氏:採用広報にお金と労力かけています。様々な媒体で積極的に発信しています。

採用広報で何を発信するか、という一定の方向性はもちろんありますが、人材支援チームのメンバーのミッションとしての指向性はだいたい揃っているので、生活の中で発信していくと自然と揃った多様なメッセージを発信できています。

なので、結果として社風に近いものが表現されていくイメージですね。Twitterも実名でやってるメンバーもけっこう多いですよ。

なるほど、採用広報はどのように採用単価の引き下げに役立つのでしょうか。

藤堂氏:短期で採用しようとしたらどうしても紹介フィー、媒体掲載など費用がかかる上に、これらの費用は将来に向けて蓄積される効果がありません。そのため、長期間効果を持続させることができる採用広報を取り組んでいくことが採用単価を抑える上でも重要です。「フィット」と「タイミング」と「仕事内容」の三つの要素が揃うことが大切だと考えていて、その人がやりたい仕事がガイアックスにあるタイミングでポンと入ってもらう。そういう状態で入社できるタレントを多くプールしておくために、採用広報を頑張っています。

タレントプールの効果と作り方

採用広報がなぜタレントプールに効果的なのでしょうか?

藤堂氏:生き方が多様になっている今の時代、会社の何がフックになるかわかりません。ですから、一人でも多くの人に興味持ってもらえるように採用広報に力を入れる必要があります。間違って伝わってしまったメッセージは、選考で修正すれば良いと思います。ガイアックスでは、ブログをたくさん書いて、YouTubeにたくさん投稿して、TwitterもFacebookも運用して、イベントを数多く開催といった形で情報を発信。いろいろな角度から打ちまくることで、それがフックを広げることになり、実際に応募が増え、タレントプールへとつながっています

タレントプールの強化施策のひとつとしてイベントを定期的に開催されているとのことですが、どのようなイベントを行っているのですか?

藤堂氏:教育や地方創生など多岐にわたりますが、エンジニアリングということで言うと約4年ほど、「ガイアックス Technical Meetups」というイベントを月1回くらいのペースで開催しています。

これまでに1500人の方に参加いただいていて、緩い内容から結構ガチな内容まで幅広いイベントを催しています。例えば「【オンライン】ITエンジニア怪談 ~背筋も凍る、ゾッとする話Night」みたいな内容のイベントでは、エンジニアならわかるゾッとする話を発信して盛り上がったりしています。参加していただいた1500人は、過去のポテンシャル採用や新卒採用で継続的に関わりを持っている人も多くいて、イベントだけではなく、定期的に会うこともしています。

▲イベントの様子(「ITエンジニア怪談」ではありません) 

中にはガイアックスに本気で来て欲しいと思ってる人もいて、そういう人にはガイアックスの開発部長が社外メンターとしてついていたりします。3ヶ月に1回くらいのペースで社外メンターとして、「最近どう?」という会話から始まり、悩んでいるときには相談に乗ったり。

そうした接点から狙ってる人に副業で入ってもらうことも結構あります。さらに、そこから転職という流れになってくれればいいなと思っていますね。こうした流れのほうがお互いのことをよく知れて、ミスマッチの解消につながっています。

ガイアックスの求めるエンジニア像

ガイアックス社の採用広報で「自走できる」「アントレプレナーシップ」という採用基準のキーワードをよく目にしますが、エンジニア採用にもアントレプレナーシップは求められるのでしょうか?

藤堂氏:基本的にガイアックスとして一番期待したいキャリアパスは、自分が人生をかけてもいいと思った投資先への移籍。そしてCTOといった役員へのキャリアを歩んでくれることが一番うれしいと思っています。例えば、インフラエンジニアとか、Flutterエンジニアといった◯◯エンジニアってあるじゃないですか。そういうワンポイントでスキルを掘り下げていくというのは、あまりガイアックスとしてはフィットしない感覚があります。

▲ガイアックス社のフィロソフィー 

どちらかというと、スキル重視というよりも、課題をどういう風に解決していこうか、どんな技術を使ってもいいし、知っても知らなくてもいいし、もし知らない技術でしか解決できないとなったら知らない技術を勉強しなきゃいけない。という感じで課題をどうにか解決していくスタンスのほうがフィットしますね。

そういうところをしっかり見つめて、技術で解決することを考えられる人、実際に行動に移せる人が、エンジニアにおけるアントレプレラーシップだと思っています。

そういった考える力、課題を捉える力は、何回も面接されて判断されるのでしょうか?

藤堂氏:先ほども少し触れましたが、面接だけではなく、副業で一緒に働いてもらって判断することが今の主流です。というのも、従来は契約社員として入社していただくケースが多かったのですが、それはお互いにとってリスクの高い選択でした。

そのリスクを回避するためにも、現状は副業で週1~2回のペースで、1ヶ月ほど一緒に働いてみて能力や働き方、文化とのフィット度を判断しています。副業を経て、一緒に働きたいのですがどういう働き方がいいでしょうか?と協議して決める、というケースが増えてきていますね。

ミスマッチを生まないための取り組み

採用広報を通じてミスマッチなく入社された方々が、入社後も活躍できるように行っている取り組みについて教えてください。

藤堂氏:少し前までは、スキルアップの場を提供するのが会社の役割のように考えたんですけど、必要なスキルを会社が決めるということに関する違和感が最近強くありました。スキルアップが必要なのは、当人が一番わかってると思うので、スキルアップは各自でしてもらい、そのための環境や支援体制を用意するほうが、理に適ってるなと思っていたんです。

ガイアックスでは、スキルアップの必要性を感じ、スキルを身に付けたをあなたのブランディングを会社がやっていってきます、という考え方を大切にしています。なので、ガイアックスのPeopleページはすごく充実してるんですよ。

▲Peopleページ。退職した人も含めガイアックスに関わる人のプロフィールが記載されている 

退職した人や業務委託の方も載せているんですが、それは実際にその人の名前で検索して、ガイアックス時代の業績だったり、やってきたことが全部載っていたほうが本人にとってプラスですし、嬉しいじゃないですか。そういう取り組みを大切にするとコミュニティが切れずにずっと続くんです。

だから、入社したときから個々のブランディングをしていく。そして、ガイアックスを退職してもコミュニティを途切れさせないようにすることで、ガイアックスのミッションをわかっている人が社外にいる状態をたくさん作る。そうした充実したつながりを保つことも優秀な人材を欲しい時に採用できるポイントではないでしょうか。

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