エンジニア採用の難しさとは。GMOペパボで実践する、技術・給料・文化のギャップの埋め方とは

「本当に必要なエンジニアの採用には現場とのコミュニケーションが欠かせない」と語るのは、GMOペパボ社でシニアリクルーターを務める貝瀬さん(@3loversnet7)。過去には、エンジニア経験がない採用担当者もGHEを使って選考ステータスの管理を行っていたなど、エンジニアと採用担当者がとても近い採用体制です。今回は、貝瀬さんにエンジニア採用で問題になりやすい技術・給料・文化のギャップをどのように解決しているのか、実践方法について伺いました。

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プルリクで採用から評価まで一気通貫。ペパボのエンジニア採用の裏側

全社のエンジニア採用を1人で行っていたということですか?

貝瀬氏:求人を作るところから内定を出すところまで、2018年までは中途採用はオペレーションも含め一人で担当していました。なぜそれができていたかというと、弊社の場合、採用に現場が積極的に関わってくれているからです。

GitHubを使っていたんですか??

貝瀬氏:今はATS(採用管理システム)を導入していますが、それまでは採用の選考のステータス管理などは全てGHE(GitHub Enterprise)で行なっていました。

当時もATSの利用はあったのですが、選考担当者と共有するための管理ツールではなかったため、レジュメの共有や担当者のアサインはGHE上で行い、そのGHEのURLをGoogleカレンダーで提示しておくだけで進めることができていました。合否を含めた選考評定もGHE上で記載してもらい、ラベルで可視化するということを2014年から2017年まで行っていました。

▲当時のGHEでの採用管理の画面 

すごいですね。どうしてGHEで管理を始めたんですか?

貝瀬氏:弊社には100人を超えるエンジニアがいて、社員数の約30%を占めています。弊社はモノづくりの会社です。そのためにエンジニアが使用している良いツールがあれば、全社的に導入検討する流れがあり、採用周りでも良いツールがあれば積極的に使用しているんです。

採用でGHEを使い始めた当時も、そのような背景からです。以前は社内のパートナー(ペパボでは社員のことをパートナーと呼んでいます)や候補者ともメールでやりとりをすることも多かったのですが、エンジニアは普段メールを見る習慣があまりないんですよね。採用担当は早く結果をもらいたい、エンジニアは応募に早く気づいて対応したい、という双方の想いからGHEに移行しました。

選考にかかわるエンジニアには、スペシャリストやエンジニアリングマネージャーといった上位層の方も加わっており、応募があれば職種ごとに設定されている選考ペア(選考は基本2人のエンジニアで対応しています)を充てていくという構造化ができています。そういったことができるのも、日常的にエンジニアとGHE上でフローを共有しているからだと思います。

貝瀬さんは元々エンジニアだったわけではないのですよね?

貝瀬氏:はい、前職もエンジニア採用を行なっていましたが、エンジニアとしての経験はありません。

エンジニアとうまくコミュニケーションをとることは、採用担当として重要なポイントだと思っています。なので今は、エンジニアリングマネジメント学習会という読書会に参加させてもらい、エンジニアの方の視点などを学んでいたりします。

私自身もエンジニアと関わっていくにつれて、コードを書いてそれが動く楽しさに興味を持ち始めたこともあり、去年はRails Girls Fukuoka 2ndのオーガナイザーをやらせていただいたり、社内では周りに協力してもらいながらGoogle Apps ScriptでGoogleフォームでアンケートの回答が来たらSlackに通知させるという仕組みを作ったりしています。

どうしてそんなにエンジニア文化が強いのでしょう。エンジニアじゃない人もGHEを使ったりしてるんだろう、できるんだろうっていうのが気になりました。

貝瀬氏:エンジニア文化、というよりはより効率化できたり可視化できたりするものを選択していった結果、という表現が正しいかもしれません。社内の評価はすべてGHEで行っており、全社ですでに浸透している状況があります。プルリクエストを出して、評価が終わったらマージをすることが私たちの評価制度の進め方になっています。

ほかには弊社の採用サイトでもGHEを使っています。求人の公開・非公開や求人票のアップデート(今はエンジニア職のみ)も、GHEのプルリクエストで管理しています。採用における人事のあり方として、選考に関わる人たちが少しでも効率よく対応できるために、環境を整え、情報を提供していくことは意識しています。

技術力と給料のギャップをいかに埋めるか

エンジニアのバックグラウンドの無い中、エンジニアの採用をやってきて、苦労したことはありますか?

貝瀬氏:技術に貪欲でレベルの高いエンジニアが社内にたくさんいるので、彼らの視座を大切にしながら採用することを心がけています。採用において、採用人数だけに縛られて本当に現場が欲しい人材の採用ができているか、入社後活躍し続けられる伸びしろがあるかなどがおざなりになってしまうことは良い採用とは言えないと思っています。

弊社の採用ではベースとしてアウトプットを求め、コードの書き方も考慮します。たとえば、ある志望者のGitHubを見て「このコードの書き方は、弊社のコードの書き方に慣れてもらうには時間がかかりそう」という話が出たことがあります。「弊社だと自分を否定されたように感じてしまうかもしれないね」という話になって、お断りしたこともありました。

逆に実務経験はまだ浅いけれど、提出いただいた内容が素晴らしい、しっかり理解しているという判断から採用に至るケースもあります。

技術力に加え、私たちのカルチャーにフィットするかどうかも面接で確認しています。こういったお話をするとペパボの採用は厳しいと思われてしまうかもしれません。

ただ結果として、弊社に入社していただいて3年以内で辞めるエンジニアはほぼいません。意欲があれば成長できる環境を提供できているのだと考えています。

ひとりのエンジニアから見たペパボの企業理念と行動指針 - ペパボテックブログ

レベルの高い人たちをどうやって惹きつけるのですか?

貝瀬氏:面接の中でお伺いしたことを踏まえて、個別にオファーレターを作成しています。オファーレターには、面接でお聞きしたビジョンを弊社で実現するプロセスや、等級を上げるためには何が必要なのかといった点も含めています。オファーレターもエンジニアと協力して、部門から出してもらうようにしています。

弊社の志望度が2番手だった方に入社していただいて、採用に結びつけにくいモバイルエンジニアの採用が成功することもあります。

意識していたのは、スカウトメールのような内容(あなたの◯◯の経験がペパボの△△を進めていくにあたりとても必要です)も含め、なぜその候補者が必要なのか、ペパボに入社したら転職で叶えたいと言っていたことが叶えられる、という点を書いてもらうことです。

またオファーレター以外でも、ペパボのイメージを良くすること、つまり、応募前段階でペパボのエンジニアの露出を増やすことを意識しています。例えば大規模カンファレンスをはじめとした各種勉強会の登壇やSNSなどのアプローチ、OSSへの貢献などでペパボエンジニアを知ってもらう取り組みでしょうか。

質が高いからこその難しさという点は、ペパボさんにとってはかなりクリティカルですよね。

貝瀬氏:そうですね。今は働き方が変わって、オンラインで教育をするのが難しいということもあり、即戦力をメインとした採用が中心となっています。環境さえあれば伸びる方もこれまで採用してきましたので、以前行なっていた「ペパボカレッジ(研修付第二新卒採用)」も復活させていきたいという考えもあります。

文化マッチをどう判断するか、リモートとその課題とは?

リモートワークになってから、他に変わったことはありますか?

貝瀬氏:もともとオンラインでも面接を実施していたので、そこまで大きな変化はありません。ただ、採用では文化マッチも重要視しているので、仕草や雰囲気から感じ取れる情報がないことの影響はあります。

リモートになることで文化や繋がりが薄れてしまう点は懸念しています。一人で作業をしていると、自分のことだけにフォーカスしてしまう恐れもあります。チーム全体に視野を広げ、常に文化を意識するように心がけています。

また、以前は各オフィスごとに担当サービスが分かれていたのですが、居住地が自由になった分、応募時にサービスも自由に選択できるようになりました。サービスに興味や愛着を持ってご応募いただく方は多いのですが、ペパボという会社自体に愛着を持っていただける方に来ていただけると嬉しいです。

エンジニア採用面接では入った後のパフォーマンスを見極める

一次面接では、どういった観点から評価をしているのですか?

貝瀬氏:主に技術とカルチャーマッチの二つです。一次面接では、社員の評価をする上位職の人たちが面接担当としてランダム(※)に選ばれ、『ペパボのエンジニアにふさわしいか』という観点から評価をしています。二次面接は、サービスを管掌している役員とマネージャーに加え、予算を見ているマネージャーと私が入るというのが基本です。面接回数が3回の部署もあります。

※応募時の希望サービスのSEL(シニアエンジニアリングリード=サービスごとのエンジニアリング責任者)と、その他にランダムで選ばれたエンジニアが同席します。

技術力が高くても、カルチャーがマッチしていなければ採用はしないのでしょうか?

貝瀬氏:そうですね。たまにあるのが、スキル的に魅力的なエンジニア面接した際に、弊社のことを何も知らないという例です。そのため、面接の前に必ず指定のブログを読んできてもらう様に伝えているのですが、面接で質問しても読んでいなかったら、志望度が高くないと受け取ることはあります。

入社決定者からの応募ははどういった経路が多いですか。

貝瀬氏:リファラルが多いです。いまは完全にリモートなので、関西に住んでいる方が応募してくださったり、家庭の事情で引っ越してしてまい、1回辞めた人たちが帰ってくるアルムナイ(出戻り)採用もあります。ホームページなどで自発的に探してくるエンジニアの方が、『会社が成長するためにこうしたい!』という目標が明確になっていることが多いです。

入るときだけではなく、入った後のパフォーマンスを比べた結果ということですよね。

貝瀬氏:そうですね。最終面接では、その人の将来を想定し、成長速度も含めて判断します。今技術のレベルが高くても、数年後も同じレベルかもしれないと考えれば、再度検討する必要があるということになります。逆に、一次面接から最終面接の期間で著しい成長が見られた場合は、伸び代があると捉え、採用することもあります。

ペパボが求めるエンジニアの素質

面接では、例えばどのようなところを見ているのですか?

貝瀬氏:弊社の面接では評価軸が構造化されていて、6つの軸を基に評価しています。そのうち3つは社員の評価制度にも紐づけられているので、できるだけ評価する側のエンジニアに負担ががかからない仕組みになっています。レベルを点数化し、面接での印象は文章としても残すようにしています。

具体的には『作りあげる力』『先を見通す力』『影響を与える力』の3つが現場の評価軸です。技術力と、今後を見据えて開発の手段を見極める力と、周囲に影響を与えたりフォロワーシップを持てることですね。

文化マッチに関しては、『みんなと仲良くすること』『ファンを増やすこと』『アウトプットすること』という点に加え、自分なりに何を考えているのかを伺っています。

エンジニアの評価精度について|ペパボのエンジニアの各種制度 2020 夏 - ペパボテックブログ

最後になりますが、エンジニアの採用をやっていて楽しかったエピソードはありますか?

貝瀬氏:一緒に採用活動を盛り上げ、作っているという気持ちが持てる点がとても心強く、ありがたいです。入社が決まった時にSlackのチャンネルに連絡をすると、みんながイエーイとか、やったねとか、よっしゃーとか、リアクションの絵文字などですごく反応をしてくれます。自分事として捉えてくれるエンジニアが多くて、一体感が強いという点が弊社の魅力だと思います。

10月から採用担当が増えたので、よりたくさんの方々とお会いしたいと思っています!

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