IT企業にリモートワークが注目されている背景
IT企業でリモートワークが注目されていますが、多くの企業が導入している背景にはどのような事情があるのでしょうか? 法令や業界特有の特徴といった観点から解説します。
働き方改革関連法が施行された
2019年4月1日から「働き方改革関連法」が施行されました。この法案全体のポイントは以下の3つです。
- 時間外労働の上限規制の導入
- 年次有給休暇の確実な取得
- 正規・非正規雇用労働者の不合理な待遇差の禁止
時間外労働は月45時間、年360時間と上限を定め、これを超える残業はできなくなりました。また、これまで年次有給休暇は労働者が自ら申し出るものでしたが、改正後は会社が働きかけ、年5日は取得できるようにしなければなりません。
さらに、企業内での正規・非正規雇用労働者間で、基本給や賞与などの待遇において不合理に差をつけることが禁止となりました。何を不合理とするかという基準が明確化され、待遇が正当か適切に判断できるようになっています。
IT企業にはリモートに移行しやすい業種が多い
リモートワークに向いている業種の条件には、以下のようなものがあります。
- 場所を選ばず仕事ができる
- 評価制度が明確
- 勤怠・業務管理がしやすい
特定の場所や機材が必要な業種はリモートワークには向いていません。その点、IT企業はパソコンひとつあればどこでも作業できる業務が多く、リモートに移行しやすいです。
また、リモートワークでは働いている様子を見ることができないため、成果で評価することになります。提出する成果物があるITエンジニアは特に適していると言えます。また、プロセスを定量化して、成果として評価している企業もあります。
さらに、リモートワークでは、勤怠・業務管理をスムーズに行うことが求められますが、全員がパソコンで作業する企業であればシステムを一元化するのは容易です。
IT企業がリモートワークを導入するべき理由
リモートワークの導入には多くのメリットがあります。その中でも主なものを解説していきます。
生産性が向上する
リモートワークの導入で期待されるのが、生産性の向上です。まず、オフィスに行く必要がないため移動時間が短縮されます。通勤のストレスから解放されるといった副次的な効果もあります。
さらに、目的のない会話や不意の作業中断が減り、全体の効率が改善されます。誰にも邪魔されずに作業ができるため、自分のペースで仕事を進めやすくなります。
企業・従業員コストを削減できる
リモートワークでは、オフィスを持つ必要がなくなるため、オフィスにかかる家賃や光熱費といった固定費を削減できます。机や椅子といった備品にかかる経費も必要ありません。
企業全体のみならず、従業員一人一人にかかるコストも削減できます。通勤する必要がないため、交通費の支給も不要です。細かいところですが、従業員が多い企業ほど、この恩恵は大きいでしょう。
世界中から優秀な人材を確保できる
オフィスへの通勤が義務の場合、地理的な理由で働くことができない人が出てきます。
しかし、リモートワークを導入すれば世界中に人が採用の募集対象になり得るので、母集団が拡大し、より優秀な人材を確保できます。
また、勤務地や就業時間が制限されないことにより、人材が多様化し、チームの活性化や新たなアイデアの創出も期待されます。
リモートワークを導入しているIT企業の実例
IT企業では、すでにリモートワークを導入している企業がたくさんあります。その中で、導入を成功させている実例を紹介します。
成果主義を徹底している日本マイクロソフト
日本マイクロソフト株式会社は、マイクロソフト コーポレーションの日本法人です。リモートワークの申請や頻度の制限は全くなく、多様な働き方を推奨しています。日本マイクロソフトはリモートワークに必要なツールが既に手元にあったことから、東日本大震災を機にリモートワークに移行しました。
また、全く出社しなくてよい働き方を実現できた根底には、「プロセスは一切評価せず、結果のみを評価する」という評価思想がありました。現在は、新型コロナウイルスによってリモートワークを余儀なくされた企業の支援も行っています。
出典:【特集】 わが社はこうやってテレワークしています【日本マイクロソフト編】
ChatWork
ChatWork株式会社は、「チャットワーク」というビジネス向けのチャットサービスを提供している企業です。起業当初から、チャットワークを用いたリモートワークを実現させていました。
チャットで済むところはチャットで済ませ、直接話すべきところにフォーカスすることを重視しています。また、採用において体験入社を導入し、会社の価値観に合致しているか確かめる機会を設けています。これらの取り組みにより、リモートワーク体制を整えているのです。
出典:新しい働きかたを支えるコミュニケーション ~ ChatWork 山本正喜 x SonicGarden 倉貫義人 | リモートワークラボ
株式会社overflowは完全リモートワーク
ハイクラスエンジニアの副業転職サービス「Offers」やデジタルマーケティング支援サービス「for Reader」を運営する弊社では、創業時からリモートワークを前提として柔軟な働き方を追求しており、今では全従業員約300人がリモートで稼働しています。
2020年4月にはオフィスを解約したことで、物理的なオフィスに依存しないリモート企業になりました。
リモート導入のマニュアルやチェックリストを公開しています。
これまでのリモートでの組織運営ノウハウを生かし、リモート導入を進めている企業の支援をしています。
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まとめ
法令やIT企業の特徴といった背景からリモートワークは注目されています。リモートワークには、生産性の向上やコスト削減などメリットが多くあり、正しい施策を講じた上で導入すれば、大きな成果が期待されます。さまざまな企業での導入事例を参考に、自社にあった形で導入し、時代の流れにうまく乗っていけるようにしましょう。