ピクトグラムについて知ろう
近年ピクトグラムが身近になりつつある一方で、ピクトグラムという言葉自体は一般にはまだ浸透しておらず、日常生活で耳にする機会はあまりありません。そもそもピクトラムとは何を表すものなのでしょうか。ピクトグラムの歴史とともに紹介します。
ピクトグラムとは
ピクトグラムとは、人々に特定の情報を示すために表示されている視覚記号です。公共機関やビジネスの現場、施設など人の集まる場所で使用されることが多く、主に図や記号を用いて表示されます。
よく目にするピクトグラムとして、非常口近くにある人の図や、公衆トイレの前にある男子トイレや女子トイレのイラストがあります。
文字情報ではなく、線や図形、イラストといった視覚情報として表示されるので一目でわかりやすく、世代や国籍を超えた幅広い人々に理解してもらえるという特徴があるのです。
ピクトグラムの歴史
ピクトグラムはもともと『アイソタイプ』と呼ばれていました。1920年代の写実主義やアール・デコの美学から派生して生まれた直感的な視覚記号として、主に児童教育の現場で活用されていたのです。
その後、多くの人が集まる公共空間の場においても視覚記号の必要性が高まるようになり、1964年以降、日本で開催された東京オリンピックをきっかけにピクトグラムが世の中に浸透していったのです。
オリンピック開催国には、世界中から大勢の外国人が押し寄せてきます。公共機関を利用する人も多く、その利用方法や行き先、注意事項など分かりやすく伝える手段としてピクトグラムが使われたのです。
フリーで商用利用できるサイト
ピクトグラムはWEBサイトとの相性がいいことから、ウェブ上には様々なピクトグラムが掲載されています。ビジネスの現場を中心にピクトグラムを活用する機会も増えていることから、普段からできる限り多くのピクトグラムに触れておくとよいでしょう。
ネット上には商用利用できるピクトグラムを公開しているサイトが沢山あり、簡単にアクセスして利用できます。そのいくつかを紹介しますのでぜひ参考にしてください。
AIなど形式が選択できるヒューマンピクトグラム2.0
『ヒューマンピクトグラム2.0』では、WEB制作、DTP制作、書籍の挿絵、パワーポイントやWORD、エクセルなど、資料制作や広告などのデザイン素材として利用できるたくさんのピクトグラムが無料で配布されています。
アドビ・イラストレーターの『AI』ファイルや『PNG』『JPG』などの形式にも対応しているので汎用性があり、状況に応じて使い分けることもできるのでおすすめです。
3Dで見やすいフリー素材 ピクトグラム 3D
使用申請や会員登録をする必要がなく、気軽に使えるフリー素材を豊富に掲載している『フリー素材 ピクトグラム 3D』というサイトもおすすめできます。
ピクトグラムが3D形式で立体的に作られているので視覚効果が高く、バリエーションも豊富に取り揃えている点が特徴です。いずれの素材も背景が白なので使いやすく、切り抜いて使うことや重ねて加工することもできます。
バリエーションが豊かなので、このサイトを利用することであらゆる状況をピクトグラムで表現できるでしょう。
ピクトグラム作成やデザインのポイント
実際にピクトグラムを作成する場合、特に初心者は何から手をつけて良いのか分からず戸惑う場面が出てきます。また使用目的とデザインの整合性が取れず、ピクトグラムとしての役割を果たさない作品ができてしまうケースもあるでしょう。
ピクトグラムは単なるデザインではありません。そこにはメッセージや役割があり、それらが十分に機能するようなピクトグラムを作成する必要があるのです。
ここではピクトグラム作成やデザインのポイントについて解説します。
作成の手順
ピクトグラムを実際に作る場合、コンセプトや作業計画を立てずに作業を進めてしまうと良質なピクトグラムはなかなか誕生しません。そのピクトグラムがどのような役割を果たすのか、最初の構成段階からきちんとコンセプトを練り上げてから作業計画を立てる必要があります。
どのようなピクトグラムを作るのか、そのピクトグラムの役割をもとにイメージを組み立てながら順番に作成することが大切なのです。
ここではピクトグラムの一般的な作成手順の一例を紹介します。以下のとおりです。
- 作成するピクトグラムのコンセプトを練る
- デザインの案を作り紙に書く
- どの図形や線を利用するかピックアップして決める
- 色や線の太さ、曲線の角度を決める
- 作成に取り掛かる
デザインのポイント
デザインをする際は、作成前にあらかじめ決めておくべきポイントがいくつかあります。そのうちの一つが作成サイズを統一することです。
複数のピクトグラムを作る際、サイズがバラバラにならないように統一しておけば、全体的にバランス良く仕上げることができます。サイズを統一せずに制作を進めると、納品の時にサイズ調整の手間がかかります。あらかじめ決まった規格の枠内で作業するなど、全体のサイズを統一できるフォーマットを用意しておくと便利です。
また、線(白抜き)で作るのかベタ塗りで表現するのかという点も事前に決めておくとよいでしょう。どちらにするのか悩む必要がなくなり、作業効率が格段に上がります。
細かな作業のやり方を、着手する前に決めておくことで作業スピードが格段に上がります。作成しながら抱える悩みを、できる限り事前に解消するよう心がけるとよいでしょう。
ピクトグラムの作成方法
ピクトグラムはシンプルなデザインなので簡単に作りやすく、線や図さえ描くことができれば作成することが可能です。ピクトグラムを作ることができる、いくつかのツールを紹介します。
エクセルでの作成
ピクトグラムは『エクセル』で作成することが可能です。エクセルには図形ツールや描画ツールが搭載されているので、それらを上手に組み合わせることで、シンプルなピクトグラムを作成できます。
イラストレーターでの作成
アドビ・イラストレーターの豊富な機能を活用すれば、よりデザイン性の高い複雑なピクトグラムの作成が可能です。プロのデザイナーなどはイラストレーターを使いこなして、クオリティの高いピクトグラムを作成しています。
イラストレーターは使いこなせるまで少し時間がかかります。操作に慣れるために暇を見つけて頻繁に触るよう心がけるとよいでしょう。
パワーポイントでの作成
『パワーポイント』でピクトグラムを作成する場合は、新しいスライドを作り文字や図形を挿入します。画像ファイルも添付できるので、様々なスタイルのピクトグラムを簡単に作ることが可能です。
作成サイトを利用する
ピクトグラムやアイコンの作成サイトを利用すると、簡単にピクトグラムを作成できます。丁寧に解説しているサイトも多いので、活用してみてもよいでしょう。
ピクトグラムをビジネスに利用
ビジネスをするにあたり、そのビジネスモデルを理解する必要がありますが、様々な要素が絡み合うことでビジネスモデルが分かりにくくなる場合があるのです。そのような場面でピクトグラムは活躍します。
ピクト図解とは
ピクト図解とは、『誰が』『誰に』『何を』『いくらで』といった4つの要素に着目し、ピクトグラムなどのシンプルなシンボル記号を用いて、ビジネスモデルを視覚的に分かりやすくしたものです。
ピクト図解は、複雑なビジネスモデルを分かりやすくシンプルにしてくれるのです。
ピクト図解の有用性
基本的なサービスや商品を無料で提供して顧客を集め、メインとなるサービスへと誘導していく『フリーミアムモデル』と呼ばれるビジネスモデルがあります。
このフリーミアムモデルは、業界によってはそのビジネスの内容が分かりにくい場合があります。複雑なフリーミアムモデルを見える化して分かりやすくするツールとして、ピクト図解が頻繁に用いられるのです。
また、ピクトグラムが大いに活用されている例としては、Amazonのビジネスモデルが挙げられます。Amazonが提供するサービスは、他社の商品販売のプラットフォームを提供する手数料ビジネスだけでなく、自社製品の販売や映像配信など、取り扱うサービスの種類が多く、ビジネスモデルも複雑になっています。
Amazonのような多岐にわたるビジネスの内容も、ピクト図解を用いて視覚化することによって分かりやすくなり、一目で理解できるようになるのです。
ピクト図解の描き方
ビジネスを構成する基本的な構成要素は3W1Hと呼ばれており、『Who(誰が)』『Whom(誰に)』『What(何を)』『How much(いくらで)』の四つの要素で成り立っています。
ピクト図解を描く場合は、この四つを常に意識することが大切です。どんな商品が、誰から誰に、いくらで取引されているのかが上手にまとまって視覚化されれば、そのビジネスモデルの概要を理解することは可能なのです。
まとめ
人と人とのコミュニケーションをつなぐツールは時代とともに進化を続け、言葉だけでなく文字や図形、画像などでも意思を伝えることができるようになりました。
また、図形などを作成する技術も決して特別なものではなく、テクノロジーの発達のおかげで、誰でも手軽にパソコンを使ってイラストを描ける環境になっています。
ピクトグラムの作り方を身につけておくと、様々な場面で役に立つでしょう。今後、自分でピクトグラムを作成する機会がいつ訪れてもいいように、基本的な作り方を身につけておくことをおすすめします。