ピクトグラムのデザインのコツは?作り方のポイントとおすすめ書籍

シンプルなデザインで情報を伝えることができるピクトグラムは、作れるようになればデザイナーとしての仕事の幅を広げることができます。ピクトグラムを作るにあたってのデザインのコツや、おすすめの書籍について解説します。

ピクトグラムについて理解しよう

街中の看板や標識、駅や商業施設の案内板などで見られるピクトグラムは、情報をシンプルに視覚化したもので、絵文字とも呼ばれています。ピクトグラムの歴史やデザイン料の目安、ピクトグラムが抱えている課題について解説します。

ピクトグラムの歴史

ピクトグラムの歴史は古代の壁画や、エジプトの遺跡に描かれたヒエログリフにまでさかのぼります。1920年代になると『アイソタイプ』と呼ばれるピクトグラムの原型が登場し、現在のピクトグラムの形が普及するようになったのは1964年の東京オリンピックがきっかけとされています。

訪れる外国人とのコミュニケーション手段として、競技種目や食堂のピクトグラムが作られました。また、世界各国で見られる緑色の非常口や、トイレを示す男女のピクトグラムも日本から普及していきました。

デザイン料の目安

ピクトグラムのデザイン料は、業界基準と言われているJAGDA(公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会)の定義によると以下のとおりです。

  • CD(クリエイティブディレクション):1テーマ10万円
  • D(デザイン):1点5万円
  • カンプ(デザインのすり合わせ):1点1万円
  • フィニッシュ(入稿用データ作成):1点2万円

ただし、これはプロデザイナーによるデザイン料の基準です。実際には、働き始めてすぐにこの基準どおりの料金をもらうことは難しいです。一つの目安として参考にし、自分なりの料金表を作っておくとよいでしょう。

出典:ピクトグラムデザイン料金表|JAGDA

ピクトグラムのデザインが抱える課題

デザインだけで物を表す便利なピクトグラムですが、実はさまざまな課題を抱えています。

課題の一つに挙げられるのが国によって解釈が異なることです。日本ではよいと思ったデザインでも外国人には理解できない可能性があります。

例えば、温泉マークは日本人から見れば温泉だとすぐに分かりますが、温泉に馴染みのない外国人には何のマークなのか分からないです。

東京オリンピックを控え、今後も訪日外国人は増えていきます。国籍を問わず、誰にとっても分かりやすいデザインのピクトグラムを作ることが求められます。

アイコンとはどう違う?

ピクトグラムに似ているものにアイコンがあります。両者は同じものと解釈されることがありますが、厳密には違うものです。ピクトグラムとアイコンの違いについて解説します。

アイコンのもつ意味

アイコンはパソコンやスマートフォンのホーム画面に並んだアプリをイメージすると分かりやすいでしょう。プログラムのロゴやファイルの種類などをデザイン化したものです。

アプリのアイコンは、その特徴を視覚的に表しているため、ユーザーが操作しやすいというメリットがあります。

アイコンは単純化が必須ではない

ピクトグラムとアイコンは、何かをデザイン化するという点では同じですが、決定的な違いが一つあります。それは単純化しているかどうかです。

ピクトグラムのデザインは、余計なものを削ぎ落とした図形の組み合わせで、色も図形の色と背景色の2色しか使いません。一方アイコンはカラフルなものや、複雑な絵柄を採用したものもあり、ピクトグラムほど単純化されていないものが多くあります。

単純化しているかどうかが両者を分けるポイントです。

ピクトグラムの作り方

ピクトグラムは構成要素がシンプルなので一見すると簡単に作れそうですが、シンプルゆえに訴求力の高いデザインでないと情報を正しく伝えることができません。ピクトグラム作成の概要やデザインのコツ、作成に使えるソフトなどについて解説します。

作り方の概要

ピクトグラムを作るには、何を伝えたいかを決め、それを視覚化し、さらに単純化するというステップを踏みます。

また、ピクトグラムはイラストやアイコンに比べると、要素を削ったシンプルなデザインが特徴です。どちらかといえば記号に近いといえます。ピクトグラムがどのような状況で使われるかをイメージし、最適なデザインに絞り込む作業が必要です。

デザインのコツ

ピクトグラムは要素を削り、シンプルなデザインにすることがポイントです。シンプルさゆえに、少し表現方法を変えるだけでも与える印象は大きく変わります。

例えば、ピクトグラムを線のみで表現して背景の色を活かすか、ピクトグラムの中をベタ塗りにして色を表現するかによって、同じデザインでも見た目に大きな変化を出すことができます。

また、線の太さや余白の取り方を変えることでもデザインの印象が変わります。全体のバランスを見ながら、最適なデザインに仕上げましょう。

ピクトグラムが作れるソフト

ピクトグラムの作成には、AdobeのグラフィックソフトIllustratorが使われます。Illustratorは使いこなすことが難しい反面、細かな調整ができたり、高画質での出力ができたりなど高性能です。デザインを副業にするのであれば用意しておきたいソフトです。

簡単なピクトグラムであれば、MicrosoftのExcelやPowerPointでも作ることができます。ピクトグラムは単純な図形を組み合わせたものですから、工夫次第で十分利用できるものが作れます。ただし、これらのソフトは細かな調整が難しく、印刷にも向いていないため、個人で利用する程度にとどめておくほうが無難でしょう。

フリー素材の活用

インターネット上ではピクトグラムを公開しているサイトがいくつかあります。これらのピクトグラムは無料で商用利用できるほか、中には編集可能な素材もありますので、気に入ったデザインはダウンロードしておけば、デザインの参考にすることができます。

ただし、素材やサイトによってはライセンスが必要なものや、コピーライト記載を求められるものもあります。利用規約をしっかりと確認してから使うようにしましょう。

ピクトグラムデザインでおすすめの本

優れたピクトグラムを作るためには、デザインの引き出しを多く持っておくことが必要です。ピクトグラムデザインの参考になる本を紹介します。

あらゆる業種につかえる!アイコン・ピクトグラム大全

『あらゆる業種につかえる!アイコン・ピクトグラム大全』は、多数のアイコンやピクトグラムのデザインを収録しているだけでなく、130点もの具体的な活用例を紹介している本です。

用いられる標識や案内のほか、雑貨やグラフィックなど幅広い分野に応用されるピクトグラムに、さまざまなアイデアが浮かんできそうな一冊です。

  • 商品名:あらゆる業種につかえる!アイコン・ピクトグラム大全
  • 価格:4212円(税込)
  • Amazon:商品ページ

たのしい インフォグラフィック入門

インフォグラフィックとは情報やデータを視覚的に表現する手法です。グラフやチャート、地図などに、イラストやピクトグラムのようなグラフィックを組み合わせることで、情報を分かりやすく簡潔に説明することができます。

『たのしい インフォグラフィック入門』は、インフォグラフィックをピクトグラムと図解の組み合わせであると定義し、ピクトグラムの描き方からインフォグラフィックの作り方まで順を追って解説している本です。

  • 商品名:たのしい インフォグラフィック入門
  • 価格:2376円(税込)
  • Amazon:商品ページ

まとめ

ピクトグラムはシンプルなデザインでありながら、世代や国籍を問わず多くの人に情報を伝えることができる表現手法です。

優れたデザインのピクトグラムが作れるようになれば、今後さまざまなシーンの活躍が期待できます。デザインを学ぶ場合は日常生活や書籍からそのノウハウを集め、簡潔な情報表現のコツをつかみましょう。

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