エンジニアとしてのキャリアを考えよう
ITエンジニアとは言っても、様々な業態があり、働き方も多様です。まずは事業会社かSI企業かを比較し、キャリアプランを考えてみましょう。
事業会社かSI企業か
ITエンジニアが仕事をする上で、大きく『事業会社』か『SI企業』かで分けられます。事業会社は、メーカーなど自社の事業運営をサポートするシステムの開発などを行います。生産管理、販売管理など製造業でのシステム開発の仕事などです。
また、運輸サービス、電気、ガス、通信といったサービス提供をしているメーカーでも、安定したサービスの提供をするためにシステムを開発しています。
一方で、SI企業とは企業から受注してサービスの提供や運営をサポートする企業です。制作会社エンジニアとも呼ばれますが、事業会社エンジニアとの大きな違いは、主に他社のシステムを開発することです。
エンジニア系は売り手市場
近年、社内SEなどの事業会社エンジニアの求人が急増しています。それは、現在の景気が拡大傾向を示しているからです。需要が増えていることと、多くの企業がセキュリティやデータ分析を重要視していることも関連があります。
景気が低迷した頃にエンジニアの人員削減を行っていた企業でも、景気の改善した今のうちに優秀なエンジニアを確保しておきたいという動向もうかがえます。
ただし、求人が増えたからと飛びつくのではなく、今後の経済の背景なども考慮しながらキャリアプランを練っていきましょう。
市場価値の高いエンジニアの特徴
エンジニアとして市場価値が高いのは、得意分野を持ち、その分野のスペシャリストと呼べるようなエンジニアです。エンジニアとしては、広く浅い知識より、その分野に特化したスキルが求められています。
ですから、キャリアプランとしては『システムエンジニア』か『インフラエンジニア』かをまず選択し、さらに技術的にスペシャリストとしてスキルを磨くのか、マネジメントの方向へ行くのかを考えなければなりません。
いずれにしても、この分野では誰にも負けないという得意分野をさらに研鑽していくことが必要です。
エンジニアのスキルアップで考えるポイント
事業会社エンジニアとして、必要とされ、キャリアアップしていくには具体的にどのようなスキルが必要なのでしょうか。ポイントを絞って考えていきましょう。
ベーススキルを軸に最先端を取り入れる
現代ではWebアプリがトレンドになっているため、今後しばらくはWebアプリ開発の『Java』『JavaScript』『PHP』『Ruby』といったベースとなる言語をマスターしていきましょう。
すべての言語が扱えることが理想ですが、まずはJavaScriptを勉強し、それを主軸にその他の言語を学べば多くの企業システムに対応できます。特にJavaは企業のシステムに最も使用されており、Webサービスはもちろん、社内業務システムやAndroidアプリなどにも使われているのです。
これらの言語をベースにして、最先端を取り入れていくことも必要になります。
AIにできない仕事が今後のカギ
いくらAIが発達しても、人間のような柔軟性はありません。AIができない仕事こそ、エンジニアとして活躍の場を得る最大のカギとなります。例えば以下のような業務は、現状ではAIには難しく、今後も残る仕事と考えられます。
- システム開発における企画・立案
- プロジェクトの管理
- 要件定義(システムの機能や仕様の概要をまとめる)
- 人同士のコミュニケーション(交渉や調整)
AIによって多くの処理が自動化され、エンジニアがAIに仕事を奪われる可能性さえある昨今ですが、やはり人にしかできない仕事があります。企画力や設計、人とのコミュニケーション術を身につけると、キャリアアップにつながるでしょう。
近年注目を集める職種
近年ではどのような職種が注目を集めており、それらは何故注目されているのでしょうか。将来の展望も見据えながら、キャリア設計に活かしていきましょう。
情報セキュリティ関連
情報セキュリティ関連の求人が急増している背景のひとつとして、『ランサムウェア被害』があげられます。ランサムウェア被害とは、身代金要求型ウイルスの被害のことで、コンピュータのデータが消えるなどと脅迫し、解除するには金銭を支払うことを要求してくるものです。
また、デバイスが何であれネットワークにつながる時代となり、それぞれにセキュリティ対策が大きな課題となっています。IT業界の他にも、製造業界やコンサルティング業界でも情報セキュリティ関連の需要は高まっており、この分野に強くなっておくと市場価値の高いエンジニアとして重宝されるでしょう。
データ分析関連
今、データ分析関連が注目されている理由は、企業の持つデータ量が増えているからです。収集能力も蓄積量も増加したことで、データ量そのものが増えています。
しかし、その膨大なデータをきちんと活用できていない企業が多いというのが現状であり、データ分析ができるエンジニアが求められているのです。
また、クラウドやIoT、AIといった技術がそれぞれ連携するようになってくると、より大きなデータが生まれることになります。今後データ分析関連の職種は増加すると予想されます。
データの中身を理解、分析の可能性を判断し、データ分析をする前段階までを処理できる人材が求められているものです。
まとめ
事業会社エンジニアのキャリア設計とは、まずどの分野のスペシャリストになるかを決めることです。得意分野を伸ばし、特化したスキルで第一人者になることで、キャリアアップしていくことができます。
時代のトレンドを読み、そうなった背景を考えながら、今後どのような方向へ向かっていくのかを見据えて、技術を習得していきましょう。市場価値の高いエンジニアになることが、事業会社エンジニアとしてのキャリア設計の王道とも言えます。