海外で働くエンジニアについて
まずはエンジニアを取り巻く現状について知っておく必要があります。年収や地位のみならず、どのような国がエンジニアの海外転職に関心が高いのかなどについても見ていきましょう。
各国のエンジニアの平均年収
経済産業省の『IT人材に関する各国比較調査 結果報告書』によると、多数のIT系の職種が活躍しているアメリカのエンジニアの『平均年収』は世界でも群を抜いてトップだそうです。その額は1000万円から2000万円前後で、エンジニア年収2位の日本(平均年収600万前後)の2倍にも及びます。
エンジニア平均年収の3位はインドです。533万円と額を見ると日本より少ないですが、インド国内の平均年収の約10倍の年収をインドのエンジニアは得ています。そのため、インドのエンジニアは給与への満足度が非常に高いという調査結果も出ています。
4位は韓国、5位は中国ですが、注目したいのは6位以降、東南アジアの国名が上がっていることです。6位はタイ、7位はインドネシア、8位はベトナムです。これらの国々では他の職種の平均年収と対比してエンジニアの年収は非常に高いと言えます。
海外でのエンジニアの地位
アメリカやヨーロッパではエンジニアは『専門職』だという意識が非常に高いです。そのためプロジェクトマネージャーなどの地位に昇進することを望む人は日本より少ないと言えるでしょう。
その理由は、エンジニアになるための敷居の高さにあるようです。例えばアメリカでは、エンジニアになるために大学もしくは大学院で『コンピューターサイエンス』を専攻する必要があります。
これにより『エンジニアは誰にでもなれる職業ではない』という意識が高まるため社会的地位も必然的に高くなるのです。
海外就職・海外転職の意向や関心の高い国
やりがいを求め海外勤務を望む人が多い日本と異なり、アメリカ・東南アジア諸国・韓国・中国などではエンジニアとして海外勤務を希望する理由の1位は『高い給料をもらえること』です。
また、上記の国はエンジニアとして海外就職・海外転職する意向も日本より高く、インドでは63%、インドネシアでは47.6%のエンジニアが海外勤務を望んでいます。
そして、『海外勤務先として関心の高い国』を調べた際、ほとんどの国がアメリカの名前を挙げました。アメリカと日本以外ではオーストラリアやシンガポールなど外国人が働きやすいとされる国も上位です。
海外で働くには
海外ではどのような働き方ができるのかを、実際に働いているエンジニアの働き方を例に、いくつかの種類に分けて紹介します。
フリーランスとして働く
フリーランスとして働くというのが敷居が低く、オーソドックスな方法の一つと言えるでしょう。フリーエンジニアのメリットは場所や時間にしばられずに働けるという点です。特にWeb制作の分野でその需要は高く、Web制作は少人数でチームを組むことが多いため個人で作業する機会も増えます。
現役エンジニアであれば既に習得済みのスキルが要求されるため、会社員からフリーランスに切り替えるハードルも比較的高くないと言えるでしょう。
現地採用で働く
現地のITを扱う会社やシステムエンジニアとして就職する方法があります。現地採用の最大のメリットは『GDPの高い国であれば年収アップを狙える』という点です。海外の企業に応募し面接を受け採用されるというパターンがほとんどで、企業を探す際は就職・転職に特化したSNSがよく使われています。
資格や言語といった高いハードルが設けられていることもありますが、その分待遇の良い企業も多いようです。
エンジニアコミュニティーの活用
海外ではエンジニアを対象とした日本人コミュニティーがあります。コミュニティーを活用すれば仕事を得るチャンスも増えます。最初はコミュニティーに入るためにイベントや食事会に参加して人脈を作りましょう。
コミュニティーの参加者は当然のことながら全員エンジニアなので、就職・転職情報もいち早く得られます。質問がある場合も、コミュニティーのメンバーは全員日本人なので日本語で聞くことができとてもスムーズです。
海外で働く際に必要なスキル
就職したい企業が見つかったりフリーランスエンジニアとして海外で働きたいと思ったりしても、実際に働けるかどうかは持っているスキルによって異なります。海外ではどのような能力が必要なのでしょうか。
エンジニアとしてのスキル
海外でエンジニアとして働く場合、最も重要になるのは実務経験とスキルです。
『Web開発』や『システムエンジニア』としてのスキルはもとより、最近では、成長国での『Web開発・運用』能力の需要が上がってきています。
海外で働くためにはまずワーキングビザを取得する必要があるため、その分野での実務経験を国内で積み、スキルを磨いておくと海外転職のハードルも下がります。
英語スキル
自分の勤めたい企業が日系企業なのか外資系企業なのかで求められる英語スキルも変わります。
日系企業の場合、海外でも勤務しているのは日本人が多いため高度な英語スキルは必要とされません。社内での共通語も日本語であることがほとんどです。
これに対し、外資系企業の場合は、社内共通語が英語であることが一般的です。社内だけではなく来客の際にも英語を使うことが多々あります。
TOEIC800点程度の英語力があれば理想的ですが、就職・転職した際の英語力はそこまで高くなくても気にする必要はありません。実際に海外の生活し業務に携わっていくと自然とコミュニケーションレベルの英語は身に付いていく可能性も高いからです。
まとめ
海外でエンジニアになるために最も重要なのはもちろんエンジニアとしてのスキルです。それだけではなく各国のエンジニアの現状についての情報を常にアップデートしなければなりません。同時進行で人脈も広げておくと海外でエンジニアの仕事を得る際に有利です。
正しい情報を網羅し、国外でもエンジニアとして活躍する可能性を広げましょう。