エンジニアが仕事と趣味の垣根を越える意義

はじめまして、大倉(@okuramasafumi)と申します。今回は私の個人的な経験、特にフリーランスになって以降に始めた活動にまつわる経験を元に、仕事と趣味が相互に関連し合うような生き方・働き方について考察しています。

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自己紹介

私はフリーランスの開発者として活動しています。Ruby/Railsをメイン技術としており、Rubyコミュニティのミートアップにたびたび参加している他、Railsに関するトピックを中心としたテックカンファレンスであるKaigi on Railsのチーフオーガナイザーでもあります。自分でも複数の技術コミュニティを主催しています。

コミュニティやカンファレンスでは発表も積極的に行っており、直近ではRubyConf 2021RubyWorldConference 2021にて登壇しました。

技術面ではいくつか自作のOSSを公開しており、Rubyのメタプログラミングに興味があります。また、2019年には書籍「マスタリングVim」の翻訳を担当しました。

仕事と趣味の対立

私は多くのフリーランス開発者と同様に案件単位で活動しており、事前に決められた拘束時間と報酬にて仕事をしています。言い換えると私は実質的には一定の時給で働いていることとなり、これは基本的には「労働時間を増やせば収入が増える、労働時間を減らせば収入が減る」状況を意味しています。

一方、上記の自己紹介に書かれている内容は仕事に関することを除いて全て趣味であり、私自身の興味と楽しさをモチベーションにして活動しています。一部の例外はありますが、基本的には収益を目的にしてはいません。

これらの趣味のいくつかはかなりの時間を必要とします。最も極端なのはKaigi on Railsの開催で、1年分を合計すると100時間ほどは打ち合わせなどに費やされていると思われます(もちろん私だけではなく、運営メンバー全員が同様の時間を使ってくれています、ありがたいことです)。

カンファレンスでの登壇では発表資料の作成と、最近のオンライン登壇のケースでは録画の時間が必要になることもあるためいずれも多くの時間を使います。OSS活動もやはりそれなりの時間を要します。

このように、仕事と趣味は限られた時間を取り合うものとしてある種の対立関係にあります。フリーランス開発者として、仕事と趣味のバランスをいかにして取るかが私の最近の関心事になっています。

仕事と趣味の両立

さて、この仕事と趣味のバランスを考える上で、フリーランスとして仕事をしていることはかなり有利に働きます。というのは、フリーランスは正社員と比較して業務時間の調整が比較的容易だからです。言い換えると、フリーランスでは業務時間の短縮(とそれによる収入の減少)と引き換えに可処分時間を増やすことが可能です。

個人的には、この調整の容易さこそがフリーランスとして働く最大のメリットだと感じています。実際、Kaigi on Railsをはじめとする活動の一部はフルタイムで仕事をしていたとしたら困難または不可能であったでしょう。その意味で私はフリーランスであることから非常に恩恵を受けているといえます。

モチベーション

ところで、先ほど挙げた私の趣味は大きく分けると

  • イベントや技術コミュニティの運営
  • イベントでの登壇
  • OSS

になります。 それぞれのモチベーションについて紹介します。

イベントや技術コミュニティの運営

私が活動しているのはRubyのコミュニティ周辺ですが、私が足を踏み入れた時点で非常に多くのコミュニティが存在しました。その後数年が経ってプログラミングスクールが流行するようになると、コミュニティに来る人々の種類も少し変わったように感じられました。

同時に既存のコミュニティが彼ら新しい人々を受け入れることにあまり成功していないようにも感じられました。その変化を感じ取り、今存在しないような技術コミュニティを作って実際に運営を行っています。

カンファレンスの運営も同様に、業界に新しい人々がやって来ていることに呼応してのもの、という部分があります。技術カンファレンスはどうしても敷居が高いイメージがあるため、そこを変えようとしてカンファレンスを運営しています。

コミュニティを始めたのは2019年、カンファレンスを始めたのは2020年と、どちらもここ2,3年のことです。私がフリーランスになったのが2019年のことですので、フリーランスになったことの影響を直接的に受けているのは間違いありません。

イベントでの登壇

イベントで発表することについては、単純に自分の話を聞いてもらえるのが嬉しいという側面が一番大きいように思います。なんといっても、数十人から場合によっては数百人に自分の話を集中して聞いてもらえる機会はなかなかありません。

しかし、良い発表をしようと思えばそれなりの準備が必要です。その過程で自分の知識を整理したり間違いに気づくことも多々あります。発表をするたびに自分が成長するのを感じ取れるのは嬉しいものです。

私が人生で一番多く登壇していたときは2019年で、1年で15回ほど登壇していたようです(使い回しはなしです)。これもフリーランスだからこそ可能な芸当であったのかもしれません。

OSS活動

OSSにコントリビュートすることはキャリアの初期から少しやってはいましたが、意識して取り組むようになったのはやはりフリーランスになってからだと思います。

私のGitHubプロフィールを見ると、2019年から明らかにコミットの量が増えているのがわかります。これはプライベートなコントリビューションは含まれないので、大部分はOSSであると思われます。

OSS活動が2019年から増えた要因としては、自分の技術力に自信が持てるようになった時期がちょうどこの時期だったことがあるように思います。実験的にライブラリを書いてそれをネタに登壇するようなこともあり、試行錯誤しつつも徐々にできることを増やしていきました。

OSSについては自作のものを作ることと既存のものへのコントリビューションとで異なる部分があります。前者については業務で感じた問題を解決するために作ることもありますし、アイデアが浮かんだのでそれを現実にするだけということもあります。

後者については小さなミスや改善点に気づいてその場で修正してプルリクエストを送ることが多いように思います。共通しているのは、問題があってそれに自分が気づいたなら自分で解決するために何かしてみようという姿勢です。

時間単価について

ところで、フリーランス開発者として重要なのが「時間単価」です。前述のように業務時間を短縮することが比較的容易だからといっても、生活ができない水準にまで収入が下がってしまうことは避けなくてはなりません。

収入は業務時間と時間単価のかけ算ですので、収入を一定に保ちつつ業務時間を減らすには時間単価を上げる必要があります。

時間単価を上げるのは簡単ではありませんが、時間単価がその開発者の評価と紐付いていることは明らかです。ここで「評価」ということはその人の外部に見えるものに大きく影響を受けていることになります。

となると、時間単価を上げるためには「見えやすい活動」が効果的ということになるでしょう。言うなれば「看板」が必要ということです。

看板を持つ

▲自身のポートフォリオサイト

ここで趣味の話を振り返ってみましょう。ここから看板たり得る何かを得ることはできるのでしょうか。

イベントや技術コミュニティの運営

イベントを運営していると知り合いが増えます。カンファレンスや技術コミュニティには多くの人が参加し、その中には初対面の人も多く含まれます。運営という立場は一般の参加者とは異なり名前を覚えてもらいやすいですし、こちらから話しかけることも多いためコミュニケーションの量も多くなります

イベントや技術コミュニティが十分大きくなれば、それ自体が看板になることもあるでしょう。

イベントでの登壇

イベントを運営することと似ていますが、イベントで登壇すると目立ちます。目立つ上に登壇内容という話題を持っていることが明らかなため、人から話しかけられる確率は上がります。

また、同じテーマで何回も発表しているとそのテーマと結びつけられることがあります。これはまさしく看板です。

OSS活動

3つの中で一番直接的な看板を得られるのはOSS活動です。著名なOSSに対して大きな貢献をしている人は自ずと有名になりますし、その活動自体を仕事にすることすら可能な場合があります(「フルタイムコミッター」と呼ばれる人々が少数存在します)。そうでなくても、自作のOSSが一定の人気を獲得すればその作者であることは評価につながるでしょう。

また、OSSはコードを公開するという性質上、自身の技術力を示す最良の方法でもあります。自作のOSSが一つあるだけで、「私はこのくらいのコードを書く力があります」ということを説得力を持って言うことができます。

仕事と趣味の垣根を越える

先ほどは仕事と趣味が対立の関係にあるように書きましたが、こうしてみるとむしろ趣味から仕事に還元される部分も多いように感じます。趣味で得た看板は仕事を探す際にプラスに働くからです。

また、外部には見えないことについても趣味的な活動からは多くのものを得られます。OSSとしてコードを書くことで技術力が上がるかもしれませんし、登壇の準備から得られる知識もあるでしょう。

さらに、仕事から趣味へのつながりもあります。例えばカンファレンスで何か話そうと思ったときにまず出てくるのは仕事で遭遇した出来事でしょう。仕事で直面した課題を解決するためにOSSを作ることもあるかもしれません。

こうしたことを踏まえて、今の私は仕事と趣味は互いに関連し合うひとつながりの事柄であると考えています。仕事が趣味を豊かにし、趣味が仕事を豊かにする。そんな人生であればいいなと思います。

この記事をお読みの方はフリーランスの方やフリーランスになることに興味がある方も多いと思います。私自身、フリーランスになってから積極的に活動をすることで、これまで書いてきたような経験をすることができました。

やってみると、仕事と趣味が互いに関連しているような状態はなかなか心地よいものです。この記事を読んでそんな生き方を目指してみる人が増えることを願っています。ありがとうございました。

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