フリーランスエンジニアから法人成りした体験談

初めまして。合同会社ほっとにゃいと代表 秋吉泉と申します。私はSIerを退職し、フリーランスを約2年経て法人を設立しました。

その後コロナ禍の流れでリモート専門に移行し、去年、ゆかりのあった北海道に移住してきました。現在2期目の決算を控えています。

フリーランスで活躍されている方は多くいらっしゃいますが、法人を持つまでに至る方はまだまだ少数派ではないでしょうか。そこで、私の法人設立後決算を終えての体験を綴り、法人成り前の方の参考になればと思います。

事業紹介

合同会社ほっとにゃいと」はシステム開発の売上から動物(特に猫)の保護活動を支援しています。直接の寄付はもちろん、ITコンサルとして無償またはほぼ実費で動物病院や保護団体のIT支援を行なっています。

札幌の保護団体のクラウドファンディングをコンサルし、2団体成功させましたが、よりノウハウを駆使した2度目は900万円以上を集めることに成功しました。

また、動物病院や保護団体のITコンサル、支援を行なっています。ゆくゆくはコンサル事業とアジャイルコーチをしながら保護猫+飲食店保護猫+不動産事業をしていくための準備をしています。

法人成りのきっかけから、設立に至るまで

法人成りするとメリットもあれば場合によっては個人事業主にはないデメリットを感じる人もありますが、一般論はここでは触れません。

私は前述の通り、動物保護活動をしていまして、個人事業主であると当然システム開発に無関係である保護活動にかかる支出を経費参入できないのです。

それが法人設立へ動いた大きな理由です。

もちろん、ただIT事業だけの定款で設立すると経費には認められないでしょう。(ケースバイケースだと思います。たとえば広告宣伝費、交際費などは広く認められる可能性はあります。)

会社の定款を決める

定款に、経費にしたい分野の内容を書けばいいのです。

以下に、弊社の定款を参考までに載せておきます。あまり変で手を広げすぎな事業内容ではペーパーカンパニーや怪しい企業体と思われるので、抑えたほうがいいともいますが、(銀行によっては事業内容が多いと口座開設を拒否されることもあるみたいです)私は将来いろいろなことができるようにとITと動物関係でなんでもできるように定義しています。

  1. システム開発業務
  2. ウェブサイト作成事業
  3. 動物保護に関する広報及び普及啓発
  4. 保護動物及び盲導犬の貸与、譲渡、仲介及び管理
  5. 関連諸団体の活動に関する情報交換、助言及び協力
  6. 株式の保有、運用及び管理
  7. ブロックチェーン及びフィンテック技術に関するコンサルティング
  8. 不動産売買、賃貸及び管理事業
  9. 古物の販売事業
  10. インターネット関連事業
  11. コンサルタント事業
  12. (一部略)
  13. インターネットを利用したオークションの出品代行業
  14. インターネットを利用した物品の販売並びにその仲介及び代理
  15. 一般企業の会計、情報処理、文書作成等に関する事務処理代行業務
  16. 前各号に付帯するまたは関連する一切の業務(本店の所在地)

起業家への憧れ

また、昔から漠然と起業家に憧れていたということもあります。

リスクのある夢を追いかけるだけの起業はするつもりはありませんでしたが、札幌で一緒に連携している保護活動のパートナーとビジョンを共有し、本業の売り上げを足がかりに事業をする準備を進めることにしたのです。

実際サラリーマンとして働き始めてからも、組織というものに馴染めず職を転々としたり、無理をしすぎていた時期もありましたが、独立してからは自由に好きなように本業をし、自身の活動も本業の影響をあまり受けることなく自由に進めており、起業家が向いていたと思います。

株式会社と合同会社

法人設立事務の概要を説明します。営利法人は通常、株式会社と合同会社(昔でいう有限会社と同一です)が代表的ですが、いきなり従業員をかかえる等ない限り当面は合同会社で十分です。

有名な話ですが、誰もが知る有名企業でも合同会社はあります。(親会社があるなどそれなりの事情は多いですが。)株式会社にこだわる必要はないのです。もちろん、株式会社の信用はありますので、悪い選択ではありませんが、各々納得した上で選択されると良いでしょう。

資本金につきましては、エンジニアの請負に資本金は影響ありませんし、少額でも設立はできますが、あまりに少なすぎると企業体としてどうかと思いますので100万円はあったほうがいいのではないでしょうか。1円などではまともな銀行や信金では口座開けないと聞きます。

お金と時間

法人設立の具体的な方法論はここでは触れませんが、調べれば簡単です。お金よりも時間が大切で手続きの時間さえ惜しいという場合のみプロに委託すれば良いでしょう。それでもせいぜい数万円です。

ITに精通していれば電子申請も可能ですが、そもそも郵送で受け付けていますし、電子申請は煩雑なのでここはデジタルにこだわらず書面で申請したほうが早いです。

実際、電子申請の不明点を法務局に問い合わせたところ、電子申請用に用意したものを印刷して郵送か持参したほうが早く確実ですと言われました(苦笑)

こういうところがまあなんというかお役所体質ですね。。。エンジニアとして肩を落としました。

設立後の感想、エンジニアが法人成りする意義

私は前述した個人的な活動の都合から事業として法人設立をしましたが、エンジニア一本でも法人成りするメリットを設立後の経験から考えてみました。

資産管理は大切

私は法人設立の大きな意義は、資産管理を適切に行えることだと思っています。フリーランスの方はスキルも高く、高収入な方も多いかと思います。

会社員よりも税金に関して曖昧な部分が多く、法人として決算したほうが税の透明度も上がると考えています。(税に関することは誤解を招く恐れがあり、あまり言及しません、私からは違法なことはしない、という以上のことは言いません)

また、国からの補助金、給付、融資(含む銀行)もフリーランスより活用できます。決算の整理を通して経費と収入の精査を行なっていくといいかと思います。

決算はそれなりの大変さはありますが、会計ソフトfreeeなどを使えば時間をかければ自力でできますし、もちろん税理士に依頼すれば楽です。

意識の変化

仕事を請け負う上での意識としては、ただフリーで案件を請け負ってこなしていく、という意識から、法人の代表としてビジネス取引をする、という意識に変わっていきました。

フリーランスで一人の要員として参画するのではなく、プライドも備わってきました。そこが自惚れになってはいけませんが、せっかく独立したのに雇われに近い形で使役されているフリーランスの方は勿体無いです。

搾取されないためにも法人格は重要と考えます。(この場合の搾取とは必ずしも金銭的なものではなく人生の自由をさしています。)

その上で私も技術を売るという感覚から知識を売るコンサルに移行しつつあります。

メリットについて

もちろん個人事業主(ここでは法人成りしていない人)だから意識が低いというつもりはありません。個人事業主でいるメリットは人それぞれあります。

私は人生で生涯やりたいことがあるので、高齢になっても本業のコンサルとしてわずかでも収入が得られるように準備しています。そのために法人として益々成長していく次第です。

最後に

今回、IT業界とは少し違った切り口になりましたが、動物保護のために私たちを少しでも気にかけてくだされば幸いです。

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