副業で個人事業主なるためには
副業を始め、事業が軌道に乗ってきたけれど、個人事業主になるためには、どうすれば良いのでしょうか。
あるいは、これから副業を始めるにあたって、事業の場合どうすれば良いのかを考えている人のために、副業で個人事業主になるためには何が必要なのかを見ていきましょう。
そもそも個人事業主とは
個人事業主とは、その名が示すとおり個人の事業主、事業を個人で行っている人のことです。
この場合の個人とは、法人と区別する言葉で、本業であっても副業であっても、税務署に開業届を提出して事業を行っているならば個人事業主になります。
また事業とは、継続・反復している仕事のことを指し、アルバイトやパートなど雇われている場合は独立性と継続性の観点から、個人事業主とは見なされません。
継続・反復できる仕事を個人で行い、個人事業主に当たるケースでは、税務署へ開業届を1カ月以内に出す義務があります。
また、個人事業主になった場合、雇用保険に加入することはできません。仮に本業で勤めている会社から退職した場合にも、個人事業主として事業を行っている場合には、失業していることにはならないので、失業保険を受けられない点には留意するべきでしょう。
個人事業主として開業する際の誤解
1カ月以内に開業届を税務署へ出す義務があると言いましたが、罰則がないため、開業届を出さなかったからといってペナルティがあるわけではありません。
また、開業届を出したとしてもそれで青色申告の要件である事業所得として認められるわけでもないのです。
特に副業の場合は、事業所得として認められることは一般に難しいとされており、その背景には副業で赤字を出すことで脱税をするケースが増えていることがあります。
なお、開業届は出せば事業の実態に関わらず申請できるため、収入が少ないケースなどでは、逆に断られるパターンもあるようです。
副業の所得区分と税金
先に触れた事業所得も所得区分の一つですが、所得には10種類の区分があり、それぞれに税率や控除額などが異なっています。
例として挙げると、建造物や土地・賃貸などによる収入が該当する不動産所得、株主として受ける配当などが該当する配当所得、貯金や債権の利子などが該当する利子所得などです。
10種類ある所得の区分のうち、副業の場合はどのような所得が該当するのか見ていきましょう。なお、副業でアルバイトをしている場合、給与所得となっている時は、本業の会社勤務と同じく、基本的に給与所得となります。
個人事業主として事業所得に
所得区分の内の一つには、何らかの事業から発生する所得が該当する事業所得があります。確定申告の際に事業所得として認められるかどうかは、その副業が事業として認められるかどうか次第です。
先述したとおり、個人事業主になったからと言って、事業として認められるわけではなく、重要なのは継続性と反復性、それから独立性にあります。
また、事業所得として青色申告する場合は、節税に繋がる一方で、決算書を作成したり提出しなければならない点など、手間がかかるため、必ずしも事業所得にする必要はないと言えるのではないでしょうか。
副業として雑所得に
所得区分の中には、他の所得区分に該当しない所得を扱う、雑所得があります。副業の場合、事業として認められないケースでは雑所得が該当します。
雑所得では白色申告を選ぶことができますが、事業所得として青色申告したケースに比べて節税効果はあまり見込めません。一方で、青色申告に比べて手間がかからず、事業として認めてもらう必要もないことがメリットと言えます。
副業に本腰を入れ、今後本業にする予定で本格的に打ち込むなら個人事業主として、事業所得を選択するべきかもしれませんが、あくまで副業の範囲ということなら、雑所得にして白色申告を行うのも良いでしょう。
所得によって税率と控除額が異なる
事業所得として青色申告ができるか、雑所得として白色申告になるかで税率と控除額が異なります。青色申告には65万円か10万円の青色申告特別控除があり、この控除によって結果的に所得税などの税金が安くなります。
所得によっては税率も異なるため、結果的には青色申告をした方が節税となる場合も多いです。例えば、195万円以下の所得の場合は、所得税率は5%で計算され、所得が多いほど税率は高くなる仕組みとなっています。そのため、所得によっては税率と控除額が異なりますので、注意をしましょう。
個人事業主になる前に知りたい確定申告
個人事業主になるにあたって、知る必要がある確定申告について説明していきます。
その他、失業保険に関することについても知っておきましょう。
確定申告の基本について
確定申告の基本について説明します。確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。
白色申告の場合には青色申告に比べて手続きが容易というメリットがありますが、最大65万円分を経費として計上できるため、節税面で有利なのは青色申告です。
青色申告をするためには、所得が不動産所得・事業所得・山林所得に該当する必要があります。副業の場合、雑所得や給与所得では認められないことには注意が必要でしょう。
また、副業による所得が20万円を超えた場合には確定申告をしなければなりません。
副業で納税が必要になる条件
副業で納税が必要になる条件は、副業による所得が少しでもあった場合です。確定申告が必要になるのは所得が20万円を超えた場合で、同時に所得税を納税することになります。
しかし副業にまつわる税金としては他に住民税の存在が挙げられ、住民税は所得の総額を元に計算されるために、基本的に副業をしている時点で納税は必要です。
副業で個人事業主になった場合の節税方法
副業で個人事業主になった場合には、事業所得として確定申告を青色申告できる可能性があります。
青色申告にすることによって、赤字を3年間繰り越せることや、給与を家族へ支払いその分を経費として全額計上できることなど多くのメリットが生まれるため、青色申告を積極的に行うようにした方が良いでしょう。
青色申告特別控除を使おう
中でも大きいのは、青色申告に付随する青色申告特別控除です。
青色申告を行っている場合でも通常は10万円しか控除は受けられませんが、複式簿記で帳簿をつけることで65万円の青色申告特別控除を受けることができます。
青色申告のメリットとは
青色申告のメリットとしては、必然的に開業届を提出しているため、銀行口座を屋号で開設できることが挙げられます。
屋号で銀行口座を開設することによって、銀行口座を事業用のものと個人用のもので分けることができ、他からの売上や確定申告の際などにお金の流れを参照しやすくなるのです。
他に、確定申告用の書類が時期になると送られ、自ずと確定申告の時期を知れることも挙げられるでしょう。
青色申告の注意点
一方、青色申告の注意点としては、事業所得・不動産所得・山林所得に該当する必要があり青色申告そのもののハードルの高さや、65万円の控除を受けるには複雑で手間のかかる複式簿記による帳簿が必要となることがあります。
まとめ
副業を行っている場合に、個人事業主になるメリットにはどんなものがあるのか。個人事業主とは何なのかと言った基本的なことから、所得の区分による差異、青色申告についてなど触れてきました。
個人事業主となったほうが良いケースもそうでないケースもありますが、個人事業主となり副業が事業所得として認められ、青色申告を受けることができれば、収入面でプラスとなることは事実です。デメリットについても考慮の上、記事を参考に再考してみてください。