フリーランスについて理解しよう
『新卒フリーランス』を考えるために、まずはフリーランスとは何なのかを理解しておきましょう。
フリーランスの意味
『フリーランス』とは、特定の企業・組織と専属的な雇用契約を結ばず社会的に独立した個人として、自らの技能の対価として報酬を得る働き方を指します。
企業勤めを行う一般的な働き方とは違い、労働基準法などの労働法規が適用されないことが多いです。自分が設定した労働時間に働き、働く場所も案件次第では自由に選べます。
またフリーランスにとって仕事は自分で取ってくるものです。売上はそのまま自分の収入になる一方、最低賃金の保証もなければ各種税金の納税も自らが行うことになります。
フリーランスと個人事業主の違い
『個人事業主』は、税務署に開業届を提出して独立・反復・継続的に事業を行う個人の内、法人設立していない人です。
フリーランスはこれより広い意味で「個人事業を営む者」を指し、個人事業主もフリーランスに含まれます。
フリーランスとして活動する個人には、アーティストやフォトグラファー、Webデザイナーやエンジニア、他にもトラックドライバーや一人親方など従来の個人事業主も含まれます。
新卒フリーランスとは
一般的なフリーランスと新卒フリーランスの違いとは何なのでしょうか。新卒フリーランスの概要を見てみましょう。
就職せずフリーで活動する人
『新卒フリーランス』とは、大学・専門学校・高校などを卒業する個人の内、一般企業での就職を選ばずフリーランスとしての働き方を選択する人のことです。
全世代的にフリーランスとしての働き方を選択する人は増えていますが、一般的には企業と雇用契約を結ぶ中で数年以上の就業経験を持ち、社会経験・コネクション・実務スキルなどを生かして独立するという流れでフリーランス化します。
新卒フリーランスではこれらをほとんど、あるいは全く持たないままフリーランス化するということです。
新卒フリーランスが話題になる背景
超高齢化社会の日本で労働力人口が減少し続けると予測される中、経済活動の維持と継続的発展、および個人の就労・生活保証を鑑みて『働き方改革』が推進され、また頻繁に情報発信されています。
ここには主に、従来の副業・転職をネガティブに捉える社会体質から、技術革新が進むIT技術を活用した働き方を標準化し、仕事と働き手の流動的なマッチングを進める意図があるのです。
この中で新卒者たちが、本当に仕事を中心とした生活で良いのか、もっと人生を謳歌できる働き方があるのではないかと考える時、新卒でフリーランスになろうとする傾向が生まれてきたと言えるのではないでしょうか。
新卒フリーランスの魅力
新卒フリーランスを選択する大きな魅力として、一般企業の固定的な出世階段を登るルートではなく、キャリアスタートから独自のパスを描いて自分の働き方を確立させていくことができるということが挙げられます。
ここで特に意識しておきたいのは、仕事に求められるスキルやコミュニケーション能力は自分で磨いていく必要があること、また就業管理する者がいない中で自己管理能力を育て発揮していくことです。
自分の働き方が自由であるといっても実際の仕事の場はフリーランスだけのビジネスの世界ではありません。
普遍的なビジネスマナーや、ある業務を遂行するための特殊な、あるいは複合的なスキルを独自に分析し自己教育していく必要があるということを肝に命じておきましょう。
新卒フリーランスの主な仕事
新卒フリーランスとして仕事をするなら、どんな分野を考えていくべきなのでしょうか。さまざまな職種のなかで主な3種を紹介します。
エンジニア
フリーランスとしてのエンジニアの働き方には主に業務委託契約の中の『請負契約』で1案件を完成させて報酬を得るスタイルと、『準委任契約』で月の労働時間の幅(清算幅)を企業に出向して働けば報酬が得られるというスタイルがあります。
準委任契約では就業経験がなければ不利が目立つことが予想されますので、請負契約で1案件ごとに自分のペースでじっくり取り組むことから始めるのがおすすめです。
言語としてはJava・Python・Rubyなどがあります。いずれかのコーディングスキルを磨き、自分のスキルレベルで完遂させられる案件を確実にこなしていきましょう。
ライター
Web経由で受注できるライティング案件は主に『Webライター』としての仕事です。企業が運営するブログやニュースサイトなどのWeb媒体での記事を書くことになります。
書くことが得意だとしても、ビジネスとしてのライティングには情報の正確性や、無数にある類似記事に埋没しないオリジナリティが要求されるため、簡単ではありません。
このため情報リテラシーは必須で、編集者・構成作り・校正担当者といったチームでの仕事もありますのでコミュニケーション能力も求められます。
まずは自分の趣味や知識が生かせるトピックでの案件を1つずつこなし、執筆スピードと記事のクオリティを磨いていきましょう。
新卒フリーランス失敗しないために
新卒フリーランスとして仕事を続けていく上で、失敗しない働き方を考えてみましょう。
需要の高いスキル
新卒フリーランスは独自のキャリアパスを描けるメリットがありますが、それだけに目的設定を明確にしておくことが重要と言えるでしょう。
案件検索をすれば未経験でも可能な仕事も多いとは思いますが、考えていきたいのは自分が何者になるかということです。
これから廃れていくツールを用いた仕事より、いま市場価値が高い、またこれから需要が高まっていくと予想されるスキルを磨いていきましょう。
また、ある1つの案件を完遂させるためには、ただ1つのスキルでは不十分であることが往々にしてあります。自分が得ようとするスキルと、それを補完するスキルを並行して磨いていきましょう。
自律性と計画性
自分の仕事は自分で全てを管理する、というのがフリーランスの働き方です。どんなにスキルを磨いても、ただ待っているだけでは案件は受注できず、仕事のやり方は誰も教えてくれません。
自分で仕事を受注していくことや、納期を守って成果物を提出できること、また体調・スケジュール管理やマネーバランスを考えていけることも重要です。自律性と計画性を持って、自分なりのワークスタイルを確立していきましょう。
まとめ
フリーランスという働き方は魅力的ですが、新卒フリーランスにはメリットもありながら独特な難しさもあります。
仕事を進めていくなかで業界の先輩たちから技術を盗んだり、新卒フリーランスの仲間と情報交換していくことも有益であるでしょう。
ビジネスの基礎や市場価値の高いスキルを学び取り、自立した自分なりのワークスタイルを作っていくことが重要です。