IT技術者とは
IT技術者といっても、その具体的な仕事内容はさまざまな職種に分類されています。IT業界における技術者の仕事は膨大であることから細分化されており、通常、どのIT技術者も自分の専門性に応じた仕事を行なっています。
ここでは、IT技術者の代表的な職種や気になる年収の相場について解説します。
IT技術者の代表的な職種
IT技術者の具体的な職種として、次の六つがあげられます。
- システムエンジニア
- プログラマー
- サーバーエンジニア
- データベースエンジニア
- セキュリティエンジニア
- ネットワークエンジニア
以下、それぞれの仕事の内容を詳しく解説します。
システムエンジニア | SEと呼ばれ、システムの設計に関わる業務を行います。作成された設計書をもとに、プログラマーにプログラミングの指示を行うエンジニアです。 |
プログラマー | 設計書をもとに、実際にプログラムを書く業務を行います。仕事の内容に応じたプログラミング言語のスペシャリストです。 |
サーバーエンジニア | サーバーの構築や運用、保守を行います。OSやセキュリティなどのサーバーに関する幅広い知識が必要とされるエンジニアです。 |
データベースエンジニア | データベースの設計、運用、管理を担当します。ビッグデータの活用が広がっていることから、さまざまな業界でニーズが高まっているエンジニアです。 |
セキュリティエンジニア | 情報漏洩や不正アクセスなどを防ぐため、セキュリティに関する企画や設計、運用などを行います。セキュリティ侵害の技術は年々向上していることから、それに対応するため、常に最新のスキルを身につけることが必要とされます。 |
ネットワークエンジニア | システム運用におけるネットワークの設計や保守、運用に関する業務を行います。さまざまなサービスのクラウド化が進んでいることから、クラウドに関連した知識やスキルの向上が必要とされるエンジニアです。 |
年収相場は職種により差がある
IT技術者の年収相場はおおよそ300万〜1000万円と、職種によってばらつきがあります。
たとえばプロジェクトマネージャーなど、全体の管理をする役職は平均年収が900万円程度ですが、現場でソフトウェア開発業務を行うシステムエンジニアなどの年収相場は、500万円台が目安です。
IT技術者として働くメリット・デメリット
働き方改革の影響を受けて、IT技術者の雇用体系は、正社員だけでなく派遣社員やフリーランスなど、選択の幅を広げつつあります。
どの働き方にもそれぞれ特徴がありますので、自分のライフスタイルに応じて選択するようにしましょう。ここでは、IT技術者として働くメリットやデメリットを、それぞれの契約形態ごとに紹介します。
正社員の場合
正社員として働くメリットは、毎月安定して給与が支払われるという点です。一見当たり前のように感じますが、フリーランスのように毎月給料が支払われる保証のない立場と比較すると大きなメリットです。
デメリットは、勤めている会社の就業時間や就業場所に拘束されるという点です。徐々に在宅で勤務できる会社も増えていますが、全体的にはまだ少数と言えるでしょう。
また転職したり、担当する仕事の内容を変えたりすることが難しいという点もあります。同じ業務を長く続けることになりやすいので、身につくスキルの幅が狭くなることが多いです。
派遣社員の場合
派遣社員として働くメリットは、さまざまな現場を経験できるという点です。通常、派遣社員の契約期間は1〜3年であり、契約期間が切れると別の職場で働くことになります。さまざまな現場を経験することで、スキルの幅が広がるでしょう。
デメリットは、正社員に比べると収入が低いという点です。正社員と同じ仕事をしているにもかかわらず収入が低いので、不満が溜まる可能性があります。
フリーランスの場合
フリーランスとして仕事を行うメリットは、時間や場所に拘束されないという点です。インターネットを活用することで、パソコンさえあれば場所を問わず行える仕事の数も増えています。
デメリットは収入が不安定な点です。会社員や派遣社員とは違って給料制でないことから、仕事がない場合は収入が断たれてしまう可能性があります。
IT技術者の将来性
テクノロジーの開発は年々加速しており、さまざまな業界や企業で新しいITサービスが開発されています。その一方で、AIの発達により、将来的にIT技術者はAIにその立場を奪われてしまうのではないかと不安視する声もあります。
これからIT技術がますます発展する中で、IT技術者の役割はどのように変わっていくのでしょうか。ここでは、IT技術者の将来性について解説します。
人手不足は深刻
WebアプリやloT、ソーシャルゲームなど、日々多くのITサービスが急速に誕生しているため、それらのサービスに対応するIT技術者の不足が深刻化しています。
また、既存の基幹システムを構築するエンジニアの高齢化が進んでおり、今後、多くのエンジニアが定年退職を迎えます。それらが要因となって生じる人手不足に対しては、早めの対策を講じる必要があるでしょう。
逆に言えば、今後もIT技術者にとって有利な『売り手市場』が続くと期待できるということでもあります。
稼げるかは個人差がある
テクノロジーの発展とともに、さらにIT技術は細分化されていくことでしょう。同時に、IT技術者のスキルの差も徐々に広がり、それを受けて収入の格差が生じることが予想されます。
売り手市場とはいえ、どんなIT技術者でも必要とされているというわけではありません。IT技術者として高い収入を得るためには、時代の流れを読み取り、常にスキルアップを心がけることが大切です。
IT技術者に求められる姿勢
目まぐるしく発展するIT業界で技術者として働き続けるためには、自分の専門とする分野の高いスキルだけでなく、幅広いスキルや知識を身につける必要があります。どのような点に留意することが大切になるのでしょうか。
これからのIT技術者に求められる姿勢について、具体的に解説します。
新しい分野へ関心を持ち、学び続ける
IT業界に携わる技術者は、現状に満足していると時代の流れに取り残されてしまいます。事実、AIやビッグデータなど新しいテクノロジーが次々と誕生しており、既存のスキルでは対応できない状況になっているのです。
IT技術者は、常に新しい分野への関心を持ち、学び続ける姿勢を持つことが大切になります。
コミュニケーション力を磨く
IT技術者の働き方がどんなに多様化したとしても、人との関わり合いがなくなることはありません。相手の意図を理解し、自分の意見を伝えることができるIT技術者は、どんな現場においても重宝されることでしょう。
コミュニケーションのスキルを磨くことで、仕事相手との意思疎通が円滑になり、IT技術者としての信頼性が高まります。
キャリアパスを考える
IT技術者の業務が多様化すると同時に、IT技術者としてのキャリアパスも徐々に変化しています。
リーダー職からマネージャーといった管理職へとキャリアを重ねるだけでなく、最近は、ITコンサルタントやITアーキテクト、ITスペシャリストとキャリアの幅も広がっているのです。
自分の能力に応じたキャリアパスを考えて、日頃から準備しておくことをおすすめします。
未経験からIT技術者になるには
IT技術者の人材不足が懸念されている中、これから新たにIT技術者になろうと考えている人もいることでしょう。しかし、異業種からの参入などで全くITと関わりがない未経験者であった場合、どのような方法でIT技術者になればよいのでしょうか。
ここでは、未経験からIT技術者になる具体的な手段について紹介します。
プログラミングを習得する
未経験者は、まずプログラミングを習得することが必要です。基本的なプログラミングの知識を身につけることで、開発現場におけるエンジニアの仕事がどのようなものかを理解できるようになるでしょう。
その結果、どの職種のIT技術者が自分に向いているのかイメージできるようになり、より具体的な将来設計を立てることにもつながります。
自分に合った学習方法を選ぶ
プログラミングスクールやWebサービス、書籍などが充実しており、プログラミングを学びやすい環境はすでに整っています。学習形式もマンツーマン指導から独学まで幅広いことから、自分にあった学習方法を選択することが大切です。
実際に未経験からプログラミングを習得した人の声を参考にしながら、時間をかけて学習方法を選ぶことをおすすめします。
未経験可の求人に応募する
多くの場合、日本のIT技術者は、採用にあたって何らかの実務経験が求められることが多いです。しかし、ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアは、たとえ未経験であっても、専門的な知識を身につけていれば採用されやすいと言えます。
ある程度のスキルや知識がある人は、求人情報を確認して、未経験でも採用してくれる仕事を探してみるとよいでしょう。
資格は必ずしも必要ではない
IT技術者を採用する際、採用する側は技術者としての実務経験や能力を重視する場合が多いです。IT関連の資格を持っていることが採用に関してマイナスに働くことはありませんが、資格を持っていなければ不利になるということは少ないのです。
資格はあくまで自己研鑽の手段の一つと捉え、技術者としてのスキルを高めることを心がけましょう。
まとめ
IT技術の発達により、IT技術者が活躍できる環境はどんどん拡大しています。すでに人材の獲得合戦も始まっており、優秀な技術者であれば高い報酬を得られることでしょう。
IT技術者の需要が拡大する一方で人材の育成が追いついておらず、将来的にIT技術者が今以上に不足することが懸念されています。
たとえ未経験であっても活躍できる余地が十分にあることから、興味のある人はこの記事を参考にして、IT技術者を目指してみてはいかがでしょうか。