Androidアプリ開発の流れ
全世界でのスマホOSシェア率は、Androidが7~8割前後を占めると言われており、アプリ開発数も爆発的に伸びています。ここでは、Androidアプリ開発の簡単な流れを紹介します。
企画
企画では、『どんなアプリを作るか』を決めます。作業に取りかかる前に情報収集をしっかり行い、類似アプリは無いか、著作権の問題は無いかなどを十分チェックしておきましょう。
また『どんな機能を設置できるのか』という点を把握しておくことも必要です。特に特定のツールを使って開発を進める際は、ツールでできること・できないことをきちんと確認しておきましょう。
ゼロから企画を生み出すのは困難なうえ、行き当たりばったりでは完成までモチベーションを保てません。
本格的な企画に入る前に、アプリ開発の目的・目標をきちんと定めておくのがベターです。明確なゴールが見えていれば、途中で何がしたいのか分からなくなるということもないでしょう。
開発
どんなアプリを作るかを決めたら、実際の開発にとりかかります。Androidアプリの開発では『Android Studio』が必須のため、事前にインストールしておきましょう。
開発段階ではXMLで画面を作り、ソースコードを書いて実際のアプリ画面や機能を作成していきます。ソースコードを書く際は主に「Java」が使用されるため、Javaの理解も深めておかねばなりません。
テスト
アプリが完成したら、リリース前にテストして動作確認を行います。この段階では、機種によるレイアウトの崩れがないか、スムーズに起動するかなどを確認しましょう。
テスト方法は、Android端末の実機で試す方法と、Android Studioのエミュレーターで試す方法のほか、オンライン上のテストサービスを利用するという方法もあります。
適切なテストをしておけば、リリース後のバグやトラブルの発生リスクは低くなるでしょう。
必要な開発環境
Androidアプリを開発するなら、PC、Java、Android Studioは必須です。ここではAndroidアプリの開発に必要な開発環境を紹介します。
Android Studioを使用する
『Android Studio』は、Android OSの開発元であるGoogle社の開発ツールです。
以前までAndroidアプリは『Eclips』と『ADT』を組み合わせて開発する場合が多かったのですが、これらのサポートは2015年で終了しています。
現在のところAndroidアプリの開発環境は『Android Studio 』に一本化されており、これからAndroidアプリを作るなら『Android Studio』を選ぶのがベストです。
ツールとOSの開発元が同じであるため親和性が高く、新機能対応やバグ修正もスムーズに行ってくれます。
MacOSでも可能
『Android Studio』はMac OSにも対応しており、インストールすればMacでもAndroidアプリの開発は可能です。内容は基本的にWindowsと同じですが、インストールの方法は若干異なるため注意しましょう。
Android端末
試作したAndroidアプリのテストは『エミュレーター』で行えます。しかしアプリに搭載した各種センサーやバイブレーターを検証したい場合は、やはりAndroid端末の実機が必要です。Android端末の種類は多く、解像度やOS、センサーなどの組み合わせが多様です。
すべての機種でアプリを検証するのはほぼ不可能ですが、メジャーな端末やOSのバージョンは複数揃えておくのがベターです。具体的には、OS4.2、OS4.4、OS5.0あたりが、ユーザーが多く、テスト端末として具合がよいでしょう。
出典:Android デベロッパー | Android Developers
必要なプログラミングスキル
前述のとおり、ソースコードを書くにはプログラミング言語を理解している必要があります。Androidアプリの開発では、JavaやKotlinが主に使われていて、それぞれについて知識を得ておくことは有益です。
ここでは、二つの言語について簡単に紹介します。
基本の開発言語はJava
Javaは数あるプログラミング言語の中でも、最もポピュラーな言語の一つです。世界的にも広く普及していて、フロントエンドでもバックエンドでも用いられるという万能性があります。
加えてJavaの人気が高い理由として、『OSに依存しない』という汎用性の高さも忘れてはいけません。さまざまな環境でアプリを動かせるというのは、アプリ開発者にとっては大きな魅力でしょう。
話題の開発言語はKotlin
Kotlinは『Jet Brains』が2011年に開発したプログラミング言語です。JavaやAndroidとの親和性が高いのがポイントで、Android開発で主流を占めるJavaとの連携もスムーズに行えます。
これはKotlinが『JavaとAndroidと100%相互運用可能』というテーマで作られているためです。途中でJavaから乗り換えてもJavaで構築した資産が流用できるため、効率化を目指す多くの人が新言語・Kotlinに移行しています。
加えて、『Google I/O 2017』にて、Google社はKotlinを『Androidアプリ開発のプログラミング言語として追加する』と発表しました。この公式アナウンスによりKotlinは知名度が一気に上がり、「今後はAndroid開発に携わる人の必須スキルになるのでは」とも言われています。
独学する方法
アプリ開発にはプログラミングの知識が必須です。特に新しいプログラミング言語の習得は時間がかかり、未経験から勉強を始めると習得までには長い時間がかかるでしょう。
独学でアプリ開発に必要な知識を得るには、どのような方法があるのでしょうか。
通信講座を活用
オンライン授業が受けられる通信講座は、家に居ながらプロの指導を受けられるというメリットがあります。実際のコーディングの様子なども自身の目で見られるため、教本だけでは分かりにくい技術も理解しやすくなるでしょう。
通信講座はスクールよりもコストがかからず、交通費もかかりません。地方に住んでいて近くにめぼしいプログラミングスクールが無い場合でも、レベルの高い授業を受けられるのは大きなメリットです。
講師陣やサービス内容は講座によって異なります。講座を申し込む際は雰囲気や料金で選ぶのではなく、学びたい講義はあるか、サポートはどうなっているのかなど、内容を細かくチェックしておきましょう。
本やWebサイトで学ぶ
プログラミングの勉強は、書籍やWebサイトでも可能です。しかし、全くの初心者の場合、いきなり書籍を読み始めると意味の分からない専門用語が頻出して、挫折してしまう可能性が高くなります。
まずはプログラミングを優しく解説してくれるWebサイトを見つけ、そこで基礎を学びましょう。ある程度、専門用語になれてきたら、書籍を読み込むのも有益です。
ただし書籍を利用する場合、出版年には注意しましょう。プログラミング業界は移り変わりが早く、書籍に記載された情報がすでに古くなっている可能性があります。
初心者は現状との差異を見抜くことが難しいです。書籍とWebサイトを平行して活用しながら、最新の情報を収集するようにしてください。
アプリを作りながら覚えるのが近道
開発したいアプリがあるのなら、実際に作ってみるというのも、効率的な学習方法です。実地でスキルを学べば、教本の内容も実体験として理解できるようになるでしょう。
いきなりオリジナルアプリを作るのは困難という人は、教材などのサンプルを改造することから始めてみてはいかがでしょうか。プログラムを少しだけ変えてみる、Twitterログイン機能を付けるなど、アレンジの仕方は色々あります。
サンプルとはいえ完成すれば達成感もあるので、プログラミングの勉強をする上で大きなモチベーションとなるでしょう。
開発力以外にも重要なスキル
スマホアプリを開発するだけならプログラミングの知識があればできますが、人々に受け入れられるアプリを作るにはそれ以外のスキルも必要です。
アプリ開発に臨む際、持っておきたいスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。
英語文献の調査、読解力
アプリ開発では、英語で調べ物をしたり文献を読んだりできる程度の英語力があると便利です。AndroidはGoogle社のOSのため、アプリ開発のガイドラインや情報は英語で提示されます。
ブラウザに翻訳機能があればそれを使えますが、思わぬ誤訳があることも。原本をそのまま理解できる程度の英語力があると有益でしょう。
デザイン、UI・UXの知識
近年はUI・UXを意識したアプリデザインが重視されています。
UIとは、『ユーザーインターフェース』(User Interface)の略です。ユーザーと端末を繋ぐ窓口のようなもので、スマホアプリなら画面上で見られるすべての情報がUIとなります。
UXとは『ユーザーエクスペリエンス』(User Experience)の略語です。『楽しい』『便利』など、アプリを使ったユーザーが感じたすべてがUXとなります。
魅力的なアプリとして認められるためには、ユーザーからよいUXを引き出さねばなりません。アプリ作成時にはユーザーのニーズを考慮して、使いやすく好ましいUIデザインを行う必要があるでしょう。
優れたUIデザインを行うには、デザインの基礎知識が必須です。加えてPhotoshopやIllustratorといった基本的なデザインツールやSketch、Adobe XDなども使いこなせるようにしておくことが望ましいでしょう。
トレンドを把握する力
スマホアプリはさまざまな情報をもとに企画設計されるため、トレンドを把握するマーケティングスキルも必要です。情報を適切に収集したり分析したりするスキルがあれば、他のアプリには無いオリジナリティを出すことも容易でしょう。
近年はスマホの普及に伴ってアプリの数も増加しており、似たようなアプリは淘汰されてしまいます。『いかに他のアプリと差別化を図るか』が、アプリ開発において重要なポイントとなるのです。
まとめ
Androidアプリを開発するなら、Android Studioなどの必要なツールを揃え、開発に必要な環境を作りましょう。
加えてアプリを作成にはJava、Kotlinなどプログラミング言語の知識も必要です。現状はまだJavaがメインですが、今後のトレンドを考えるならKotlinも習得しておきましょう。
『今までAndroidアプリを開発したことがない』という人は、通信講座や書籍などを活用して学びましょう。見たり読んだりするだけではなく、実際にソースコードを書いてアプリを作ってみるのが上達の近道です。
Androidのシェア率は依然として高く、リリースされるアプリも増加しています。Androidアプリ開発の需要は今後も高まっていくと予測されており、開発スキルを磨くことは将来的にも有益でしょう。