中小企業のリモートワーク事情
大企業とは違い中小企業では導入に踏み切れない実態があります。原因や法令や助成金に関してもあわせて解説していきます。
中小企業ではリモートワーク導入が進んでいない
大企業がリモートワークを次々に導入しているのに対し中小企業では思うように普及していません。東京商工会議所によると、リモートワークの導入率は、大企業が57.1%であるのに対し、中小企業は14.1%となっています。この現状の原因として次のようなものが考えられます。
- 一人一人が複数の業務を担当している
- 労務管理や運用のノウハウが少ない
人手の少ない中小企業では、一人の社員が複数の業務を担当していることはよくあります。業務範囲があいまいで、業務仕分けが難しいことがリモートワーク導入の妨げになっているのです。
また、労務管理や運用のノウハウが少ないこともリモートワークに移行できない一因です。
働き方改革関連法案が中小企業にも適応された2020年の4月に、働き方改革関連法案が中小企業にも適応されました。これにより主に対応しなければならないことは以下の2点です。
- 5日以上の有給休暇を取得できる体制の整備
- 労働時間把握義務への対応
いずれも社員の健康管理を目的とした項目で、これらを満たすためには業務の効率化は必須です。その手段としてリモートワークの導入はとても効果的と言えます。
助成金について
現在、厚生労働省では時間外労働の制限を始めとする労働時間の改善や健康的なライフスタイルの推進しています。そこで、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成しています。
対象となるのは、従業員300人以下の新しくリモートワークを取り入れる企業です。従業員一人あたり最大40万円まで補助されます。
助成対象となるのは以下の経費です。
- 謝金
- 旅費
- 借損料
- 会議費
- 雑役務費
- 印刷製本費
- 備品費
- 機械装置等購入費
- 委託費
支給対象や支給額は、企業の業種やリモートワークの導入度合いによって変動します。
リモートワーク導入のためにやるべきこと
リモートワークの導入する上で大切なポイントを3つ紹介します。
セキュリティー対策を行う
リモートワークでまず不安になるのがセキュリティ面の安全性ではないでしょうか。必要なセキュリティ対策として以下のことを実践しましょう。
- セキュリティポリシーの見直し
- パスワード管理の徹底
- 問題発生時のマニュアル作成
まずは、ポリシーの見直しをする必要があります。セキュリティーポリシーとは、企業や組織において実施する情報セキュリティ対策の方針や行動指針のことです。同時に全社員に共有することで、セキュリティーへの意識向上につながります。
また、会社のシステムにアクセスする際の認証におけるパスワードを強化する必要があります。例えば、英字は大文字と小文字を混在させたり、数字と記号を合わせるといった方法があります。また、定期的にパスワードを変えるなどの対策も有効です。
とはいえ、万全の対策などありません。問題が起きた時、損害を最小限に抑えるためにマニュアルが必要です。様々なトラブルを想定し、各問題について、解決までのフローを示したものを用意しましょう。
新たな就業規則を作成する
リモートワークでは、勤務時間の項目や手当に関する項目など通常の就業規則では不具合が生じるケースがあります。そのため、リモートワークに対応した就業規則を作成しましょう。
作成時のポイントとしては、以下のようなものがあります。
- 就業時間
- 就業場所
- 就業上の情報の取り扱い
- 在宅勤務中の費用負担
- 在宅勤務中の手当支給
それぞれ休日労働や残業の扱いなど細かく検討しなければならない点がいくつもあるので、時間をかけて取り組みましょう。
必要なツールを導入する
遠隔で行われるコミュケーションが円滑に行われなかったり、データ管理がしっかり行われていなければ、生産性が上がるどころか効率が下がってしまいます。リモートワーク導入のためには、リモートワークの様々なデメリットを最小限に抑え生産性を上げるためのツールを導入する必要があります。
導入するべきツール
リモートワークを成功させるためにはITツールの導入が不可欠ですが、企業それぞれに適したものを選択しなければうまく機能しません。ここでは、中小企業に適したITツールをご紹介します。
チャットツール
リモートワークでは社員同士のコミュニケーションが減り、一体感がなくなることが懸念されます。そのため、タイムラグのないコミュニケーションを、気軽に行うためのチャットツールが必要です。気軽にタイムラグがないコミュニケーションを行うためのチャットツールの導入が不可欠です。チャットツールとして以下の二つがおすすめです。
Slack
今流行りのチャットツールで、チャンネル数に制限がなく、事業・プロジェクトごとにチャンネルを分けて、必要な人だけに情報を共有することが出来ます。デザインがシンプルで分かりやすく、セキュリティ性が高いことで評価されています。
中小企業向けのスタンダードプランであれば、月額850円と手ごろな価格となっています。
ファイル共有ツール
リモートワークでは情報格差が生じてしまう恐れがあるため、情報共有を円滑に行うツールの導入が不可欠です。ファイル共有ツールとしておすすめのものが以下の2つです。
Google ドライブ
Google ドライブの優れている点は、ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションに関してWEB経由で他の人と共同できることです。編集可能にするか閲覧のみにするかも自由に設定できるため管理が容易です。
ドキュメント共有ツール
情報共有を円滑に行うツールとしてドキュメント共有ツールも書かせません。例えば、ちょっとした作業の進め方やプロジェクトの進行状況など、オフラインであれば口頭でさくっと伝えていたような内容であっても、オンラインだと誤解なく、誰にでも、いつでも伝わるようにドキュメントに起こしておくことが望ましいです。Notion
Notionは社内用のWikiツールです。カテゴリに分けて階層構造を持たせたり、カンバン形式でタスクを管理したり、など情報を見やすく整理するための機能がとても豊富です。overflowでは、以前は他のサービスを使用していましたが、機能性の高さからNotionに移行しました。まとめ
今回は、中小企業のリモートワークの現状と導入するのに必要なことについてご紹介しました。現在中小企業ではリモートワークの導入が進んでいませんが、適切な施策を施した上で導入すれば生産性があがり企業に大きな利益をもたらします。また、社員にとっても自由な時間が増え、ストレスの軽減が見込めるため早期にリモートワークに移行することをおすすめします。