ロゴデザインの流れ
ロゴデザインとは、企業や団体の顔ともいえるロゴをデザインする仕事です。ロゴには企業や団体の理念やコンセプト、価値観やサービスが反映されており、ブランディングやマーケティングでは重要な役割を果たします。
デザイナーにとっては非常にやりがいのある仕事と言えますが、デザインはどのような流れで行われるのでしょうか。
コンセプトのヒアリング
まず、実際のデザインに取りかかる前に、クライアントを交えたヒアリングが行われます。ヒアリングは、クライアントの意図やロゴのコンセプトを確認するために必要な打ち合わせです。
デザイナーは企業のターゲット層や会社の概要、ブランドイメージといった有益な情報を、なるべく具体的に聞き取らねばなりません。
情報の質や量がデザインの出来に大きく関わりますので、ヒアリングでの情報は漏らさず確認しましょう。
デザイン案を出す
次に、ヒアリングの内容をもとに、クライアントの意向に沿ったデザイン案を作ります。ロゴの形状や配色、フォントはこの段階で出しますが、『クライアントの意向を反映出来ているか』を振り返りながらデザインします。
デザインにはデザイナーのオリジナリティやセンスが必要ですが、あまりに自己主張を加えるとクライアントの要望とかけ離れてしまうケースもあります。デザインでは見栄えのよさやスキルの誇示に執着せず、クライアントが望むかたちでのデザインが必須です。
すり合わせ、修正後完成、仕様書作成
デザイン案ができたら、クライアントの要望に沿うデザインを複数点携えて、プレゼンテーションを行います。
クライアントはこの段階で『ロゴがイメージ通りにできているか』『求める条件をクリア出来ているか』を確認しますが、一度でOKが出ることは稀です。修正箇所は指示通りに変更し、修正後は都度クライアントに確認を取ります。クライアントによっては複数回の修正を求めることがありますが、こうした場合は『確認→修正→確認』を何度もすることになるでしょう。
確認・修正工程を経て、最終的にクライアントが納得すれば、デザインは完了です。
ただし、ロゴ使用時にトラブルが発生しないよう、データとともに必ず仕様書もセットにします。仕様書はレギュレーションとも言い、ロゴの使い方やパターン、縮小や拡大のサイズ設定まで細かく記載し、ロゴ使用時の決まりとします。
ロゴデザイン案件の相場は?
ロゴデザインは、企業だけではなく、アプリや製品の顔としての需要も高まっています。デザイナーの案件は豊富といえますが、デザイン案件を手がけた場合、どのくらいの報酬を得られるのでしょうか。
数万円〜数百万円まで幅広い
一口にロゴデザインといっても、手がけるデザイナーやデザイン事務所によって報酬額には差があります。そのため、具体的な金額を提示するのは難しいですが、数万円~数百万円でしょう。
同じような案件をデザインする場合でも、入念なヒアリングから始まるフルオーダー形式の場合、コンサルティング料が加えられ、デザイン料金は高額になります。
一方で、デザイナーが用意した雛形からクライアントが好みのデザインを選ぶ場合は、新たにデザインを作成する必要がありません。クライアントの希望に合わせて色やアレンジを加えればよいため、デザイン料は安くなるでしょう。
知名度の高いデザイナーは高額
超一流といわれるデザイナーなら『1ブランド数百、数千万円』というケースも珍しくはなく、知名度と報酬は比例します。この他、入賞歴があるデザイナーなども報酬はやや高額です。数百とはいかないまでも数十万円程度にはなるでしょう。
報酬にはデザイナーのスキルや経験がダイレクトに反映されます。ロゴデザイナーとして安定した収入を得るには、実績を作りコンペで受賞するなどして経験を積むことが近道です。
クラウドソーシングを活用する
クラウドソーシングを活用すれば、デザイナーとしての実績が少ない人でも、案件受注のチャンスがあります。
クラウドソーシングとは、案件を依頼したい企業が、インターネットを通じて不特定多数の人に募集を募る新しい外注の形です。様々な金額や条件の案件があるため、『未経験者可』の案件も見つかるでしょう。
クラウドソーシングを通じてのロゴデザイン受注について考察します。
単価は数万円が相場
クラウドソーシングのデザイン案件の報酬額は、高いものでも数万円からが相場です。ただし、中には数千円という格安の案件も散見されます。クラウドソーシングの料金相場は、『一般の相場より低め』と承知しておきましょう。
また、クラウドソーシングの依頼者には、条件や契約内容等を明記していないケースもあります。応募すると無制限に修正させられたり、想定外のことまで求められたりすることもあるので、注意が必要です。
クラウドソーシングで案件を探す場合は、条件・契約内容・金額等に納得できるものを探しましょう。
個人名刺用や企業ロゴまで案件は様々
クラウドソーシングを通じて募集をかけるのは、企業から個人までと広範囲に渡ります。
そのため、案件は『個人名刺用ロゴ』といったプライベートなものから、企業ロゴのデザインまでとバラエティ豊かです。未経験者や時間がない人でも仕事を探しやすく、条件やスキルに見合った案件が見つかります。
報酬は案件により異なる
クラウドソーシングでは、クライアント側が『金額○○円』と定めて応募を募るため、報酬金額は案件によって差があります。クライアントからの条件が複雑かつ高度になるほど高額報酬を得られますが、このような案件を未経験者が受注するのは困難でしょう。
クラウドソーシングでは、未経験者も気軽に応募出来る反面、好条件案件の受注は難しいです。誰もが「いいな」と思う案件には応募が殺到するため、未経験者は低単価案件をコツコツと請け、実績作りに注力することをおすすめします。
スキルアップの方法
多くのロゴデザインを任されるデザイナーは、デザインの基本スキル以外にも有益なスキルを積んでいます。
クオリティの高いロゴデザインを作成するには、どのようなスキルを身につければよいのでしょうか。
レタリング技術を身につける
レタリングとは、文字に効果や装飾を付けてデザインすることです。ロゴデザインでは企業名をそのままデザインに活かすケースが多く、文字デザインの表現力を広げておくことは有益と言えます。
また、ロゴデザインに既存のフォントを使用した場合は商標登録できないため、手書きで文字をデザインする『ハンドレタリング』スキルも必要です。ロゴデザインの現場ではこうしたレタリングスキルは重宝されるため、デザイナーとしての需要を高めたいなら、身につけておいて損は無いでしょう。
配色、色彩について学ぶ
どんな色を使えばどんな効果があるのか、色のトーンはどのように揃えるべきかなどは、デザイナーなら知っておくべき基本事項です。特に、ロゴマークのように一瞬の印象が重視されるデザインでは、色の効果は必ず問われます。
例えば、クライアント企業がポジティブなイメージを求めているなら赤や黄、オレンジといった『暖色』がぴったりです。一方、落ち着いた雰囲気が求められるなら、青や緑といった『寒色』『中間色』が望ましいでしょう。必要に応じた色の選択は、専門知識無しには困難です。色はデザインのもっとも重要なパーツの一つとなるため、最低限の配色や色彩効果についての知識は、備えておくことが望まれます。
まとめ
ロゴデザインとは、企業や団体などを象徴するものです。ロゴには企業のコンセプトや企業理念、ブランディングも含むので、デザイナーの想像力やデザイン力、情報をまとめる力などが求められます。
ただし、デザイン報酬は知名度や実績に比例するため、デザイナーとしての価値を上げる努力は必須です。クラウドソーシングで実績を積んだりデザイン知識を増やしたりなどして、日々研鑽に努めましょう。