ロゴデザインとは
ロゴは、企業や組織の理念、価値観、製品、ブランドイメージなどを視覚化したもので、広く世間一般にアピールして、ブランド力を高めるという効果があります。目的にかなったロゴに仕上げるには、独創性や見た目のインパクト、覚えやすさなどを意識してデザインしなければなりません。
ロゴデザインの詳細について見てみましょう。
グラフィックデザインに分類
ロゴデザインは、グラフィックデザインの一つです。
グラフィックデザインと聞いてピンと来ない人は、広告やポスターといった印刷物のデザインを思い浮かべるとよいでしょう。
グラフィックデザインは、イラストや写真・文字などを効果的に配置し、製品の魅力や特徴を視覚的に訴えることが主目的です。デザイナーはレイアウトスキルやデザインスキルを駆使して、イメージ通りのデザインを仕上げます。
企業や団体のシンボルともいえるロゴを魅力的かつイメージ通りに作成するには、こうしたグラフィックデザインのノウハウとスキルが不可欠なのです。
図、文字のみなど様々なタイプがある
ロゴのパターンは、大まかに次の3タイプに分類されます。
- シンボルマークのみ
- ロゴのみ
- シンボルマーク+ロゴ
シンボルマークのみのロゴデザインは、企業の特色や理念を図案のみで具現化されています。一方、ロゴのみのデザインは、企業名やブランド名がそのまま意匠化されたものです。
図案と意匠文字をくみあわせたパターンも、ロゴデザインではよく見られます。
ロゴデザイナーの仕事内容
ロゴデザイナーは、クライアントの意向に沿ったロゴをデザインするのが仕事です。
もちろんメインはロゴデザインを考案することですが、そのための情報収集やヒアリングも、大切な仕事の一つと言えます。デザインは入手した情報を基に着手するため、情報の質や量がデザインの出来を大きく左右するでしょう。
デザイナーの具体的な仕事内容については、後の項で詳しく紹介します。
企業、サービス、アプリなど多岐に渡る
ロゴデザイナーの仕事は企業に限らず、サービス、アプリなど、広範囲に拡大しています。
近年は、IT企業を中心に新規企業が増加していたり、スマホの普及でアプリ市場が拡大していたりと、ロゴが使われる場所も増加中です。ロゴデザイナーとしての活躍場所は広がっており、デザイナーにとっては有益な案件が見つけやすい状況といえるしょう。
ただし、ロゴデザイナーとして活躍するには、それなりのデザインスキルやセンスが必須です。クライアントからの信頼を獲得し、安定した収入を得られるよう、固いイメージの企業ロゴからカジュアルなアプリロゴまで、幅広く対応できるデザイン力を備えておく必要があります。
ロゴの作り方
ロゴは一度公表してしまえば、変更は容易ではありません。デザインは慎重かつ厳密に行われる必要があり、デザイナーはデザイン工程以外の部分への配慮も求められます。
実際にロゴを作る場合、どのような流れで行われるのでしょうか。
依頼者からコンセプト等をヒアリング
実際にロゴデザインに取りかかる前に、依頼者を交えてコンセプトなどの聞き取りを行います。依頼者の希望や条件、デザインに求める効果、デザインのベースとなる情報をここでしっかりと把握するのです。
こうすることで依頼者とデザイナーが持つロゴのイメージが近くなり、依頼者の望みどおりのデザインを提案しやすくなります。不明な点や曖昧な点があれば都度確認し、お互いの認識の差をなくしておくことが重要です。
デザイン案作成
ヒアリングで得た情報をもとに、デザイナーは実際のデザイン案を作成します。ロゴの形状や書体、配色はデザイナーのセンスに一任されますが、要所ごとで『デザインの方向性は合っているか』『コンセプトがぶれていないか』という振り返りは必要です。デザイナーの自己満足とならないよう、依頼者の意図やロゴの目的を確認しながらデザインを進めましょう。
デザインが完成したら、文字や配色、レイアウト等を総合的にチェックして、質の高いものを選び出します。最終的な選択を行う依頼者が比較検討しやすいよう、デザイン案は仕様を変えて複数用意しておきます。
修正を経て完成
依頼者に提示できるデザイン案が揃ったら、依頼者を交えたプレゼンテーションを行います。プレゼンテーションは、デザインの使われ方や望まれる効果などを説明して依頼者の意向を仰ぎ、最終的な方向を決定するのが目的です。
ただし、一度のプレゼンテーションでデザインが決定するケースは稀と考えましょう。依頼者によっては複数回以上の修正や追加を求めることもあり、デザイナーは都度デザインに修正を加えねばなりません。
『依頼者確認→修正→依頼者確認』という流れは依頼者がデザインを了承するまで繰り返されます。依頼者が最終的に「問題なし」と判断すれば、デザイン案は完成です。
使用レギュレーション作成
ロゴデザインが決まった後は、ロゴデータをレギュレーションとともに納品します。レギュレーションとはロゴに関する詳細な事由が含まれたもので、ロゴ使用時の『マニュアル』のようなものです。
レギュレーションに含まれる具体的な事例には次のようなものがあります。
- ロゴの使用規定
- ロゴの余白設定(カラー時、モノクロ時)
- ロゴの背景色
- ロゴの最小サイズ規定
依頼者がレギュレーションに従ってロゴを使用することで、適切にブランドイメージを守れるのです。
ロゴデザインの学び方
ロゴデザインは、前述のとおりグラフィックデザインに属するため、スキルの習得にはグラフィックデザインの勉強が必要です。
ロゴデザインに必要な知識やスキルは、どのように学べばよいのでしょうか。
大学や専門学校で学ぶ
ロゴデザインに必要なグラフィックデザインスキルは、デザイン科のある大学や美術系の専門学校で習得できます。
グラフィックデザイナーたるもの、デザインの基本的な技術や手法、色彩理論を会得しておくことは必須です。加えてPhotoshopやIllustratorなど、基本的なソフトの使い方も習得が必要です。
こうした知識やスキルは、独学よりも学校で体系的に学んだ方が効率的です。必要な情報が吟味されているため、必要最低限の情報やスキルはしっかり身につくでしょう。
加えて、デザインの大学や専門学校で学ぶメリットは、業界の最前線で活躍するデザイナーの指導を受けられること、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨し合えることなどです。なかには卒業後の就職まで紹介してもらえるケースもあり、本気でロゴデザイナーを目指す人には有益でしょう。
独学で身につける
グラフィックデザインに関する資料や教本は豊富なため、独学で必要なスキルを身につけることも可能です。学校に通う費用で必要な機材やPC、ソフトを購入できるため、実践しながらロゴデザインを学びたい人には有益でしょう。
ただし、独学の場合、勉強メニューの作成やスケジュール管理はすべて自身の仕事です。モチベーションを保って学習を続けられる人以外は、必要な技術を習得する前に挫折してしまう可能性もあります。
ロゴデザイナーに必要なスキル
魅力的なロゴデザインを生み出すには、デザインの基礎全般とグラフィックソフトを扱うスキルが不可欠です。
ロゴデザインでは、具体的にどのようなスキルが求められるのかを紹介します。
グラフィックデザインの知識とスキル
これまで繰り返してきたとおり、ロゴデザインにはグラフィックデザインの知識とスキルが不可欠です。必要な知識やスキルをまとめると、次のようになります。
- コピー・広告概論
- 配色知識
- 文章表現
- DTPの基礎
- 印刷知識など
「グラフィックデザイナーに必要な資格や試験などはない」とはよく聞きますが、実際には幅広い分野の知識がなければ、魅力的なデザインは完成しないでしょう。
レタリングのスキル
通常、ロゴの商標登録では、既存のフォントの使用は認められていません。企業名等をロゴに用いてデザインする場合は、魅力的な文字デザインをかなえるレタリングスキルが必須でしょう。
レタリングとは、文字をデザインすること、もしくはデザインされた文字そのものを指します。PCにたよらず作成するレタリングは『ハンドレタリング』とよばれ、ソフトを使ったデザインよりも暖かみやオリジナリティが出るのが魅力です。
ロゴデザイナーとしてロゴを極めたいなら、魅力的な文字装飾のためのレタリングの基礎は習得しておくことをおすすめします。
Illustratorなどのソフトを使う技術
ロゴデザインを手がけるうえで、IllustratorやPhotoshopといったグラフィックソフトは、扱えるようにしておかねばなりません。
まず、Illustratorは製図や写真・文字等のレイアウトを得意とするソフトです。正確な描画やレイアウトが可能なため、基本的なデザインはIllustratorのみで終わります。
一方、Photoshopは、編集・加工が得意なソフトです。Photoshopを使い、色調の調整や画像の合成・変更をして、デザインの見栄えをよくします。
流れとしてはIllustratorを使った後、Photoshopを用いる場合が多いですが、Illustratorだけ、Photoshopだけで済むデザインもあります。コンセプトや形態に合わせたロゴが作成できるよう、どちらのソフトも自由に使いこなせるようにしておくとよいでしょう。
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さらなるスキルアップを目指すなら
ロゴデザイナーとしてクオリティの高いデザインを提案するには、基礎的なデザイン力に加え、プラスアルファのスキルを身につけておく必要があります。
質の高いロゴをデザインする上でのポイントを見てみましょう。
ロゴデザインに役立つ知識を身につける
ロゴは企業やサービスを視覚化したものであり、事業展開では中心に据えられる存在です。『企業のアイデンティティを示し、一般からの認知を得る』という目的があるため、ロゴデザインは、単なる意匠以上の意味を持ちます。
そのため、デザイナーがロゴをデザインする際は、あらゆる知識やスキルを総動員します。企業の特色やコンセプトを具現化したデザインを生み出すには、なるべく多くの知識の引き出しが必要となるでしょう。
フォントに関する知識
デザインでは、どのようなフォントを選択するかによって、見た人に与える印象を変えられます。
例えば、和文の『明朝体』『ゴシック体』の2種類について考えてみましょう。
まず、線が細く、文字の太さに強弱のある明朝体は、上品で繊細な印象を与えます。そのため、知的さや上品さ格式の高さを表現したいデザインでは、こちらがベターでしょう。
一方、ゴシック体は線の太さが均一で、視認性の高い書体です。線が一定調子のためシンプルでモダンな印象が強く、現代的なイメージを強調するデザインに向いています。
このようにフォントが与えるイメージを知っていれば、ちぐはぐなフォントを選んでしまう危険はありません。
また、フォントについては、欧文の知識、文字間の幅に関する『等幅フォント』『プロポーショナルフォント』などの知識も重要です。
色彩心理学
企業イメージに即したロゴをデザインするには、企業イメージや狙いに合ったカラーを選択せねばなりません。好みや雰囲気だけで選ぶとクライアントの意向を十分に反映できないため、色彩心理学に基づいた色選択をおすすめします。
色彩心理学とは、色の効果と心身へ与える影響についての学問です。『赤は強いエネルギーを表す』『青は沈静と抑制の色』といったことを知っていれば、企業やブランドイメージに合わせたロゴカラーを選択し、提案できるでしょう。
他のロゴを参考にして学ぶ
巷には多くのロゴがあふれており、なかには参考にしたくなるものも多いでしょう。
イメージも知識もゼロの状態では、よいデザインを生み出すのは困難です。まずは多種多様なロゴを見て回り、デザインのバリエーションを増やしておく必要があります。『どんな点が優れているのか』『どんな工夫が施されているのか』など、デザインの検証をしましょう。
近年は膨大な数のロゴを集めたWebサイトがあり、誰でも優れたデザインを目にするチャンスがあります。ジャンルごと、業種ごとなど見やすく整理されているケースも多いので、なるべく多くのロゴを見てみましょう。
ロゴデザイナーの働き方
ロゴデザインを手がけたい人は、どのような職場を選べばよいのでしょうか。ロゴデザインにかかわる職場や、働き方について考察します。
デザイン事務所や制作会社で働く
多くの場合ロゴデザインを手がけるのは、デザイン事務所や制作会社です。ただし、会社によって手がけるロゴ案件の数や規模は異なるため、入社したからといってロゴに携われる保証はありません。
どんな案件が任されるかは会社の意向や方針によるため、デザインの選り好みは難しいでしょう。特に経験が浅い場合、補助的な仕事からスタートする場合が多いです。
クラウドソーシングで受注する
ロゴデザインの仕事のみに絞りたい場合、クラウドソーシングでロゴデザイン案件を受注するという方法もあります。
クラウドソーシングとは、仕事を任せたい企業や個人が、Webを通して不特定多数の人に案件を公開するという、新しい外注の形です。近年は案件をとりまとめたクラウドソーシングサイトも多く登場しているため、いずれかに登録するとよいでしょう。
ただし、クラウドソーシングを利用する上で覚えておきたいのが、通常よりも単価が低めということです。クラウドソーシング一本でやっていくには、相当数の案件を受注する必要があるでしょう。
加えて、募集条件も様々で、なかには受注者にとって不利なものも散見されます。応募の際は、契約詳細についてきちんと把握しておくことが重要です。
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ロゴデザインの相場
ロゴデザインを手がけるのに、気になるのがデザイン料の相場です。ロゴデザイナーとして受注した場合、どのくらいの報酬が見込めるのでしょうか。
1件あたり数万円
ロゴデザインの相場は1件あたり数万円からというケースが多いでしょう。金額に幅があるのは、デザイン案件の条件によって工程数は大幅に異なり、料金の平均化が困難なためです。
デザインの概要や資料をクライアントが用意している場合、デザイナーが手がける工程はさほど多くありません。一方で、コンセプトやイメージを一から作り上げていく場合、デザイナーがかかわる工程数は増加します。こうした工程数の差は金額にダイレクトに反映されるため、デザイナーがどこまでかかわるかで料金相場は大きく変化するのです。
デザイナーの知名度で単価は大きく変わる
ロゴデザインに限りませんが、知名度のあるデザイナーほど単価は高くなります。知名度の高いデザイナーは世間的認知度が高く、名前自体に宣伝効果があることがほとんどです。加えて、過去の作品や実績がわかりやすく、最初からある程度のクオリティが担保されるというメリットもあります。
「質の高いデザインにしたい」「ロゴに箔を付けたい」と考える企業や団体なら、たとえ高額でも知名度の高いデザイナーを希望するというケースは多いでしょう。
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まとめ
ロゴデザインは企業のイメージやコンセプトを伝える、いわば企業の顔とも呼べるものです。広告や宣伝はロゴを中心に展開されるケースが多く、ロゴデザイナーの役割は非常に重要です。
ロゴデザイナーになるために必要な資格や試験等はありませんが、デザイン力だけではなく、クライアントの意図や要望をくみ取る力は必要です。加えて、あらゆる情報から必要なものをピックアップしてまとめ、デザインに落とし込むことも要求されます。
基礎的なデザインスキルを高めることはもちろん、フォントや色などについて十分に知見を広めておくことが、デザイナーとして活躍できる場所を広げるでしょう。