カメラワークを意識して写真を撮る。構図とアングルを学ぼう

一眼カメラで撮影しているのに、写真がプロのように見えないのは、カメラワークが問題もあります。思い通りの写真を撮るために大切な『構図とアングル』の代表例を知って、理想通りの写真を撮れるテクニックを身につけましょう。

カメラワークとは?

映画が好きな人なら、一度は『カメラワーク』という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。写真のカメラワークも同じように、『被写体をどのように撮るのか』という技法用語の総称です。

カメラワークを変えることで、撮影者の表現や、写真を見る人の心理的印象を変えられます。撮影した写真を効果的に見せる、代表的なカメラワークを基礎から学んでいきましょう。

構図とアングル

プロと素人の写真では、同じ場所や被写体で撮影しても、仕上がりがまったく異なります。その大きな違いをもたらすのが『画角』です。画角は、どの部分まで写真に収めるかの『範囲』を指します。

写真を撮影していると、つい多くの情報を1枚に収めたくなりますが、不要な情報を取り除いて、被写体を強調するテクニックが『構図』です。被写体の大きさや配置場所のちょっとした変化で、プロのような写真が簡単に撮れるようになります。

構図同様、写真を撮るときに欠かせないのが『アングル』です。『自撮り写真』は斜め上から写すアングルを活用して、目を大きく見せるテクニックです。

同じ被写体でも、撮影する角度を変えることで印象が大きく変わるので、ぜひ覚えておきましょう。

代表的な構図の例

写真の印象を左右する『構図』ですが、一から覚えるのは大変ですよね。実は構図には、定番の基本パターンがあるため、その通りに撮影することで、写真の仕上がり度合いがグンと増すでしょう。

写真とは『写真の主役』が、表現性やテーマそのものを占めています。カメラマンが撮りたかったもの、伝えたかったテーマを、とことん引き立てるため構図を紹介していきます。

三分割法 二分割法

画面を三分割し、交わる点に被写体や背景の線を配置させる『三分割法』は、構図の基本中の基本です。

近年発売されたカメラであれば、『グリッドライン表示機能』がついています。グリッドラインを表示しながら、交わる点に被写体がくるように撮影すると、簡単に三分割法が可能です。さらに被写体の視線の先にスペースがあると、開放感のある写真になるでしょう。

写真を上下、または左右半分にわける構図を『二分割構図』といいます。特に水平線や地平線など、上下がはっきり別れた被写体に、多用される構図です。

左右に別れたビル群なども、二分割構図で撮影することで、安心感や安定感のある写真に仕上がります。

日の丸構図 三角構図

一眼カメラを持ち始めたばかり人でも、簡単にできるのが『日の丸構図』です。名前の通り日の丸の旗に写真を見立て、被写体を中央に配置する構図です。

周囲をぼかすことで、中央の被写体がクローズアップされるため、人物のポートレートなどでよく使われています。シンプルでわかりやすい反面、飽きられる構図でもあるため、被写体の美しさや背景のボケ具合を工夫し、写真の魅力を演出しましょう。

『三角構図』は、上辺を『天』、底辺を『地』として、天の頂点と地の2点を結んだ三角形で撮影する構図です。三角構図のメリットは、奥行きがあるため、迫力ある写真を撮影できることです。

タワーや線路などを撮るのに適した三角構図ですが、底辺が写真に収まらない大きさだと、何を撮っているのかあいまいになるため、注意しましょう。

シンメトリー構図 対角構図

二分割構図とよく似ている『シンメトリー構図』は、上下左右に分けられた空間に、対称(シンメトリー)の物を配置するのが特徴です。

特に、鏡や幾何学的な模様は、シンメトリー構図を作りやすい被写体といえるでしょう。水面に映りこむ風景もシンメトリー構図でよく使われるため、身近なシンメトリーを探すのも、醍醐味の一つです。

水平に撮影するシーンが多い写真に、あえて対角を作るのが『対角構図』です。水平な建物などと合わせることで、対角線が写真に奥行きと動きを与えます。平凡なロケーションで撮影する人物写真で、よく見かける構図です。

放射線構図 S字構図

マンガの技法でよく見かける『集中線』と同じ理論で、構図の奥に『収束点』をつくり、奥行きと迫力を演出するのが『放射線構図』です。

ヒキ(広角寄り)で撮影する技法で、一つの収束点に向かって、道や線路、さらにはその上を走る車や電車を放射構図の中に取り入れると、人の目を引く写真になるでしょう。

『S字構図』は視線誘導テクニックの一つで、撮影時にS字を描いているものを取り入れる構図です。奥行きはもちろん、しなやかなラインで、柔らかさや妖艶さを表現するときに用いられます。

川の流れや、山道などを撮影するときは、ぜひ美しくS字にカーブしているラインを探してみましょう。

代表的なアングルの例

同じ景色を目の前にしても、レンズの焦点距離やカメラのアングルを変えるだけで、写真の仕上がりはまったく異なります。ワンパターンな写真が多くなる人は、『アングル』の調整も必要です。

アングルとは、被写体に対する『カメラの角度』を意味します。カメラの構図に加えて、アングルを意識することで、いつもの風景と違った雰囲気の写真が撮れるでしょう。

水平アングル

普段目にしている光景に近く、地面に対して水平に撮るのが『水平アングル』です。人間の目線そのままのため、落ち着いた印象の写真になります。

その反面、水平アングルばかりだと平坦な写真が多くなるため、飽きのこない被写体や、広角レンズなどのレンズ交換で、いろいろな演出を試してみましょう。

上を向けて撮るローアングル

カメラを低く構え、下から見上げるように撮影する角度が『ローアングル』です。『あおり』とも呼ばれ、特に地面すれすれから撮影すると、ダイナミックで迫力のある絵が撮影できます。

子どもの目線からの撮影や、建物の撮影でよく使われるテクニックです。カメラより高い位置で、自動車のテールライトなどを撮影すると、美しい光跡を撮れることでも知られています。

下に向けて撮るハイアングル

被写体を上から見下ろすような角度で撮影するのが『ハイアングル』です。全体が見渡せるため、瞬間を切り取ったような絵が残せます。

高いところから見下ろすことで、被写体が人物なら、クールな印象を与えられます。ビル群などを撮影すると、客観的で冷静な印象になる、温度感を消したい写真を撮る場合に適したアングルです。

カメラワークをもっと生かすには

構図やアングルに気をつけていても、仕上げりをみたら「イメージしていた写真と違う」ということは多々あります。

憧れの写真家や、写真展で見たような写真を撮るために、カメラワークをもっと生かす、プロが使っているテクニックを紹介していきます。

引き算を意識する

『写真は引き算』という言葉を聞いたことがあるでしょうか。カメラを構えていると、どうしても視野が狭くなるため、いらない情報までも、つい写真に入れてしまいがちになります。

しかし、魅力のある写真は『足し算』ではなく『引き算』が上手にできているという共通点があります。

ファインダーの中の不要な情報を削ぎ落とすことで、本当に伝えたいテーマや、被写体を際立たせるテクニック身につけましょう。

構図を組み合わせる

いろいろな構図を覚えたら、今度はその構図を組み合わせてみましょう。簡単にできるのは、二分割構図とシンメトリー構図の合わせ技です。上下左右にはっきり別れた空間に、シンメトリーの構図を配置することで、視線が誘導されます。

コンテスト上位の写真には、3種類以上の構図が組み合わされているものが多く存在します。プロの写真を見るときに、どの構図が使われているのか分析することで、同じテクニックを身につけられるでしょう。

ストーリー性を持たせる

映画にせよ本にせよ、人が惹きつけられるものは『ストーリー性』です。ただ漠然と被写体を写した写真ではなく、「これはこういう話なんだな」というドラマ性を想像させる写真は、昔から非常に好まれています。

たとえば、切り株のそばで子どもが大泣きする写真なら、「転んでケガをして泣いているのに、お母さんがこなくて、大泣きになったのかな」というストーリーを想像させられたら、秀逸といえるでしょう。

動画におけるカメラワーク

動画におけるカメラワークでは、「どのようにカメラを動かすか」という技術ですが、ただ漠然と動かせばよいというわけではありません。

動画を撮影するときに、覚えておきたい基本技術をまとめたので、撮影者がどのような意図を持って撮影しているのか伝わるような、テクニックを身につけましょう。

固定撮影

カメラを固定したまま、動かずに撮影する技法を『フィクス(固定撮影)』といいます。映画やドラマでもよく聞かれる、動画撮影の基本的なカメラワークです。

フィクスはブレを起こさせないために、三脚などで固定して撮影します。画面が安定するため、動画撮影はフィクスが多くみられます。

カメラを振る

カメラを左から右、あるいは右から左に振る方法が『パン』です。正確には、左から右が『パン』で、右から左を『逆パン』と呼びます。

広い風景など、広大さを表現したいときや、複数の被写体の位置関係を表現するシーンでよく見られます。登場人物の視点の横移動にも使われる技法です。

レンズを動かす

静止画でも使われる『ズーム』は、レンズを動かすことで焦点距離を変える技法です。広角状態から望遠にするのを『ズームイン』、望遠状態から広角にすることを『ズームアウト』と呼びます。

ズームインは、特定の被写体の詳細を見せたいときや、ズーム先に視点誘導して集中させるときに使います。ズームアウトは、視点の集中を解きたいシーンや、被写体の状況と関係性を全体的に見せたいときに有効です。

まとめ

プロのような写真を撮りたい場合、高額なレンズを購入しなくても、構図やアングルを変えることで、息を呑むような美しい写真が撮れるようになります。

同じ構図でも、アングルを変えるだけでまったく違う印象の写真に仕上がりますし、複数の構図を組み合わせるだけで、平坦な写真の印象はなくなるでしょう。理想通りの写真が撮れる構図やアングルを、ぜひ試してみませんか?

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