カメラのマウントとは?
『マウント』の役割は、カメラの購入前にしっかり確認しておきたい重要な部分です。何も考えずに購入してしまえば、思ったようにカメラを活用できなくなることも。カメラのマウントとはどんなものなのか見ていきましょう。
ボディとレンズの結合部分
カメラの構成要素は、大きく分けると本体となる『ボディ』と、光を取り入れる『レンズ』の二つです。このボディとレンズを連結するための部分を『マウント』といいます。
ボディ側とレンズ側の両方に、マウントを装着するための爪があり、差し込んで回転させるのが従来の装着方法でした。しかし、近年では多くの製品で電子接点を使用した連結を採用しています。
マウントの役割は連結だけにとどまらず、撮影の際に露出・絞り・オートフォーカスなどの情報伝達も行っているのです。
レンズとボディは同一メーカーに限定される
被写体や撮影場所の変更など、状況に応じてさまざまなレンズを使い分けたいこともあるでしょう。ここで覚えておきたいのが、『レンズはカメラマウントと同じ規格のものしか取り付けられない』ということです。
厳密にいうと、異なる規格のレンズを取り付ける『マウントアダプターを』使うという手もあります。しかし、基本的には同じメーカー同士でしか取り付けられないと考えておきましょう。
主なメーカーのマウントの種類
カメラマウントは、同じメーカー内でもいくつかの種類があります。マウントによってそれぞれ使える機能が異なるため、カメラはまずマウントを選び、それから機種を選ぶとよいでしょう。
Canonのマウント
『Canon』のマウントは完全電子制御を採用しています。駆動装置やモーターもレンズ側に内蔵され、操作音が気にならない仕様です。Canonのマウントには次の三つの種類があります。
- EFマウント(フルサイズ)
- EFマウント(APS-C)
- EF-Mマウント(フルサイズ・APS-C)
『EF-M』マウントはEF-Mレンズのほか、アダプターを使用すればEF-Sレンズも装着可能です。また、『EFマウント』にはEFレンズのみが装着できるものと、EFレンズとEF-Sレンズの両方を装着できるものがあります。
出典:特集:動画で振り返るキヤノンレンズマウントの変遷 - キヤノンカメラミュージアム
ニコンマウント
ニコンのカメラは初心者に扱いやすいものから、プロの要望に応える本格モデルまで幅広い機種が用意されています。ニコンのカメラで現在主流となっているカメラマウントは『Fマウント』です。
- Fマウント(フルサイズ・APS-C)
Fマウントは『Dシリーズ』に装着可能で、入門~プロまでの機種に対応できます。50年以上も前に開発されたため、対応レンズの数が多いことが特徴でしょう。
出典:【2020年最新版】ニコンのマウントレンズおすすめ10選【特徴も解説!】 | #GooPass MAGAZINE
ソニーマウント
Canon、ニコンと並んで人気を集めるのがソニーのカメラです。豊富なラインアップを誇りますが、中心となるのはミラーレス一眼の機種でしょう。ソニーのマウントは『Eマウント』と『Aマウント』の2種類です。
- Eマウント(ミラーレス・フルサイズ・APS-C)
- Aマウント(フルサイズ・APS-C)
一部を除いたほとんどの機種でEマウントが採用されています。Eマウント専用レンズの数はやや少なめですが、別売部品を使えばAマウント用のレンズが装着可能です。
カメラを選ぶときのポイント
機種だけでなく、マウントやレンズの種類がたくさんあることがわかりましたが、この膨大な数の中からどうやってカメラ選べばよいのでしょうか?
後悔しないカメラ選びをするために、絞り込みのポイントを確認しましょう。
レンズの種類が多いメーカー
どのメーカーも特徴があり、一概におすすめといえるメーカーは選べません。ただ、カメラにハマるとどんどん違う機能を持つレンズを試したくなるので、『レンズの種類』が多いメーカーを選ぶというのも一つの方法でしょう。
一眼レフレンズの多さでいえば、Canonとニコンは群を抜いています。Canonでは約60種類、ニコンでは約80種類から選択できます。一方、ミラーレスに対応するレンズの数が最も多いのは15種類のレンズを提供しているソニーです。
手軽によい写真が撮りたいならミラーレスの多いソニーに、凝ったレンズを使いたいからニコンに、といった具合に自分の使い方に合わせて選ぶとよいでしょう。
一眼とミラーレスの違い
カメラには『一眼レフ』と『ミラーレス』があります。この二つには大きく三つの違いがあります。
- 内蔵ミラーの有無
- ファインダーの仕組み
- バッテリーの持ち
『ミラーレス』とは、一眼レフカメラの中にあるミラー部分を取ったものです。この分だけミラーレスは一眼レフよりコンパクトかつ軽量化されています。
ミラーがないミラーレスはカメラの電源を入れなければファインダーに像を確認できませんが、光の反射を利用する一眼レフではいつでもファインダーで直接確認できます。
このため、ミラーレスと一眼レフでは電源を入れている時間が異なり、結果としてミラーレスはバッテリー消費が早くなるのです。
マウントとセンサーサイズ
カメラの購入時にもう一つ慎重に選びたいのが、マウントの『センサーサイズ』です。どんな写真を撮りたいかによって選ぶべきセンサーサイズは変わってきます。
まずは大きさによってどんな違いが出てくるのか知っておきましょう。
センサーサイズとは
写真を撮るとき、レンズを通してカメラに伝わった光の情報はセンサーによって受け止められます。このセンサーが大きければ大きいほど、より多くの情報をカメラに伝えることができ、実際の被写体に近い美しさを表現できるのです。
また、センサーサイズが大きいとボディそのものが大きくなります。フルサイズだとボディだけではなくレンズも大きくなります。しかし、ミラーレスなどでフルサイズ対応モデルの場合、小型で軽量なものもあります。
センサーサイズの種類
センサーサイズには下記のような種類があります。この中から自分が撮影したい状況を踏まえて選ぶことが重要です。
- 35mmフルサイズ:36mm×24mm
- APS-C:23.5mm×15.6mm
- APS-C:22.3mm×14.9mm
- マイクロフォーサーズ:17.3mm×13.0mm
- 1型:13.2mm×8.8mm
- 1/1.7型:7.6mm×5.7mm
- 1/2.3型:6.2mm×4.6mm
先に述べた『画質』のよさだけではなく、センサーサイズの違いにより撮影できる『範囲』にも違いが出てきます。レンズも関係してきますが、サイズの異なるカメラでファインダーを覗いてみると、見える像の範囲が違うはずです。
ただし、なんでも大きければよいわけではありません。景色など広い範囲を映したければ大きいサイズが有用ですが、遠くの被写体を望遠で撮りたいときには、フルサイズよりAPS-Cの方が適している場合もあります。
APS-C用レンズはフルサイズに使える?
本格的なフルサイズカメラは写真好きならば憧れるものですが、価格の面や軽さなどの使い勝手を考えると、カメラに初めて触れる人はAPS-Cモデルが適しているといえます。
ただ、注意しておきたいのが、『APS-C専用レンズは、フルサイズカメラでは使えない』ということです。APS-Cモデルを使って専用レンズばかりそろえてしまうと、後々フルサイズモデルに移行したときレンズが使用できなくなります。
もし、将来的にフルサイズへ移行しようと思っているなら、初めからフルサイズモデルを買った方が最終的に安上りです。
違うメーカーのレンズを使いたい場合
カメラを続けていると、レンズを買い足したり、譲ってもったりも。魅力的な機能を持ったレンズを自分のカメラで使いたいときには、『マウントアダプター』を使いましょう。
マウントアダプターを使う
マウントとレンズはメーカーが違うのはもちろん、同一メーカー内でも対応しないものがあります。そんなときは『マウントアダプター』の出番です。マウントアダプターを使うと、規格の違うレンズとボディと連結させられます。
現在では、あらゆる規格に対応するマウントアダプターが販売されています。おそらく、手持ちのレンズやボディで対応アダプターが見つからないということはほとんどないでしょう。
フランジバックも変換できる
レンズとセンサー、もしくはレンズとフィルムの距離を『フランジバック』といいます。ミラーレスではフランジバックは短く、一眼レフでは長くなっています。
フランジバックが異なるレンズとボディを連結させると、うまくピントが合わせられません。マウントアダプターを使うと、このフランジバックも変換できるのです。
マウントアダプターの選び方
アダプターを選ぶときは、使いたいレンズとカメラの各マウントの規格をチェックしておきましょう。マウントアダプターには『NIKー(Nikonのマウント)』『NEXー(SONYのマウント)』というように『商品名』が記載されています。
レンズ側とカメラ側のマウントのどちらの表記が先にくるかは、マウントアダプターによって異なるため、メーカーの説明をよく確認しましょう。
まとめ
カメラマウントはボディとレンズを連結させる役割を持っています。マウントの規格が違えばそのレンズを自分のカメラで使うことはできません。もし、他メーカーのレンズを使いたいならば、マウントアダプターを使用しましょう。
カメラを選ぶときには、一眼レフにするかミラーレスにするかを決め、レンズの豊富さやセンサーサイズも参考にします。将来的に自分がどんな写真を撮りたいかよく考えておくと失敗せずに済むでしょう。