写真の撮り方の基本
写真のテーマや方向性を決める大事な要素が構図とアングルです。被写体の見せ方には構図とアングルが大きな影響を与えます。写真の撮り方の基本ともいえる構図とアングルについて、それぞれ解説します。
構図
構図とは、写真全体における被写体の配置に効果を求める画面構成です。言葉としては『構図が素晴らしい写真』『見たことのない構図』のような使い方をします。
最も写したいものをどこに配置するか、背景をどう配置するかを考えることが、構図を考えるということです。1枚の写真の中で様々な要素が絡み合い、構図の良し悪しが決まります。
良い写真を撮るためには、良い構図が求められます。つまり、多くの人が支持する構図を覚えることが、良い写真を撮るための近道となります。
アングル
ここでのアングルとは、写真を撮る時の被写体に対する角度のことをいいます。良い写真を撮るためには、アングルも構図と併せて意識しておきたいポイントです。
同じ被写体でも、カメラをどこから向けるかによって印象が変わります。アングルは写真の仕上がりを決定する上で重要な要素となります。
スマホで自撮りを撮る場合に斜め上から撮影すると、目鼻がはっきりとしてきれいな写真が撮れます。これはアングルを効果的に利用した代表例といえるでしょう。
代表的な構図を知ろう
写真を撮る際によく使われる構図を知っておくと、良い写真を撮りやすくなります。ここでは代表的な三つの構図について解説します。
三分割法
『三分割法』は構図の王道といわれるほど有名で、最初に覚えるべき構図です。
画面を縦横それぞれ3分割すると、縦横2本ずつの線が引かれ、交差する点が四つできます。この4本のライン上や四つの交点上に被写体をうまく配置し、見た人に心地良さや安心感を与える、という考え方を基にした構図が三分割法です。
ラインや交点はあくまでもイメージであり、必ずしも被写体を正確に配置する必要はありません。多くのカメラに搭載されているグリッドライン機能を使うと、三分割法のラインがイメージとして画面上に表示されるので、撮影時に構図を考えやすくなります。
黄金比
人間の脳は本能的に黄金比を用いた物体やイメージを好むといわれています。古いものではピラミッドやモナリザ、最近ではTwitterやペプシのロゴマークなど、さまざまな物やデザインに黄金比が反映されています。
『1:1.6』が黄金率の基本となる比率です。写真の構図における黄金比では、例えば被写体が存在するスペースを1とすると、何もないスペースが1.6であれば美しいバランスだとされています。
『三分割法』も黄金率の発展した形だといえます。黄金率は構図に反映させることが難しい概念ですが、知っておいて損はない構図の考え方です。
日の丸構図
日の丸構図は、日本国旗のように被写体を画面の中央に配置する構図です。見る人の意識を被写体に集中させ、被写体に存在感を出す効果があります。
構図を知らない初心者が写真を撮る場合は、意図せず日の丸構図になることがほとんどでしょう。
一見素人のように思われる構図ですが、使い方によっては被写体の魅力を最も引き出せる構図と言えます。例えば、神社仏閣やお城などの建物は、日の丸構図で圧倒的なインパクトを与えられます。
ケース別に構図を理解しよう
被写体が人物と料理の場合における構図の考え方をそれぞれ紹介します。
人物の場合
人物写真の構図には四つの基本形があります。ポートレート撮影用の構図4パターンをそれぞれみていきましょう。
上半身のみを撮影する構図が『上半身ポートレート』です。写真全体における人物と背景の比率が1:1になるよう撮影します。三分割法を意識し、人物を真ん中からずらすと良い写真が撮れるでしょう。
胸から上を撮影する構図が『バストショット』です。被写体がフレーム全体を覆うように撮りましょう。人物写真にありがちな、無駄な背景が多い状態を避けられる構図です。
完全に顔をフォーカスした構図が『クローズアップ』です。顔全体でフレームが覆われ、表情の細部まで繊細に表現したい場合に効果的な構図です。焦点は目に合わせるように撮りましょう。
人物から距離をとって撮影する構図が『ワイドショット』です。人物だけでなく背景も大事な要素となるため、ロケーションの選択が写真の質を左右します。複数の人物撮影にも使える構図です。
料理の場合
写真で料理をおいしそうに見せる最大のポイントは光の使い方です。真後ろから入る『逆光』で撮影することで、料理に立体感や艶が出やすくなります。濃い影ができやすい直射日光は避け、カーテン越しのやわらかい光をあてるようにしましょう。
料理の撮影に向いている構図には、『三角構図』や『対角線構図』があります。
三角構図は画面に三角形をイメージし、各頂点に料理を配置する構図です。一番手前の料理にフォーカスし、他の料理をぼかして撮ることで奥行きがでます。
対角線構図は画面の対角線上に料理を配置する構図です。見る側の視線に流れが生まれる効果があります。また、三角構図と同様に手前の料理のみフォーカスすることで、写真に奥行きが生まれます。
いずれもプロが撮影する料理写真によくみられる構図です。
まとめ
構図を知ると写真を見ることが楽しくなり、多くの写真に触れることで構図への理解はさらに深まってゆくでしょう。
三分割法や人物写真の構図は誰でも簡単に使えるものなので、しっかりと理解して今後の撮影に活用しましょう。