SAPジャパンの年収を公式に確かめられる資料の範囲
SAPジャパン株式会社は、金融庁の開示システム EDINET(Electronic Disclosure for Investors' NETwork)のコードリスト(2026年10月28日現在)に法人番号 4010001071259 の登録が無く、有価証券報告書の「従業員の状況」から平均年収を確かめることはできません。親会社の SAP SE も EDINET の提出者には無く、年次報告書は米国証券取引委員会(SEC)へ Form 20-F として提出しています。
SAP SE の2025年度の Form 20-F によると、日本の売上高は15億6,900万ユーロで、前年の13億8,800万ユーロから13%増えました。SAPジャパンの年収の水準を出所つきで確かめる材料は、次の4つです。
資料 | 分かること | 日本の年収としての読み方 |
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SAP SE の年次報告書(Form 20-F) | グループの従業員1人あたりの平均年間報酬と人件費の内訳 | 全世界の平均で、社会保険料の会社負担分を含む |
厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」 | SAPジャパンの男女の賃金の差異・平均継続勤務年数 | 金額は載らず、比と年数で読む |
SAP 採用サイトの募集要項 | 基本給の幅と変動インセンティブの組み立て | 米国勤務の募集の金額で、日本の年収ではない |
賃金構造基本統計調査・Offers の正社員求人 | SAP の仕事に近い職種の年収の水準 | 会社1社ではなく職種の相場として読む |
出所: 金融庁「EDINETコードリスト」(2026年10月28日現在)、SAP SE「Form 20-F」(2026年2月26日提出)。
厚生労働省のデータベースに載るSAPジャパンの公表値
厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」に載る SAPジャパン(単体)の男女の賃金の差異は、全労働者・正規雇用労働者とも77.7%でした。男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合で、対象期間は2024年1月1日から12月31日です。
項目 | SAPジャパンの公表値 |
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男女の賃金の差異(全労働者) | 77.7% |
男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 77.7% |
男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 90.8% |
管理職に占める女性労働者の割合 | 20.2% |
平均継続勤務年数(正社員・男性) | 10.6年 |
平均継続勤務年数(正社員・女性) | 10.9年 |
出所: 厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」SAPジャパン株式会社(データの最終更新日 2025年3月28日・データ集計時点 2025年1月)。
金額は載っていないため、年収の水準ではなく、同じ会社の中で男女の賃金がどれだけ近いかを見る数字として読みます。
正社員の平均継続勤務年数は、2024年の実績で男性10.6年、女性10.9年です。データベースの企業規模の欄は「301人以上」で、所在地は東京都千代田区大手町と載っています。
SAP SE が開示する従業員1人あたりの平均年間報酬
SAP SE が2026年2月26日に SEC へ提出した2025年度の Form 20-F によると、SAP グループの従業員1人あたりの平均年間報酬は2025年に14.6万ユーロでした。欧州中央銀行(ECB)が公表する2025年の年平均レート(1ユーロ=169.04円)で円にすると、約2,468万円です。
前年の2024年は18.4万ユーロで、2025年は21%下がりました。SAP は、2024年の平均が構造改革の費用31億ユーロの影響を受けたと注記しており、この影響を除くと2024年から2025年の下がり幅は6%です。
年度 | 従業員1人あたりの平均年間報酬 | 前年比 |
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2025年 | 14.6万ユーロ | −21% |
2024年 | 18.4万ユーロ | +18% |
出所: SAP SE「Form 20-F」(2025年度・2026年2月26日提出)、ECB「Euro foreign exchange reference rates」をもとに Offers Magazine 編集部が円換算。
平均年間報酬に含まれるものと日本の年収との違い
SAP SE の平均年間報酬は、給与・付加給付・社会保険料の会社負担分・その年度に帰属する短期と長期の変動報酬を足し、その年の平均の FTE(フルタイム換算の従業員数)で割った値です。社会保険料の会社負担分を含むため、社員に支払われる給与だけの金額ではありません。
国を分けない平均なので、各国の給与水準の違いもそのまま混ざります。2025年12月31日時点の FTE は110,650人で、地域別では欧州・中東・アフリカが50,837人、南北アメリカが27,760人、日本を含むアジア太平洋が32,053人です。
人件費の内訳を見ると、2025年の人件費の総額は164億7,800万ユーロで、そのうち給与が120億6,600万ユーロ、株式報酬が16億9,500万ユーロでした。
人件費の内訳(百万ユーロ) | 2025年 | 2024年 |
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給与 | 12,066 | 12,244 |
社会保障費 | 1,981 | 2,003 |
株式報酬 | 1,695 | 2,385 |
年金 | 495 | 435 |
構造改革に伴う人件費 | 3 | 3,143 |
構造改革以外の退職給付 | 238 | 68 |
合計 | 16,478 | 20,278 |
出所: SAP SE「Form 20-F」(2025年度)Note (B.2) Employee Benefits Expenses。
SAP は、2025年に給与が減った主な理由を賞与の費用が下がったためと説明しています。平均年間報酬は、SAP の報酬が株式報酬と変動報酬を含めた総額でどの水準にあるかをつかむ参考にとどめ、日本で働く場合の金額は求人の提示年収と公的統計で確かめます。
SAPの報酬の仕組み(基本給・変動インセンティブ・株式)
SAP の報酬は、基本給に、会社と個人の業績で支給額が決まる変動インセンティブと、社員向けの株式の制度が加わる組み立てです。2026年10月28日に確かめた米国勤務の募集要項「Technology Senior Consultant」は、基本給の幅を127,525〜196,010ドル、基本給と変動インセンティブの目標額を合わせた幅を135,600〜230,600ドルとしています。
IRS(米国内国歳入庁)の2025年の年平均レート(1ドル=149.632円)で換算すると、基本給の幅は約1,908万〜2,933万円です。募集要項には、変動インセンティブには目標額があり、実際の支給額は会社と個人の業績で決まると書かれています。
項目 | 募集要項の記載 |
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勤務地 | 米国ペンシルベニア州 Newtown Square |
基本給の幅 | 127,525〜196,010ドル |
基本給と変動インセンティブの目標額を合わせた幅 | 135,600〜230,600ドル |
最低条件(抜粋) | 関連分野の学士号と学士取得後6年以上の経験、または修士号と4年以上の経験。S/4HANA の導入、クラウドへの移行、BASIS の管理などの経験 |
出所: SAP Careers「Technology Senior Consultant (multiple positions available)」(2026年10月28日取得)、円換算は IRS「Yearly average currency exchange rates」をもとに Offers Magazine 編集部が算出。
米国勤務の金額なので、日本の年収に読み替えず、報酬の組み立てを知る材料にとどめるのが妥当です。基本給と変動インセンティブを分けて書く形は、オファーを受けたときに内訳を確かめる観点としてそのまま使えます。
社員向けの株式の制度(Own SAP・Move SAP)
SAP SE の Form 20-F には、社員向けの株式の制度として、社員が SAP 株を買う Own SAP と、株式ユニットを付与する Move SAP が載っています。Move SAP には主に株式で決済する型と現金で決済する型があり、2020〜2023年には Move とおおむね同じ条件で現金で決済する期間限定の Grow SAP も付与されました。
Own SAP は、月の基本給の一定割合までの金額で毎月 SAP 株を買える制度で、SAP が社員の投資額の40%を上乗せし、経営幹部以外の社員には月20ユーロの補助を足します。
Move SAP は、経営幹部と一部の社員に付与する株式の制度です。RSU(Restricted Stock Unit・譲渡制限付き株式ユニット)は6か月の待機期間ののち3年間で四半期ごとに受け取りが確定します。PSU(Performance Share Unit・業績連動の株式ユニット)は12か月の待機期間ののち3年間で確定し、確定する数が業績に応じて付与数の0〜200%の範囲で変わる仕組みです。
Move SAP の付与は経営幹部と一部の社員に限られるため、オファーを受けたら、基本給・変動インセンティブの目標額・株式の付与の有無を分けて確かめます。RSU の受け取り方と税金は「RSUとは|転職で確かめる仕組みと税金」に、面談で確かめる項目は「オファー面談で聞くこと|転職で労働条件を確かめる7項目」にまとめました。
SAP・ERPの経験・知識を挙げた正社員求人の提示年収
Offers に掲載された正社員求人のうち、応募条件(必須・歓迎)に SAP・ERP(統合基幹業務システム)・基幹システムの経験か知識を挙げた41件は、提示年収の下限の中央値が500万円、上限の中央値が1,000万円です。年収の下限と上限を記載した正社員求人全体の530万円・900万円と比べると、下限は30万円低く、上限は100万円高い水準でした。
求人の条件 | 件数 | 下限の中央値 | 上限の中央値 | 上限1,000万円以上 | 下限800万円以上 |
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応募条件に SAP・ERP・基幹システムの経験か知識を挙げた | 41件 | 500万円 | 1,000万円 | 51.2% | 17.1% |
正社員求人全体 | 2,463件 | 530万円 | 900万円 | 45.7% | 11.3% |
出所:(Offers(株式会社overflow)調べ・応募条件に SAP・ERP・基幹システムの経験か知識を挙げた正社員求人 n=41・2023年12月〜2026年8月公開)
出所:(Offers(株式会社overflow)調べ・他社の求人をまとめて載せる2アカウントを除いた、年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=2,463・2022年3月〜2026年10月公開)
41件は24社の求人です。18件は SuccessFactors・ABAP(Advanced Business Application Programming・SAP の開発言語)・BusinessObjects・FI/CO(FI=財務会計・CO=管理会計のモジュール)などの SAP の製品やモジュールの名前を、12件は ERP を、11件は販売管理・生産管理などの基幹システムを挙げています。
提示年収の上限が2,000万円の求人は、SAP ERP の導入で要件定義から本稼働までの一連の工程を経験していることを必須とし、SAP の導入プロジェクトでのチームリード以上の経験と、大規模な SAP のプロジェクトの経験を歓迎条件に挙げた求人でした。SAP や ERP の導入・開発で積んだ経験を活かせる正社員求人は、Offers Jobs で年収を見比べられます。求人一覧のカードに年収・雇用形態・勤務地が出て、会員登録なしで検索できます。
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SAPコンサルタント・SAPエンジニアに近い公的統計の年収
SAP の導入や開発に携わる職種に近い公的統計の区分は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」のシステムコンサルタント・設計者、ソフトウェア作成者、その他の情報処理・通信技術者の3つです。企業規模計の年収換算は、システムコンサルタント・設計者が889.0万円、ソフトウェア作成者が578.5万円、その他の情報処理・通信技術者が609.8万円となります。
職種(統計の区分) | 企業規模計 | 1,000人以上 | 100〜999人 |
|---|
システムコンサルタント・設計者 | 889.0万円 | 1,010.4万円 | 854.3万円 |
ソフトウェア作成者 | 578.5万円 | 640.9万円 | 555.0万円 |
その他の情報処理・通信技術者 | 609.8万円 | 639.4万円 | 621.4万円 |
出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第1表」(2026年3月公表・男女計)を Offers Magazine 編集部が年収換算。
年収換算は、きまって支給する現金給与額の12か月分に年間賞与その他特別給与額を足した値です。統計は企業規模10人以上の企業で働く、短時間労働者を除いた一般労働者の平均で、SAPジャパン1社の数字と同じ物差しではありません。
SAPの仕事と3つの区分の対応
SAP に関わる仕事には、導入の要件定義と設計を担うコンサルタント、ABAP などで追加の機能や帳票を作る開発者、SAP の基盤(BASIS)を管理し運用保守を担う技術者などがあります。厚生労働省「職種一覧と解説」が挙げる含まれる職種の例から、それぞれの仕事と重なる区分を選んでいます。
統計の区分 | 含まれる職種の例 | 重なる SAP の仕事 |
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システムコンサルタント・設計者 | システムコンサルタント、システムアナリスト、情報処理プロジェクトマネージャ | 導入の要件定義・設計・プロジェクトの推進 |
ソフトウェア作成者 | テクニカルスペシャリスト、プログラマー、社内システムエンジニアなど | ABAP での追加開発・帳票の開発 |
その他の情報処理・通信技術者 | IT サービスマネージャ、システム保守技術者、サーバー管理者など | BASIS の管理・運用保守 |
出所: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査 職種一覧と解説」。
年齢別の年収換算
30〜49歳の範囲では、3つの区分とも年齢が上がるほど年収換算が上がり、40〜44歳のシステムコンサルタント・設計者は1,189.0万円です。
年齢 | システムコンサルタント・設計者 | ソフトウェア作成者 | その他の情報処理・通信技術者 |
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30〜34歳 | 866.1万円 | 559.5万円 | 548.9万円 |
35〜39歳 | 968.1万円 | 636.0万円 | 604.1万円 |
40〜44歳 | 1,189.0万円 | 686.3万円 | 680.5万円 |
45〜49歳 | 1,226.3万円 | 729.2万円 | 702.2万円 |
出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表」(2026年3月公表・企業規模計・男女計)を Offers Magazine 編集部が年収換算。
同じ SAP の経験でも、要件定義とプロジェクトの推進を担う立場はシステムコンサルタント・設計者の区分に近く、年収換算も高い区分に入ります。プロジェクトを横から支える PMO(Project Management Office)の年収の相場は「PMOの年収|統計と求人で見る相場と上げ方」で扱っています。
SAPの経験を年収につなげる転職の進め方
SAP の経験で年収を上げるには、担当したモジュール・工程・役割を職務経歴書で具体的に示し、オファーでは基本給と変動報酬を分けて比べるのが近道です。求人と募集要項の条件から、職務経歴書に書く要素は次の3つに分けられます。
書く要素 | 求人・募集要項に出てくる書き方の例 |
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担当した工程 | SAP ERP の導入で要件定義から本稼働までの一連の工程 |
モジュール・領域 | 会計の FI/CO、人事の SuccessFactors、帳票の BusinessObjects |
役割と規模 | 導入プロジェクトでのチームリード以上、大規模な SAP のプロジェクト |
工程は「どこからどこまでを担ったか」、モジュールは製品名とバージョン(S/4HANA への移行かどうか)、役割は人数と期間まで書くと、求人の条件と照らし合わせやすくなります。米国の募集要項が S/4HANA の導入とクラウドへの移行の経験を挙げているように、移行の案件を担った経験は書き落とさないのが要点です。
SAP の外へ経験を広げる道もあります。ERP と同じく業務の基幹を支えるデータベースやパッケージの仕事は「Oracleエンジニアの転職事情とスキル・求人の探し方」と「Salesforceの求人|年収帯と求められる経験」にまとめました。
コンサルティング会社へ移る場合の報酬の読み方は「アクセンチュアの年収|報酬の仕組みと統計で読む」が参考になります。オファーの金額を確かめたあとの交渉の進め方は「エンジニアの転職の給与交渉|タイミングと進め方」にまとめました。
SAP・ERP の経験を年収の条件と照らし合わせるときは、Offers Jobs で正社員求人の提示年収と応募条件を並べて確かめられます。
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