PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の年収は、どの数字を見るかで印象が大きく変わります。公的統計には PMO という名前の職種が無く、求人の提示年収も、PMO だけを募集する求人か、PM(プロジェクトマネージャー)と併せて募集する求人かで幅が違うためです。
この記事では、厚生労働省の最新の賃金構造基本統計調査から PMO に近い職種区分を読み、企業規模や年齢でどう変わるかを確かめました。あわせて、Offers に掲載された正社員求人のうち題名に PMO を掲げる求人の提示年収と、必須要件の欄に書かれた経験を1件ずつ読んでいます。自分の年収がどこにあり、転職で何を示せば上の水準に届くかを考える材料にしてください。
PMOに近い統計区分の年収換算は約889.0万円
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で PMO に最も近い職種区分は「システムコンサルタント・設計者」で、編集部が年収換算すると約889.0万円です(企業規模10人以上・男女計・平均年齢38.3歳)。統計の職種一覧は、情報処理プロジェクトマネージャをこの区分の例に挙げています。PMO を名指しした区分は無いため、PMO の年収を公的統計で読むときはこの区分が目安になります。
項目 | システムコンサルタント・設計者 |
|---|---|
平均年齢 | 38.3歳 |
毎月の給与 | 54.21万円 |
年間賞与など | 238.52万円 |
年収換算 | 889.0万円 |
出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第1表」(企業規模計・男女計)を Offers Magazine 編集部が年収換算。
年収換算は、毎月の給与(きまって支給する現金給与額)の12か月分に年間賞与などを足した概算です。区分には PMO だけでなく、システムの全体構成を企画する人や、プロジェクトの責任者として計画を立てる人も含まれます。進捗や課題の管理を支える立場の PMO より、上流の設計や責任者の仕事を多く含む区分の平均だと考えて読むのが実情に近い読み方です。
統計でPMOに最も近い職種区分
厚生労働省「賃金構造基本統計調査 職種一覧と解説」は、「システムコンサルタント・設計者」の含まれる職種の例として、システムコンサルタント、システムアナリスト、情報処理プロジェクトマネージャを挙げています。仕事の内容には、システム開発プロジェクトの責任者としてプロジェクト計画を作成し、プロジェクト全体を管理する仕事が含まれます。
PMO の仕事は、プロジェクトマネージャーの意思決定を支える進捗・課題・リスクの管理、会議体や標準ルールの整備、ベンダーの管理などです。統計の区分の言葉に照らすと、プロジェクト全体の管理に関わる点で近く、責任者そのものではない点で違います。PMO の役割の全体像は「PMOの役割と必要なスキル」で整理しています。
企業規模で見るPMOに近い区分の年収換算
システムコンサルタント・設計者の年収換算は、1,000人以上の企業で約1,010.4万円、10〜99人の企業で約585.1万円で、差は425.3万円です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」を編集部が換算)。年間賞与などは1,000人以上で303.40万円、10〜99人で123.98万円と、2倍を超える開きがあります。
企業規模 | 毎月の給与 | 年間賞与など | 年収換算 |
|---|---|---|---|
企業規模計(10人以上) | 54.21万円 | 238.52万円 | 889.0万円 |
1,000人以上 | 58.92万円 | 303.40万円 | 1,010.4万円 |
100〜999人 | 56.05万円 | 181.71万円 | 854.3万円 |
10〜99人 | 38.43万円 | 123.98万円 | 585.1万円 |
出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第1表」(男女計)を Offers Magazine 編集部が年収換算。
Offers の PMO 求人にも、銀行や証券会社のシステム、基幹システムの導入、大手 SIer のプロジェクトといった規模の大きい案件の募集が並んでいました。規模の大きい組織の PMO と、小さな組織でプロジェクト推進を兼ねる PMO とでは、同じ呼び方でも年収の水準が違いうる点を押さえておくと、相場の数字を自分に当てはめやすくなります。
年齢で見るPMOに近い区分の年収換算
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表」(企業規模計・男女計)を編集部が年収換算すると、システムコンサルタント・設計者は25〜29歳で約641.6万円、30〜34歳で約866.1万円、40〜44歳で約1,189.0万円でした。年収換算が最も高いのは45〜49歳の約1,226.3万円です。
年齢 | 毎月の給与 | 年間賞与など | 年収換算 |
|---|---|---|---|
25〜29歳 | 43.25万円 | 122.60万円 | 641.6万円 |
30〜34歳 | 54.39万円 | 213.41万円 | 866.1万円 |
35〜39歳 | 57.48万円 | 278.38万円 | 968.1万円 |
40〜44歳 | 65.84万円 | 398.96万円 | 1,189.0万円 |
45〜49歳 | 70.27万円 | 383.04万円 | 1,226.3万円 |
50〜54歳 | 64.11万円 | 334.40万円 | 1,103.7万円 |
出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表」(企業規模計・男女計)を Offers Magazine 編集部が年収換算。
30代前半で800万円台、40代で1,000万円を超える水準は、プロジェクトの責任者や上流の設計を担う人を含む区分の平均です。PMO として同じ水準を狙うなら、管理を支える範囲から、計画や判断に責任を持つ範囲へ仕事を広げていけるかが分かれ目になると編集部は考えます。
PMOを掲げる正社員求人の年収上限は中央値1,057.5万円
Offers に掲載された正社員求人(公開中と募集を終えた求人の累計・下書きを除く)のうち、題名に PMO を掲げる求人35件の提示年収は、下限の中央値が500万円、上限の中央値が1,057.5万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・年収記載 n=34・2026年10月7日集計)。上限が800万円以上の求人は34件中27件、1,000万円以上の求人は20件です。
指標 | PMO を掲げる求人 | プロジェクトマネージャー系の求人 | 正社員求人全体 |
|---|---|---|---|
年収を記載した求人 | 34件 | 178件 | 3,274件 |
下限の中央値 | 500万円 | 600万円 | 540万円 |
上限の中央値 | 1,057.5万円 | 1,000万円 | 970万円 |
出所: Offers(株式会社overflow)調べ・正社員求人のうち年収の下限と上限を記載した求人・2026年10月7日集計。
プロジェクトマネージャー系は、題名にプロジェクトマネージャー・PMO・プロジェクトリーダー・プロジェクト推進などを掲げる求人で、PMO を掲げる求人の大半も含みます。PMO を掲げる求人は、下限の中央値がプロジェクトマネージャー系の求人より低く、上限の中央値は同じ水準以上でした。ただし、この上限の中央値は、次の節で見る人材紹介会社などのアカウントの掲載に引き上げられています。PMO を掲げる求人は35件と少ないため、傾向をつかむための目安として見てください。
PMと併記する求人と掲載元で分かれる年収帯
題名に PMO だけを掲げる求人と、PM と PMO を併記する求人とでは、提示年収の上限に開きがありました。PMO だけの求人は下限の中央値500万円・上限の中央値950万円、PM と併記する求人は下限575万円・上限1,290万円です(Offers(株式会社overflow)調べ・PMO のみ 年収記載 n=18・PM と併記 n=16・2026年10月7日集計)。
区分 | 年収を記載した求人 | 下限の中央値 | 上限の中央値 |
|---|---|---|---|
題名に PMO だけを掲げる求人 | 18件 | 500万円 | 950万円 |
題名に PM と PMO を併記する求人 | 16件 | 575万円 | 1,290万円 |
出所: Offers(株式会社overflow)調べ・題名に PMO を掲げる正社員求人のうち年収の下限と上限を記載した求人・2026年10月7日集計。
PM と併記する求人の多くは、PMO と PM のどちらの役割でも募集している書き方で、上限の幅が広く取られていました。もう1つ読み取りの前提になるのが掲載元です。PMO を掲げる35件のうち17件は、人材紹介会社などが複数企業の求人をまとめて載せるアカウントの掲載で、上場 IT ソリューション企業や大手 SIer、証券会社の PMO 求人が中心でした。17件を除いた18件の提示年収は、下限の中央値490万円・上限の中央値850万円です(Offers(株式会社overflow)調べ・n=18・2026年10月7日集計)。
自分の経験で届く上限の求人を確かめるには、PMO と PM の求人を並べて、下限と上限を見比べるのが早道です。Offers Jobs では、正社員の求人を職種や技術から探せます。求人一覧はログインなしで見られ、必須条件など求人の詳細は会員登録後に確かめられます。
PMO求人の必須要件に並ぶ経験
題名に PMO を掲げる35件の必須要件の欄を編集部が1件ずつ読むと、PMO の経験そのものを、PM の経験では代えられない形で求めた求人は4件でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=35・2026年10月7日集計)。PM か PMO の経験を必須要件の欄に挙げた求人にも、開発の経験や情報システム部門での調整の経験など、別の経験でも応募できる書き方のものがありました。
PM・PMO の経験を挙げない求人の多くは、システム開発やインフラ構築・設計の経験、ERP(統合基幹業務システム)パッケージの導入経験、リーダーやマネジメントの経験、進行管理の経験などを挙げています。マネジメント経験が無くても、ベンダーコントロールの経験があれば PMO のポジションに応募できるとする求人もありました。PMO の求人は、PMO という肩書きの経験よりも、プロジェクトの現場で何を管理し、誰と調整してきたかを見ている求人が多いと言えます。
必須要件に書かれた経験の例
必須要件の欄に繰り返し出てきたのは、次のような経験です(Offers(株式会社overflow)調べ・PMO を掲げる求人 n=35 の必須要件の欄から編集部が抜き出し)。
- 要件定義から結合テスト・総合テストまで、システム開発の工程を通して担った経験
- プロジェクトリーダーやチームリーダーとして数人以上のメンバーを率いた経験
- ベンダーの管理、社内外の関係者との折衝・調整の経験
- 進捗・課題・リスク・予算などの管理や会議運営の経験
- 業界や製品の知識(銀行・証券のシステム、ERP パッケージ、インフラ基盤など)
PMO の経験を外せない形で求めた4件のうち2件は、管理の対象としてステークホルダー、進捗、課題・リスク、予算、システム品質、参画ベンダー、会議運営などを具体的に並べていました。職務経歴書では「PMO を担当」と書くだけでなく、管理した対象、プロジェクトの規模、関わったベンダーの数を書くと、求人の必須要件と照らし合わせてもらいやすくなります。
PMOが年収800万円以上の求人を狙う進め方
PMO が転職で年収800万円以上の求人を狙うには、開発や設計の経験を管理の経験と組み合わせて示す、PM と併記する求人まで探す範囲を広げる、求人の年収の下限と上限を読み分ける、の3つが現実的です。Offers の正社員求人では、PM と PMO を併記する求人の方が、提示年収の上限の中央値が高い傾向でした。
開発や設計の経験を管理の経験と組み合わせて示す
PMO を掲げる求人のうち、必須要件の欄に PM・PMO の経験を挙げない求人の多くは、開発・インフラ・設計の経験やリーダーの経験などを挙げていました。PMO の仕事を続けてきた人ほど、管理の経験だけを書きがちです。どの工程の成果物を読み、どんな基準で品質や進捗を判断したのかまで書くと、開発の分かる PMO として評価されやすくなります。
PMと併記する求人まで探す範囲を広げる
PM と PMO を併記する求人は、上限の中央値が1,290万円と、PMO だけの求人の950万円を上回りました(Offers(株式会社overflow)調べ・PM と併記 n=16・PMO のみ n=18・2026年10月7日集計)。PMO の仕事の中で、計画の作成やスコープの判断に関わった経験があれば、PM の求人にも応募の余地があります。PM の年収水準は「プロジェクトマネージャーの年収」、PM の求人が挙げる条件と転職の進め方は「プロジェクトマネージャーの転職」で詳しく扱っています。
求人の年収の下限と上限を読み分ける
求人の提示年収の幅は、経験や担当範囲によって提示額が変わることを示すもので、上限の額で採用が決まるとは限りません。PMO を掲げる求人では、下限の中央値500万円に対して上限の中央値が1,057.5万円と、幅の広い求人が中心でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=34・2026年10月7日集計)。自分の経験が下限と上限のどこに当たりそうかは、面談で担当する範囲を確かめながら見極めると、提示年収との食い違いが減ります。年収の幅の読み方は「モデル年収の読み方」でも整理しています。
PMOの年収を相場と比べるときの注意点
PMO の年収を相場と比べるときは、統計の数字は PMO より広い職種区分の平均であること、求人の数字は企業が提示した年収の幅であって実際の支払額ではないこと、の2つが前提です。統計の年収換算は毎月の給与と年間賞与などからの概算で、残業代などを含む額です。
Offers の求人の数字は、Offers に掲載された正社員求人を、題名に PMO を含むかどうかで判定して数えました。題名に PMO と書かずに「プロジェクト推進」「プロジェクト管理」などで募集する求人は、PMO を掲げる求人の集計に含まれていません。自分の年収を確かめるときは、統計で全体の水準をつかみ、求人で担当範囲ごとの幅を見る、という順で2つの数字を使い分けると、相場を見誤りにくくなります。

