副業を解禁したのはどんな企業?ベンチャー・大企業に分けてご紹介

副業はかつて企業にとって全面禁止となっており、副業に没頭するあまり本業がおろそかになるから、というのが主な理由でした。しかし国が「働き方改革実行計画」の中に副業推進をガイドラインとすることが後押しとなり、企業も解禁する流れになっています。これからすでに副業を解禁した大企業やベンチャー企業を紹介します。

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副業解禁の流れ

かつて企業は、ダブルワークとなって社員が健康を損ねることや、本業がおろそかになるなど、副業をマイナスイメージにとらえていました。しかし政府は2017年3月、「働き方改革実行計画」で副業を起業による新たな技術開発や第二の人生の準備といった前向きにとらえるガイドラインを発表しました。

これにより企業も副業を解禁することが、優秀な人材確保や、社員のスキルアップに効果があることに考え始めました。社員としても副業により個人のスキルアップや、新たな人脈の形成などメリットが大きいことや、副収入が得られることへの関心が高まることで、解禁への流れを加速させています。

副業解禁を宣言した企業の割合

現在のところ、副業解禁を宣言した企業はまだ少数と言えます。2016年リクルートキャリアが調査した企業の意識調査によれば、推進派が0.3%、容認派が22.6%、禁止は77.2%という結果が出ています。しかし少数とはいえ副業を容認する企業の中には大企業も多く、その影響が大きいことから、解禁の流れは止めることはできないでしょう。

副業を解禁した大手企業(公式HPやブログなどでオープンに認めている企業)

現在では、丸紅、日産自動車、アサヒGH,を始めエンファクトリー、サイボウズ、リクルートなどの大企業が副業解禁を打ち出しているので、流れはこれからますます大きなものとなっていくでしょう。では具体的に業種別に副業解禁企業の詳細を見ていきましょう。

IT企業編

副業解禁の代表的なIT企業としてサイボウズがあげられます。サイボウズは2012年から社員の副業を認めていますが、2017年からは「副業採用」という制度を始めました。サイボウズ代表取締役社長青野氏は、この二つの制度により社員の定着率が上がることで、採用コストや教育コストの膨大な削減につながると述べています。他にもソフトバンクやヤフー、サイバーエージェントといった大手企業が副業を容認しており、IT業界は副業解禁の先端に立っていると言えるでしょう。

金融編

金融企業としては、新生銀行やインターネット証券会社のカブドットコム証券が副業解禁をしています。新生銀行は2018年4月から副業を解禁しましたが、正社員、嘱託社員約2700名全員を対象に異業種の仕事に就くことを認めたと言われています。

また、2018年7月からカブドットコム証券も多様な働き方を認めることで、優秀な人材確保を目的に解禁したということです。情報漏洩が懸念されることから、金融機関の多くは副業に慎重な中、これらの企業による解禁は画期的と言えるでしょう。

流通編

大手商社丸紅は2018年4月より全従業員を対象に勤務時間の15%を「社内副業」に振り向け、新事業考案を行うことを推進し始めました。丸紅の意向としては、商社は大きな転換点を迎えております。商社でも、変わらなければ生き残れないという強い危機感から社内限定とはいえ、副業解禁に踏み切ったといいます。大手商社企業としては初めての試みで、その結果に注目が集まっています。

人材編

日本トップクラスの働き方改革企業、リクルートグループは以前から副業解禁をしています。リクルートグループでは社員に副業をさせることで、優秀な社員をつなぎ留め、さらに社員の成長にもつながることから、それがひいては企業のメリットになることを主眼に推進されています。

メーカー編

メーカーと一口に言っても、解禁の理由は様々です。電機メーカー大手のコニカミノルタは、2017年12月に副業を解禁しましたが、その目的は「個の多様性」を活かし、イノベーターションの創出につなげたいという意向によるものです。

自動車メーカーの日産自動車は2009年3月自動車業界で初めて副業を解禁しました。日産自動車は当時採算が悪化し、企業の再生が勧められていました。そのため社員には賃金カットが実施されていて、その補てんのために副業が解禁されたのでした。

またビールメーカー大手のアサヒホールディングスは2018年4月より副業が解禁しましたが、同社も他の企業と違った条件での解禁でした。アサヒホールディングスは満60歳定年後に再雇用されたシニアスタッフを対象に、副業が解禁したのでした。

副業を進めているベンチャー企業

ベンチャー企業は起業立ち上げの時から副業を解禁している企業が大多数ですが、さらに進化して、副業を推奨している企業も多数あります。人材不足が切迫しており、働き方の改革にも柔軟な傾向があります。最先端を行く企業の中には、「専業禁止」を標榜している企業も出現しています。ではベンチャー企業について企業ごとにその取組みの詳細を紹介します。

ベンチャー企業編

エンファクトリーはリクルートから分社した企業として有名ですが、副業を解禁ではなく、「専業禁止」としています。エンファクトリーは人材理念の項で「専業禁止」について説明しています。それによると、家族を持ち、子供を養育する40代、50代になっても社員が稼げる仕組み作りを企業が支援する、というものです。そのために社員は入社時点から「専業禁止」、すなわち副業・兼業を推奨しているというのです。

障がい者の就労支援や教育事業を行うLITALICOは2017年3月に東証一部上場を果たしたベンチャー企業ですが、採用情報に「副業制度」を掲載しています。この制度を活用して、学校の講師、キャリアカウンセラー、開発エンジニアなどとして活動したり、逆に副業として同社に関わっている人がいたりと、社員は社会や企業と様々なかかわり方をし、働き方を実践している企業です。その他、ビースタイル、Goodpatch、キャスターなど多くのベンチャー企業が社の方針として副業を解禁・推奨しています。

副業で多い職種

企業としても単発で雇用しやすい事もあり、デザイナーやエンジニアの副業案件はとても多くあります、

エンジニア

ビジネスサイドと異なり、雇う側が仕事を切り分けやすく、スキルで評価しやすいため、エンジニアは副業のような小さな単位での募集が豊富にあります。クラウドソーシングサイトやエージェントサービスに登録すれば、たくさんの案件があるでしょう。プログラムを納品するものから、自分で手を動かさない技術コンサルのような案件もあります。

デザイナー

特にウェブデザイナーの募集はクラウドソーシングサイトや仕事を紹介するサービスでとても多いです。案件は企業のロゴ作成から、LPの作成、サイトの全体的なデザインまで多岐にわたります。エンジニアと同じく、デザイナーは不足しているので今後も案件の募集は活発に行われるでしょう。

まとめ

最近ではベンチャーだけでなく、大手でも副業を解禁している企業が増えてきました。このまま、本業先となっている企業で副業を解禁するところは、今後もどんどん増えていくでしょう。そのため、今後の副業市場は本業先ではなく副業先の数が問題になりそうです。短時間労働としての副業者を受け入れる企業がどこまで増えるかで今後の副業市場の盛り上がりが決まりそうです。

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