副業の禁止が違法になった判例とは。就業規則について考える

収入やスキルアップなど、副業を始める動機は人によって様々ですが、本業での就業規則が気になってなかなか始められない方も少なくないです。会社の就業規則における副業禁止事項と憲法や法律の関係、そして判例を参考にしながら、実際に副業を始める場合のリスクの程度や内容について把握しておきましょう。

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副業を禁止する法律があるわけではない

実は公務員を除き副業を禁止している法律は存在しません。憲法では職業選択の自由が保障されていて、それを受け労働法でも副業の禁止は明文化されて以内からです。副業の事実により懲戒解雇となった元社員と会社側で争われたこれまでの裁判の判例には、解雇が適当とされた判例だけではなく、不当と判断されたものが多くあります。

なお公務員においては、国家公務員法および地方公務員法で副業が禁止されているほか、特別職公務員においても広く各種法律によって禁止されています。

副業を禁止する企業がほとんど

憲法や法律で副業の禁止は明文化されていないとはいえ、多くの企業は未だ副業を禁止しているのが実情です。近年では副業解禁の流れも高まっていますが、まだまだ多くの企業で副業は敬遠されています。これは長らく厚生労働省が公表していた「モデル就業規則」の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定の影響もあるのです。

※現在では同省は新たに「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表し、「モデル就業規則」から副業禁止規定は削除されています。

副業を禁止しているのは就業規則

憲法や労働法などに副業を禁止する事項は書かれていませんが、就業規則に副業禁止事項があれば基本的にはそれは有効といえます。ただし、副業を禁止する理由が妥当と判断されない限り、その副業禁止事項は司法の場では不当とされることが明らかになっています。

副業はなぜ禁止される?副業が禁止される3つのポイント

就業規定に掲載された副業禁止事項であっても、副業禁止が認められない場合については、厚生労働省が新しく出した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によって整理されています。そして副業禁止が認められるケースとして3つのポイントが明示されています。

本業務への影響

1つ目のポイントは「本業務への影響」があるかどうかです。本業のない余暇の時間内で、副業に従事する時間が長時間に及んだりしていないかどうか、本業までに最低限の休息時間が取れるかなどがポイントです。

体力的にものに従事することで充分に休息や睡眠が取ることが出来ず、疲れが残った状態で本業に従事すれば本業がおろそかになります。本業への影響が出る恐れのある場合、就業規則上の副業禁止事項やそれに倣った解雇などの懲戒は有効と認められることになります。

本業務との競合

副業として従事する先が、同業他社など競合する立場にあり、本業との競合となれば直接仕事が奪われるほか、本業における機密事項やその他本業を毀損する知見が流用される恐れがある場合も考えられます。この場合もまた、就業規則上の副業禁止事項と、それによってくだされる懲戒も有効と認められることになります。

本業務への信用・ブランド毀損

従事する副業が公序良俗に反していたり、また本業との兼ね合いにおいてイメージ的に疑念を持たざるを得ないものである場合など、本業が持つ信用やブランドが毀損される恐れがあるとして、副業禁止事項とそれによる解雇などの懲罰も有効とされることがあります。

副業についての実際の裁判例ー禁止が認められた例ー

以上の副業禁止事項が認められることになり得る3つのポイント「本業務への影響」「本業務との競業」「本業務への信用・ブランド毀損」について、実際はどのように判断されているのでしょう。それぞれにおいて副業禁止事項への抵触が認められた判例を見ていきましょう。

本業務との競合

昭和47年の橋元運輸事件(名古屋地裁)は、同社の副社長が在任中に別の運輸会社を作り、社内の3人を誘って、新会社の取締役に就任させていたというものでした。3人は懲戒解雇となりましたが、1人は社員としての地位確認、残る2人は退職金の支払いを求め、起こした裁判です。

この裁判では、新会社の設立の企てに乗ったこと、また副社長が解任されたあとも、新会社の取締役に残り続けたことを事由に、懲戒解雇は妥当であるという判断が成されました。退職金については、それまでの長年に渡る従事と不信行為の程度が斟酌され、6割を越えて没収することは許されないという判断となりました。

本業務への影響・本業務への信用・ブランド毀損

昭和57年の小川建設事件(東京地判)では、解雇された従業員は、毎日勤務時間終了後の18〜24時の6時間に渡りキャバレーで副業として会計業などに従事していました。裁判では「余暇利用の範囲を越えている」とされ本業での労務提供に悪影響が出るということ、また、企業の対外的信用への毀損もありうるとして解雇は妥当とされる判例でした。

副業についての実際の裁判例ー禁止が認められなかった例ー

一方これら3つのポイントに触れるとみられるにも関わらず、就業規則上の副業禁止事項が適用されるとは認められなかった事例にはどのようなものがあるのでしょうか。こちらもまた判例を追いながら理解を深めていきましょう。

本業務への影響が認められない

平成24年のマンナ運輸事件(京都地判)は「副業の本業への影響が認められない」とされた判例でした。不合理な理由で副業が拒否されたことに対して初めて損害賠償請求が認められた判例だったのです。同社は社員に対して兼業を許可制にしており、この判例で申請した社員は副業としてのアルバイトの許可を都合4回求めていて、4回とも却下されていました。

最初の2回は「本業務への影響」があるとして長時間労働になることを事由に副業アルバイト却下は妥当とされましたが、3回目と4回目については、本業における休業日である週末の従事であることや、別業種であることから会社側の主張は認められず兼業アルバイト禁止は認められないという結審となりました。

本業務との競合が認められない

平成13年の十和田運輸事件(東京地判)は社員である運転手が年に1〜2回のみ貨物運送のアルバイトをしたことが、解雇の理由とされたものでした。ノートに記載されたアルバイトの記録を見て、充分に周知されていない就業規則に照らし合わせ形式的に懲戒解雇したものでした。

アルバイトの回数は年に1〜2回と本業に影響されると考えられない軽微な内容であること、就業規則の周知が充分にされておらず、社員はアルバイトの許可、もしくは黙認があったと認識していたことから、裁判の結果、懲戒解雇のみならず普通解雇も認められないという判例となりました。

本業務への信用・ブランド毀損が認められない

平成19年の東京都私立大学教授懲戒解雇事件(東京地裁)では、大学教授がしばしば代講や休講を利用し、副業として語学学校の講師や、語学講座の経営、通訳業などを行っていて、それを理由に懲戒解雇となっていたものを不当とする判例でした。

就業規則は「事業活動を円滑に遂行するに必要な限り」であり、「労働者の私生活に対する使用者の支配までを生ぜしめるものではない」として、私生活における兼業が労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度であるとして違反していないとされ、権限乱用を理由に大学教授としての信用失墜も問われていましたが、事実は認められないという結果が出ています。

まとめ

一般会社員の場合、副業は法律で禁止されているわけではないので、ばれたからといって必ずしも免職になるわけではありません。本業への影響の大きさによっては、処分が覆ることもあります。

しかし、一度問題になれば、後々本業先の中でわだかまりを残しかねません。副業が禁止されている場合は、許可を得られるよう交渉するようにしましょう。

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