副業の労働管理は自己責任
2018年に厚生労働省が『副業・兼業の促進に関するガイドライン』を定めて以降、多くの会社で副業を容認する動きが出ています。副業すれば『収入が増える』など、さまざまなメリットがありますが、不利益を被る可能性があることも忘れてはいけません。
これから副業に取り組む場合、どのような点に留意しておくべきなのでしょうか。労働者としてではなく、請負者として働いた場合を見てみましょう。
副業で労働時間が増える
副業に取り組む場合、労働時間を適切に管理する必要があります。
本業がある場合、勤務後または休日に副業に取り組むケースがほとんどでしょう。自身の休息時間やリフレッシュ時間が副業に当てられるため、仕事量やペースによっては十分な休息が取れない場合があります。これにより寝不足や体調不良になった場合は、集中力の低下やケアレスミスを招きかねません。
副業を行う際は過重労働に注意し、本業に支障が出ない範囲で行う必要があるでしょう。
副業は労災の対象外
請負契約や委任契約を結んで働く場合、怪我などをしても『労働者災害補償保険』の適用はありません。
労働者災害補償保険(以下労災保険)とは、業務中や通勤中に怪我や病気をした際に適用される保険給付制度です。業務・通勤に起因する怪我や病気で働けなくなった場合には『休業補償給付』『休業給付』があり、休業中の一定収入が保証されます。
労災保険は雇用形態にかかわらず、すべての労働者が対象となりますが、雇用主を持たない個人事業主やフリーランスは対象外です。
そのため副業中に怪我や病気をしても公的な保証は受けられず、治療は自己負担となります。この場合に本業を休んだとしても労災保険の対象ではないため、副収入を得るどころか本業の収入まで減らしてしまう可能性があるのです。
副業も責任感は不可欠
副業といえども契約を結んで働くからには、責任を持って仕事を終わらせる必要があります。特に請負者として働く場合、報酬は成果物と引き換えです。
納期が遅れたり、求められた結果を出せなかったりした場合は、契約違反として違約金等のペナルティが発生する可能性もあります。
自身は副業のつもりでも、クライアントには関係ありません。任された仕事には真摯に対応し、本業と同様の責任感を持って働く必要があるのです。
副業を始めると税金はどうなる?
副業で収入を得ると、場合によっては自身で申告し、税金を払わねばなりません。副業を始めた場合の税金について考察します。
確定申告が必要なケース
副業による年間所得が20万円を超えた場合は、確定申告が必要とされています。
年間所得とは、1月1日~12月31日までの総収入から該当する控除や必要経費を差し引いた金額を指します。たとえば一年の収入が200万円あったとしても、控除や必要経費が180万円を超えていれば所得は20万円以下となり、確定申告をする必要はありません。
ただし、副業で得た報酬がすでに源泉徴収済の場合は、申告によって払いすぎた税金が還付されるケースもあります。自身の状況をよく確認し、申告すべきか否かを判断しましょう。
副業の所得税の払い方
副業で確定申告を行う場合、まず必要なのは申告書です。これは税務署でももらえますが、国税庁の公式HPでダウンロードして入手できます。
確定申告書を入手したら、必要な金額を記入して提出しますが、控除や経費がある場合は、その事実が分かる書類も用意しておく必要があります。生命保険料の支払証明書などは、手元に準備しておきましょう。
申告書や書類の準備が整ったら、税務署窓口または郵送、e-tax(電子申告)で確定申告を行います。ここで確定した所得税は確定申告期間内に納付する必要があるため、なるべく早めに納めましょう。
下記は、国税庁が認める納付方法です。さまざまな方法が認められているので、やりやすい方法を選んで納付しましょう。
- 指定金融機関からの振替納税
- 電子納税
- クレジットカード
- コンビニ
- 窓口での現金納付
副業により住民税は増える?
住民税とは、都道府県及び市区町村に納付する税金です。所得税と同様に年間所得の合計を基準にして課税されるため、所得が増えれば納税額も高くなります。
ただし本業がある場合、住民税は給与から天引きされるのが一般的です。住民税が増えたからといって、別途に納付する必要はありません。
副業を始める前に確認しよう
厚生労働省が副業を容認するガイドラインを出したからといって、自身の勤めている会社が副業を認めているとは限りません。副業をスムーズに行うには、事前にどのようなことを確認しておくべきなのでしょうか。
会社への相談、申請が必要か
副業を始める前に、まずは自身の会社が副業を認めているかどうかの確認が必要です。
無断で副業を始めると、後で発覚した場合のリスクは大きくなります。副業を安易に考えず、必ず会社の意向を確認しましょう。
また、会社で副業が認められている場合でも、上司や会社に相談しておいた方が無難です。副業申請の提出を求められた場合は、詳細を記入して提出しましょう。
本業に支障が出ないか。副業のリスクを把握
副業のマイナスポイントとしてあげられるのは、気力・体力を本業以外で消耗してしまうことです。
『隙間時間を利用して働きたい』と考える人は多いでしょう。しかし、自己管理ができない人は、副業が隙間時間で収まらなくなり、やがては本業にも悪影響を及ぼします。
副業は本業ありきと承知し、無理のない範囲で行うのがベターです。
まとめ
副業は、始めようと思えばいつでも始められます。ただし、トラブルを避けるためには、会社の意向を確認したり税の知識を学んだりしておくことは必須でしょう。
加えて、副業による本業への影響についてもきちんと考えておかねばなりません。副業が負担になりすぎないよう、徹底した管理能力も必須です。
これから副業を始める人は、副業のあり方について、自身の考えを再確認することをおすすめします。