フリーランスから法人登記をするタイミングは?判断基準を紹介

フリーランスが法人登記するということは、『会社を設立する』ということです。フリーランスとして働く場合、どのタイミングで法人登記を考えればよいのでしょうか。法人化のメリットやデメリット、注意したいポイントについて紹介します。

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フリーランスと登記

登記とは、一定の事柄を法務局にある『登記簿』に記載すること、または記載そのものです。ある事柄を登記して一般に公開することで権利の在処が明確になり、事柄にかかる取引が安全かつ円滑に行えるというメリットがあります。

フリーランスと登記の必要性について考察します。

開業に登記は不要

フリーランスが『個人事業主』として開業届を提出する際は、登記の必要はありません。個人事業主になるには税務署に届け出るだけでよく、この手軽さが個人事業主になるメリットの1つと言えるでしょう。

ただし、個人事業主でも屋号・商号の名称や所在地・代表者の氏名などの登記は可能です。

登記によって事業を公的に認めてもらえば、社会的信用度が増す、というメリットがあります。一方、『登録免許税』がかかる、手続きが煩雑、というデメリットもあるため、どちらがよいかは一概には言えません。

個人事業主として登記を考える際は、メリット・デメリットを比較し、十分な検討をおすすめします。

法人化する場合、登記が必要になる

法人化する場合は、法人登記が必須です。

個人事業主とは異なり、法人登記は法律で義務づけられているため、未登記や登記の遅れはペナルティの対象となります。法人化を決めたら、なるべく早めに手続きしましょう。

申請方法については法務局に直接持参するほか、郵送やオンライン申請といった方法があります。持参あるいは郵送の場合、登記の完了までには7~10日ほど必要です。

榎本希

個人事業主の場合には税務署に開業届を提出し、所在地の税事務所に開業の届出書を提出するだけで開業が可能です。

そのため、登記は必要ありません。

登記が必要になる場面は商標登記をする場合や、法人化をする場合です。

主には法人化の場合ですが、法人化と一口に言っても株式会社・合同会社・合資会社・合名会社など会社の形態は4種類あります。

法人化するメリット

個人事業主が法人化を決めるのは、多くのケースで社会的信用度や税のメリットがかかわっています。個人事業主が法人化によって得られるメリットとは何なのでしょうか。

信用力が上がる

法人化する大きなメリットの1つが、社会的信用力が高まるという点です。

事業を法人化して一般に公開すれば、クライアントからの信頼を得やすくなります。中には法人としか取引しないという会社もあるため、新たな顧客確保も期待できるでしょう。

また、法人として社会的信用度が上がれば、金融機関からの信用も増します。融資を受ける必要がある場合など、資金調達が容易となるのは、法人固有のメリットです。

税制上有利

法人化による税制上のメリットには、以下のようなものがあります。

  • 法人税率
  • 所得の分配が可能
  • 経費の幅が広がる

法人に掛けられる『法人税』は、上限が23.2%です。(開始事業年度2018年4月1日以後)高額所得には最高で45%もの税率がかかる所得税と比較すると、所得額によっては、税負担はかなり少なくなります。

また、法人化すれば所得の分配が可能です。例えば4人家族の法人で1000万円の所得があった場合、所得を4等分すれば、1人あたりの所得額を250万円に抑えられます。これは、有益な節税対策となるでしょう。

さらに、個人事業主の経費が『事業にかかるもの』と厳密に限定される一方で、法人は企業活動にかかった費用のほとんどを経費(損金)として計上できます。節税のための手数が増えるのは、大きな魅力です。

榎本希

法人化のメリットとしてはやはり社会的信用が上がるという点が挙げられます。

例えば融資を受けたい場合など、個人事業主よりも法人化していた方が審査が通りやすいということもしばしばあります。

また、事業承継を行う際にも個人事業主の場合には廃業届を提出する必要があり、更に事業用の資産は贈与するケースがほとんどであるため、贈与税が発生する場合があります。

そのような点からも法人化した方がメリットはあるともいえます。

デメリットもある

法人化するとメリットが大きいとはいえ、当然デメリットもあります。法人化を検討する際は、デメリットについてもきちんと承知しておく必要があるでしょう。

法人化によるデメリットについて考察します。

設立手続きや経理処理が煩雑

法人として会社を設立するには、次のような手順を踏む必要があります。

  • 設立準備:商号など会社の基本情報を決める
  • 定款作成:会社の基本原則を作成する
  • 資本金の払込み・登記:資本金の払込みから2週間以内に登記申請を行う
  • 税務署への届出:『法人設立届出書』『青色申告の承認申請書』など

また、登記に備えて、以下の書類等を事前に揃えておかねばなりません。

  • 定款
  • 取締役の印鑑証明書
  • 会社実印
  • 発起人の決定書(決議書)
  • 就任承諾書
  • 払込み証明
  • 印鑑届出書
  • 印鑑カード交付申請書

踏むべき手順や揃えるべき書類が多く、会社設立にはかなりの時間と労力が必要となるでしょう。

さらに、法人化後の経理は、個人事業主の時よりも格段に複雑になります。特に毎月の社会保険料や源泉所得税の計算等の煩雑さには、頭を悩ませる人も多いです。

また、確定申告時の書類作成も厄介です。申告の根拠となる別表の作成も義務づけられているため、個人で経理を行うのは困難でしょう。

社会保険の加入必須

法人化すると、次の社会保険への加入が義務づけられます。保険料については給与の約30%が請求され、うち半分の約15%が会社負担です。これを月20万の社員が2人いると仮定して計算すると、以下のようになります。

  • 20万円×2=40万円
  • 40万円×30%=12万円

会社が負担するのは6万円ですが、実質12万円が毎月の社会保険料として請求されます。収入が多い時はよいですが、収入減の場合は、資金繰りが難しくなることもあるでしょう。

榎本希

個人事業主が法人化するデメリットとしては、法人化の際の手続の煩雑さと費用面がまず挙げられます。

法人化をする場合には定款作成や法人登記といったあまり馴染みのない複雑な手続が必要であるため、自分で行うのはなかなか難しい場合もあります。

また、法人化することにより日々の経理も個人事業主の時よりも複雑になりますので自分で行うのは難しく手間もかかります。

更に、社会保険への加入が義務となっているため、場合によっては社会保険料の負担が大きく節税対策のつもりが節税対策にならなかったというケースも存在します。

法人化の際には所得税面のみならずこのようなデメリットも踏まえて検討するようにしましょう。

法人登記の判断基準

個人事業主から法人として登記するには、タイミングを計らねばなりません。『法人登記する・しない』はどのように判断すべきなのでしょうか。

売上や利益が一定規模以上になった時

法人化を検討するべきタイミングは、売り上げや利益が増え、所得税と法人税の税率が逆転した時です。

法人税では800万円を超えた部分に関して一律で23.2%が課税される一方、所得税は『695万円を超え900万円以下』で23%、『900万円を超え1,800万円以下』で33%、と段階的に税率が高くなります。

そのため年収が一定額を超えると所得税率と法人税率が逆転し、法人税を納めた方が安くなるのです。

所得税と法人税は計算方法が異なるため、直接の比較は難しいですが、年収600万円に達したあたりから法人化の検討を始めてもよいでしょう。これは、実行税率ベースで考えた場合、このくらいの年収から税率の逆転が起こると考えられるためです。

資金調達をしたい時

前項でも述べましたが、事業資金が必要になった場合、個人事業主よりも法人の方が有利です。

個人事業主は、法人ほど厳密な会計処理が求められません。普段から簡易な帳簿しか残していないことは、銀行が融資を検討する際にマイナスに働くでしょう。

一方、法人の場合は損益計算書、貸借対照表等の作成が義務づけられています。銀行等はこれらを元に融資審査を適切に行えるため、融資を受けられる可能性が高いのです。

榎本希

法人化するかどうかの判断時期としては売上や所得が増えてきた頃や、事業の拡大を考えた際、資金調達をしたいと考えた際などが挙げられますが、法人化に適したタイミングはその事業や状況などによりケーズバイケースであるため、判断が難しい側面も大きいです。

1度法人化してしまった後にやはり個人事業主の方が良かったといった場合にも法人化した場合には解散の手続や費用がかかるため、簡単に個人事業主に戻せません。

そのため、自分での判断が難しい場合には専門家などの意見を聞いた上で法人化の判断をすることをオススメします。

まとめ

フリーランスが法人として登記すると、社会的信用や税制上のメリットがあります。ただし、実際に法人化する際は、社会保険料等の支払や税負担をしっかりシミュレーションし、「利益が出る」と判断できた時点で動くことが重要です。

法人化までには多くの時間や手間、資金が必要となるため、準備万端で望みましょう。

榎本希 [監修]

医療機関・医大の研究室にて長年勤務をした後、行政書士試験を受験。医療系許認可をメインに扱う行政書士として、行政書士のぞみ事務所を開業。再生医療関係の許認可・診療所開設・医療広告ガイドラインに基づく医療広告のチェック等の他、任意後見・契約書作成・起業支援を扱う。

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