FP資格を持つアプリエンジニアが解説する、副業で個人事業を開業するメリットと注意点

はじめまして。iOS/Androidエンジニアの阿部(@yutaabe200)と申します。

本職のiOS/Androidやその周辺の業務を行いつつ、副業では中小企業診断士やファイナンシャルプランニング技能士などの資格や経験を生かし、事業企画や資金調達など財務関連のファイナンシャルアドバイザーを行っています。

今回はFP技能士保有者として、これから副業を考えている方へ向けて、副業をする際に個人事業を開業するメリットと注意点を少し経験則も含めてお話しします。

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開業するメリット

まずは、開業を行う事によるメリットからご説明します。

事業所得として計上ができる

開業届を提出する際に「事業の概要」を記述することになります。そこに記載した「事業」に関する所得は全て事業所得として計上することができます。開業しない場合の雑所得と比べ経費として認められる範囲が事業を遂行する上で必要な経費という前提となります。

よって一般的に認めれられる範囲が広くなる為、その分所得を抑えることができるようになり結果として支払う所得税が減少することに繋がります。

専従者給与もしくは専従者控除を計上することができる

専従者とは、個人事業主と生計を共にしている配偶者や15歳以上の親族などで、1年の内6ヵ月以上(若しくは従事できる期間の半分以上)その事業に専ら従事している「家族従業員」のことを指します。

そして上記の条件と併せて青色申告では「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで専従者に対して支払った給与を「専従者給与」という勘定科目で経費計上することが認められています。一方で白色申告の場合は「専従者控除」という控除が定額で定められています。

例えば事業企画に関する業務委託契約の場合で事業全体の中でデザイン業務が必要になるケースがあり、その部分を専従者に別途作業を依頼したり(※)、個人事業の事務作業の一部を担ってもらったりするケースが考えられます。

その場合、作業量や工数に応じて専従者給与を支払うことが認められます。

(※)基本契約の時点でこの行為が再委託に抵触する可能性があるので、その点はクライアントとの契約や認識の調整が必須となります。

(※)また専従者給与全般やこれに関連する制度・法律に関しては後述する税法及び社会保険上との関連が発生しますので、詳細は国税庁及び各種加入している社会保険の第一次ソースをご確認の上、自己責任の上検討してください。

個人よりは社会的信用度がある

これは特殊な例かもしれませんが、私の場合は法人からの契約の他に独自開発した事業・プロダクトの売上も計上すべき金額として含まれています。その事業を遂行する上で他のフリーランスや副業の方に業務を一部委託するケースが発生しており、この際に個人事業として屋号がある場合の方が採用率が高いかと思われます。

また、より具体的に事業として見据えている場合、延長線上に法人化を考えている場合などに各種契約や資金調達、補助金・助成金なども可能な場合もあります。

屋号口座・クレジットカードを作成することができる

開業する・しないのいずれにしても一定額の収入が発生することで確定申告が必要になります。そして確定申告をする為に日頃から収支管理が必要となりますが、プライベート口座・クレジットカードと個人事業での口座・クレジットカードを分別することをおすすめします。

個人事業で税務調査が発生する多くの理由が公私混同している経費計上だと言われています。

エンジニアリングを事業として開業する場合、自宅とは別に事業所を分けない限り多くの方は自宅で作業・業務するかと思いますが、按分など一部公私の区別が疑われる可能性があるのが個人事業の注意点でもあります。

税務署に疑われるような煩雑な管理をしない為にも必要最低限は公私を分別する手段として開業した上で屋号口座・クレジットカードを開設し、プライベートの収支と物理的に区別して管理する方が良いでしょう。

法人化への足がかりになる

副業を一時的な生活の資金繰りの一部として考えるケースは当てはまらないかと思いますが、将来副業で独立した事業を考えたいなど、法人化する可能性がある場合は手続きや財務管理(帳簿管理や資金繰り)などの予行練習となります。

厳密には法人と個人事業では課せられる税金など異なる箇所は多々ありますが、個人事業を営む上で必要な財務関連をの知見を有しないで法人化するよりは、事前準備の一環としては良いかもしれません。

私自身も個人事業開業時には特に法人化する予定はありませんでしたが、累進課税で所得税を支払っていくよりも、税率が緩やかな法人税の方が最終的に支払う金額が減額されること、独自の事業が軌道に乗りつつあることなど、複数の観点を踏まえて法人化を検討している最中です。

また、具体的に法人化する意図がなかったとしても財務管理・資金調達など法人化した場合と類似したケースがありますので、そのような点を理解しておくといった観点では本業での業務等にいい影響をもたらすことも考えられます。

開業に関する注意点

次に、開業する事で起こりうる問題の注意点をご説明します。

事業所得として認定されないケース

当記事の想定している読者の多くはエンジニアの方であったり、エンジニアリングに関わる業種の方かと思います。

その方々の多くの場合は開業届の事業概要には「ソフトウェア開発・運用」などのような記載をされる方もいるかと思いますが、その場合に例えば有価証券・商品先物取引売買や不動産売買でなどで発生した場合は当然ですが、事業所得では認められることはありません。

その他にも事業の傍で趣味程度で発生したフリマアプリで発生した単発的な収入に関しても雑所得としてみなされます。

難しい線引き

一方で回答が難しいケースが主となる売上が業務委託費等で独自で開発したサービス・プロダクトで発生する収入・費用はどうでしょうか?

これに関しては士業の方でも意見が別れるところではありますが、基本的にそのサービス・プロダクトが事業として成立しているかどうか、収入が単発的であるか、継続的であるかで判断する方が危険性は低いです。

私の場合も独自で開発したアプリケーション・サービスでの収入が単発的であった期間はそれに発生した経費等の計上は念の為控えていました。ある程度の収入が継続化し、一般的に「事業」としてみなされると客観的に判断できた段階で広告宣伝費などを計上しています。

※これはあくまでも私個人のケースであること、収入と費用のバランスを考慮する必要があります。

扶養に関して

上述した専従者に関しての注意点が税法上と社会保険上での扶養控除・認定が受けれない場合があります。

税法上では配偶者もしくは扶養親族はそれぞれの控除額が認められており、一般的な会社員の場合年末調整時などでなじみがあるかと思います。これが専従者給与を受け取った扶養親族は扶養控除の対象外となります。

また社会保険の場合の被扶養者は収入要件や場合によって勤務時間・日数の要件が定められています。この点に関して加入している社会保険・健康保険組合によって異なるので事前に確認しておくことが良いでしょう。

赤字計上と各種審査

個人事業として営む中では確定申告時に赤字繰越を行うことがあるかと思います。業種によっては健全な事業の経営を行っている状況でもやむを得ない場合はありますが、エンジニアリング関連の業務委託を主な事業としている場合は、ほとんどのケースで発生しないかと思います。

その中でも何かしらの要因で赤字計上とする場合は各種ローンなどの審査に注意が必要です。本業での収入が安定していても副業を個人事業とする場合、その結果赤字計上となる場合は審査機関は「本業で得ている収入を個人事業で消費する恐れがある」と判断する可能性のケースも考慮しなければなりません。(※)

近い将来に住宅ローンなどの予定がある場合は、赤字繰越をする前に事前に専門家・税理士等にご相談する方がいいかもしれません。

(※)各種審査期間は審査基準を明確にしていませんので明確に100%影響があるということではなく、1つの可能性としてのケースです。

会計事務に関する知識が必要

根本的なお話しではありますが、個人事業として開業し青色申告で確定申告を行う際に必要最低限の会計に関する知識が必要となります。

会計事務などアウトソーシングする程売上があれば別ですが、多くの方はまずご自身で経験なさるかと思いますので、最低限でも日商簿記3級程度の知識を備えておくと安心かと思います。

最後に

以上が今回特にお話ししたかった個人事業を開業するメリットと注意点ですが、上述した内容はほんの一部にしか過ぎません。その他にも多くのメリットを享受できる場合もあれば、逆に注意が必要になるケースや場合によってはデメリットとなることもあります。

それは各々の状況や環境によって決まるものであり、全ての人に当てはまるサクセスケースは存在しません。開業をする際にはこれらの知識をある程度独自で調査し、可能であればご自身の状況や環境を前提に有識者に相談するなどの対応をおすすめします。

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