フリーランスエンジニアの年収とは
フリーランスエンジニアになると、どのくらいの年収を獲得できるのでしょうか。手取り年収の計算方法や、職種・年代により年収が異なることについても解説します。
平均年収について
当メディアが運営するエンジニアのための求人案件マッチングサイト「Offers」や、案件掲載サイト「OffersJobs」に掲載されている案件の実際の時給から年収を紐解いていきましょう。
圧倒的に高い水準となっているデータサイエンティスト、次いでEM、機械学習エンジニアと続いており、これらは5000〜10000円とかなり高い水準です。他のエンジニア職はいずれも基本的には2500〜5000円の水準にある事がわかります。
この数値を元にすると、週5日、1日8時間稼働すると年収平均はおよそ480万〜960万円であると言えます。
ただし、実際に得られる年収額は、本人の能力により左右されるのが実情です。高いスキルや豊富な経験があるほど、年収は高くなる傾向があります。
同じ業務内容であれば、会社員よりフリーランスのほうが報酬が高くなりやすいことも特徴です。独立行政法人情報処理推進機構の『IT人材白書2016』によると、フリーランスエンジニアの報酬が会社員の約2倍程度に達するケースもあることが分かります。
出典:IT人材白書2016 | 独立行政法人情報処理推進機構
手取り年収の計算方法
フリーランスは会社員と違い、税金や社会保険料を自分で支払わなければなりません。仕事で発生した費用も自分で負担する必要があります。
受注した案件の報酬から、税金・社会保険料・経費を差し引いて残った分が、フリーランスの手取り年収です。経理の面から考えれば、事業による売上から必要経費を差し引き、さらに個人の税金や保険料を差し引く形となります。
フリーランスが収入から差し引く税金の主な種類は、所得税・住民税・個人事業税・消費税です。社会保険料には、厚生年金保険料・国民健康保険料・介護保険料などが該当します。
職種や年代によって年収は異なる
エンジニアは日本の平均年収と比較しても高い水準にありますが、ポジションやスキル・経験によっても大きく左右されます。中でもデータサイエンティストはスキルを求められる代わりに、高単価な案件が豊富な傾向にあります。
また、システムエンジニアの平均年収は500万円で、平均月給は41万円です。年代別に見ていくと、50代前半が一番平均年収が高い事が分かりました。システムエンジニアの人口が減少傾向にあり、業界ではまだ需要が伸びていく職種であると言える為、倍率も高く給料アップのチャンスが豊富にある職であると言えます。
エンジニアはどのポジションも需要が高く、インターネットの普及や多方面のデジタル化によってIT業界の需要は今後も増していくと予測されるため、エンジニア初心者や未経験者がこれからスキルを身につけていくとしても、熱意がありどんどんスキルやノウハウを吸収していき、顧客に求められるようになればどんどん年収もアップしていけるでしょう。
フリーランスエンジニアになるメリット
フリーランスエンジニアになれば、以下に挙げるようなメリットを受けられるでしょう。どのような魅力があるのかを解説します。
案件・スキルによって高収入が期待できる
フリーランスエンジニアになる最大のメリットは、高収入を期待できることです。案件やスキルによっては、月単価が100万円を超えることも少なくありません。
報酬が高額になりやすい理由の一つに、クライアントから得られる報酬のほぼ全額を自分の収入にできることが挙げられます。マージンや管理費の発生機会が少ないため、基本的には会社員より高額です。
フリーランスエンジニアとして高収入を目指すためには、スキルを磨き実績を積み上げていくことが重要です。求められる能力を発揮できれば、市場価値に見合った報酬を得やすくなります。
自分で仕事を選べる
仕事の内容を自由に選べる点も、フリーランスエンジニアになるメリットの一つです。得意分野の案件から自分の好きな業務を選べるため、モチベーションが維持しやすく、やる気も出るでしょう。
会社員であれば、基本的には会社からの指示に従って動かなければなりません。やりたい仕事に携われたとしても、細かい部分まで自分の好きなように働くことは不可能です。
しかし、フリーランスエンジニアは、嫌な部分や苦手な部分がある仕事は基本的には避けられます。クライアントとの相性で案件を選ぶことも可能です。
人間関係の悩みが減る
フリーランスエンジニアになれば1人で働けるため、人間関係のストレスを軽減できます。同僚や上司と一緒に働くことによる悩みを抱えずに済むでしょう。
クライアントやチームメンバーとは関わる必要があるため、完全に1人で仕事をするわけではありません。しかし、他の人と同じ空間で過ごすことによるストレスからは解放されます。
人間関係の悩みを抱えながら会社員として働いている人にとっては、フリーランスエンジニアへの転身は大きなメリットになるでしょう。
フリーランスエンジニアになるデメリット
フリーランスエンジニアには、メリットだけでなくデメリットもあります。どのような点に注意しておかなければならないのかをチェックしておきましょう。
福利厚生・収入の保証がない
フリーランスエンジニアを目指す場合は、福利厚生がない点に注意が必要です。会社員なら会社が提供する福利厚生を受けられますが、フリーランスは働きやすい環境を自分で構築する必要があります。
収入の保証がないこともフリーランスエンジニアのデメリットです。一定の給料を毎月もらえる会社員と違い、フリーランスは月々の収入に大幅なばらつきが生じる可能性があります。
フリーランスへの転身当初にうまく仕事を見つけられなければ、収入がほとんどない月も発生しかねません。フリーランスは収入が安定しにくいことを意識しておきましょう。
税金・保険の全額負担
会社員の社会保険料は、会社と折半で支払われます。会社員自身が支払いに関する手続きを行う必要もありません。所得税や住民税も、会社が年末調整で手続きを行ってくれます。
しかし、フリーランスは税金や社会保険料を自分で支払わなければなりません。所得税や住民税は毎年確定申告を行わなければならず、保険料も所定の手続きが必要です。
雇用保険や労災保険にも基本的には加入できないため、万が一の際の備えを自分で考えておかなければならないでしょう。収入増に応じて税金が増えることにも注意が必要です。
社会的信用が低下する
会社員は企業の一員として認められている立場であるため、社会的信用を得やすくなります。一方、組織に属していないフリーランスエンジニアは、社会的信用が低めです。
安定収入が保証されていない点も、社会的信用が下がりやすい理由の一つといえます。住宅ローンやクレジットカードの審査も通りにくくなる可能性があります。
社会的信用を得づらいことは、仕事やプライベートにさまざまな悪影響を与える恐れがあります。会社員からの転身を検討する場合は、現状より社会的信用が低下する可能性がある事や、デメリットを伴う可能性についても慎重に考慮しましょう。
フリーランスエンジニアが年収を上げるコツ
職種に見合った年収を得られていないと感じるなら、以下に挙げる三つのポイントを意識してみましょう。年収アップを実現できるコツを紹介します。
ニーズの高いスキルを習得する
フリーランスエンジニアが年収を上げるためには、ニーズの高いスキルを積極的に習得することが重要です。求められる能力が発揮できないエンジニアに需要は集まらないでしょう。
ニーズの高いスキルを見極めるためには、常に業界へのアンテナを張っておかなければなりません。現在求められているスキルだけでなく、将来性の高いスキルを習得することも大切です。
今後の世の中には、IoTやAIの技術を用いた商品やサービスが広まっていくでしょう。これらの分野で活躍するためには何が必要なのかを考える必要があります。
営業力を高める
クライアントと上手に交渉を進める営業力も、フリーランスエンジニアに求められる能力です。営業力を高めることで年収アップにつながります。
高い営業力が効果を発揮する場面の一つに単価交渉が挙げられます。積み上げた実績や習得したスキルをうまくアピールできれば、単価交渉を成功に導きやすくなるでしょう。
新規案件を獲得する場面でも、高い営業力が必要です。経歴書やポートフォリオを充実させた上で積極的に自分を売り込めば、より高単価の案件を獲得しやすくなります。
難易度の高い資格を取得
今よりもさらに年収を上げたいなら、高難易度の資格取得にチャレンジするのもおすすめです。倍率が高い資格試験に通れば、アプローチできる案件の幅を広げられます。
難易度の高い資格を持っていることで、やる気の高さや継続力を評価されやすい点もポイントです。人間力をアピールできるため、より高単価の案件を獲得できるようになります。
最低限必要な条件やスキルセットを備えているだけでは、年収アップは望めないでしょう。同じ仕事量で、より多くの収入を得られるようにするためには、自分自身を一段階上に成長させる必要があります。
会社を辞める前にしておくべき準備
活躍できるフリーランスエンジニアになるために、会社員のうちから準備しておきたいことを紹介します。できる範囲で始めておきましょう。
縦・横の人脈作り
IT業界で会社員として働いているなら、会社の取引先と面識を持っていることもあるでしょう。退職前に人脈を作っておけば、独立後に仕事をもらえる可能性があります。
社内の同僚や上司とつながりを持っておくことも重要です。信頼関係が構築されている間柄なら、仕事を増やす人脈作りに役立てられます。
空いた時間を活用して、セミナーや勉強会にも積極的に参加しましょう。異業種交流会に顔を出しておけば、思わぬ業界からエンジニアの仕事が舞い込んでくる可能性もあります。
クレジットカードを作っておく
フリーランスになると信用力が低下するため、クレジットカードの審査に通りにくくなります。会社員のうちに個人用のクレジットカードを作成しておきましょう。
フリーランスになった後の経費をクレジットカードで支払えば、明細をまとめられるため経理が楽になります。支払いを翌月や翌々月に延ばせることから、資金繰りに役立てられる点も魅力です。
マイホームの購入予定がある場合は、住宅ローンの契約も会社員時代に結んでおくのがおすすめです。信用力を求められる手続きは、会社員時代に済ませておきましょう。
安定した案件を獲得する方法
フリーランスエンジニアとして安定的に案件を獲得し続ける方法について解説します。以下に挙げる方法を知っておけば、転身後の不安を軽減できるでしょう。
マッチングサービスを利用する
エンジニアの案件探しには、クラウドソーシングやエージェントなどのマッチングサービスを利用するのがおすすめです。案件が豊富にあるため、効率よく仕事を見つけられます。
クラウドソーシングは、初心者向けの案件が多いのが特徴です。気に入った案件を自分で探し、クライアントに自らアプローチする形で仕事を受注します。
一方、エージェントサービスに登録しておけば、自分のスキルや実績にマッチした案件をエージェントに探してもらえます。仕事を見つける時間がない人に向くサービスです。
知人からの紹介
IT系の企業で働いている知人がいるなら、案件を紹介してもらえないか聞いてみましょう。知人の紹介なら信用力が高まる上、コミュニケーションもとりやすくなります。
辞めた会社にアプローチしてみるのも一つの方法です。退職前に良好な人脈を築けていれば、退職後も業務委託の形で仕事を回してもらえる可能性があります。
以前勤めていた会社の取引先にも相談してみましょう。自分のスキルを理解してもらえているクライアントなら、スムーズに案件を獲得できます。ただし、在籍していた会社とのトラブルに発展しないよう注意が必要です。
企業・サイトに直接メールを送る
仲介サービスや知人を頼らずに、企業やサイトに直接アプローチする方法もあります。エンジニアを募集している企業やサイトに、メールを直接送ってみましょう。
エンジニアの募集情報を公開していない企業でも、メールを送ることで採用のプロセスに移れるケースがあります。気になる企業やサイトがあれば、積極的に自分を売り込んでみるのがおすすめです。
直営業で案件を獲得できれば、マッチングサービスで必要な手数料が発生しないため、高額報酬を期待できます。自分を売り込む際は、相手企業の情報もしっかりとチェックし、ニーズに応えられるか検証することが重要です。
まとめ
フリーランスエンジニアの年収は、職種や年代が違うと大きな差が生まれます。案件やスキルによっては高収入を期待できる点が特徴です。
フリーランスエンジニアになれれば、自分で仕事を選べることや人間関係の悩みが減ることなどのメリットを受けられます。スキルアップや人脈作りも意識しながら、活躍できるフリーランスエンジニアを目指してみましょう。