フリーランスデータアナリストの生存戦略。挫折を経て気づいた領域特化の重要性

「フリーランスには差別化、人脈、適した仕事の取り方が不可欠」と語るのは、マーケティングに特化したデータアナリストとしてフリーランスで活躍されている柳井さん(@mrtec_y)。

マーケティングに特化した背景には、過去の独立時の苦い経験がありました。今回は、柳井さんにマーケティングテクノロジストの仕事内容とフリーランスとしてのキャリアについてご紹介いただきます。

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マーケティングとデータを組み合わせたキャリア構築

はじめまして、フリーランスでマーケティングテクノロジストをしている、柳井(@mrtec_y)と申します。

独立は2回経験していて、期間は通算で10年ほどです。今回は、私の失敗談と、それを踏まえた現在のキャリア(マーケティングに特化したデータアナリストの仕事)をご紹介したいと想います。

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もともと、大学では統計学を学んでおり、データや数字を使うマーケティングに興味を持っていました。そのような背景もあり、アルバイトでサーバ構築などITインフラの寄りの仕事やデータベースマーケティングの仕事に従事します。

新卒では、デジタルマーケティング寄りの仕事をしたかったので、Webサービスの会社を選びました。社長室業務やサービス企画などに従事した後に独立し、コスプレ衣装販売とシステムの受託開発の会社を経営しました。

正直、事業は鳴かず飛ばずで、将来が見えていたというわけではありませんでした。東日本大震災があったこともあり、将来への不安が大きくなったことから就職します。

入社したWebサービスの会社では、再度デジタルマーケティングに従事します。そこでは、実装面でエンジニアの背景を活かしつつ、アクセス解析の場面でデータを扱う機会も増えるようになりました。

広告代理店でインターネット広告の運用なども経験した後に再度独立し、今にいたります。

このように形は変われど、ほぼ一貫してテクノロジーとマーケティングの間で仕事をしてきました。その経験を活かし、今ではさまざまな企業のデジタルマーケティング、デジタルトランスフォーメーションなどを、データの観点からお手伝いをしています。

データアナリストの実際の業務

最近の業務はデータまわりの仕事で、

  • 計測の設計・実装(CDPの構築、JavaScriptのタグ実装)
  • データ連携実装
  • 分析、機械学習を使った予測
  • 施策との連携実装(マーケティングオートメーション)
  • BIを実装することもある(ダッシュボード構築)

などになります。

具体的には、CDPからマーケティングオートメーションのツールに必要なデータを渡し、MAツール内でセグメントを作り、訪問者/見込み客ごとにカスタマイズしたコンテンツ配信をする、などがあります。

再独立した2014年くらいからデジタル業界全体でデータ志向が強くなってきたので、それに合わせてテクノロジー&マーケティングに加え、データ分析のバックグラウンドを引っ張り出して、業務の幅を広げるようになりました。

当時の私の知識は10年近く前の統計解析寄りのままだったので、新たに出てきた機械学習手法に触れてすごいなと感動したのを覚えています。

開発側とマーケティング実務側の視点の両方を持ち合わせていることを強みにしています。たとえば、一般的にデータの計測(タグ実装など)と分析は異なるスキルセットになるのですが、両方それなりに深いレベルでやるのが他の人にない強みだと思います。どんなレベルでやっているかはブログ見ていただければ雰囲気はわかるかもしれません。

marketechlabo

単発のプロジェクト案件もやりますし、長期のコンサルティング、実際に企業の中に常駐して一緒にいろいろな仕事を進めていくケースもあります。ほぼフルリモートの案件もあります。仕事の内容もそうですが、契約の形態も幅広いです。

このような仕事の仕方・内容になった背景には、最初の独立時の苦い経験があります。

1度目の独立で味わった挫折と学び

1度目の独立での失敗

最初の独立期間は4年ありましたが、独立してビジネスを継続するための準備が不十分でした。

  • 一般社会から見た強みを確立できていなかった
  • 世の中のニーズを捉えられていなかった
  • 人脈が乏しかった
  • クライアントワークをする際の仕事の取り方を意識していなかった(もともとコスプレ衣装販売をメインにしようとしていたところはあったのですが......)

2回目の独立で気をつけた点

2度目の独立時は以上を教訓として生かし、差別化、人脈、自分の強みを人に知ってもらうことを意識するようになりました。

  • 会社員時代の経験からニーズの探索:マーケティングとテクノロジーの間の橋渡しをする役割が今後一層求められるだろう
  • 差別化:マーケティング実務経験をバックグラウンドに持ったデータアナリスト
  • 人脈:Twitter/ブログでの発信、共感できる人・接点を見つける
  • 仕事の取り方:プロジェクト案件や特定の大案件への依存の抑制

私の場合は、開発経験とマーケティングの実務経験を持っていることが他のマーケティングやアナリストのフリーランスの方との違いでした。市場ニーズの高まりもあり、マーケ×データの領域に特化して、技術を習得し、案件実績を積んでいます。

仕事の取り方で特に気をつけていたこと

ニーズを察知し、それにアジャストすること。技術面でもそうですが、仕事の形態もそうです。プロジェクト案件の比率を抑え、常駐型の契約をある程度持つことである程度の安定を確保しました。開発・実装などのプロジェクト案件はプロジェクトが終了すると案件自体がなくなります。プロジェクト案件への依存度を下げることが安定につながります。

個人でも企業でも、一つの何か(仕事の内容、形態、案件、何でもよい)への依存度を上げすぎないことは重要だと思います。強みが削がれてしまっては意味がないですが。

フリーランスのデータアナリストとして意識しなければならないこと

R&Dの時間をコントロールして技術面のキャッチアップをする

新しい技術や知識が必要になるこの世界で、常に勉強・情報収集は必要です。そして実際に自分で実践して検証してみる、R&Dがないと使える知識になりません。

興味がないと継続は困難だと思います。もちろん興味だけでニーズのない方向の勉強をしていても仕事にはつながりません。そういう意味で私はテクノロジーへの興味と社会で求められることが一致していた点でラッキーでした。

フリーランスになると新しいことができない、過去の資産(自分の知識)を食いつぶすだけが悩みという声を聞くことがあります。放っておくとその傾向に陥るのは否定できないので、努めて新しい試みをしようとする意識と環境づくりは必要です。

企業が戦略的にR&Dに一定比率を投資することはありますが、フリーランスになれば個人単位でも意識しなければなりません。

正直、新しいことをやりたいのだったら会社勤めをお勧めします。そういう意味では「副業」というあり方は都合がいいかもしれません。完全にフリーランスになってそれを長年継続していくことは大変困難だと思います。一時的に調子が良くても、継続は難しい。それを最初の独立時に感じました。

ビジネス・事業への貢献を意識する

またビジネスへの興味も必要です。会社であれば個人としてビジネス自体の興味がなくても、やった取り組みをチームの中にビジネスと結びつける人がいれば十分機能するのです。しかしフリーランスの場合、自分の成果物がどのようにビジネスに貢献したのか、ある程度ビジネスを意識しないと案件になりません。

私の場合はそこでマーケティングへの興味が役に立っています。学生時代に勉強したマーケティングの考え方のベースはそのままデータ計測や分析の際のアイデアの方向性に生きています。カスタマージャーニー的な考え方、消費者は一人一人は違うなどという考え方は15年前からやっていたわけです。

ビジネス面での貢献で特に意識すること

ビジネス面では明らかに求められるもの(ニーズ)に対応することもそうですし、クライアントの思い(やりたいこと)が不明確な場合にそれを適切に明確化して要件に落とし込むことも重要です。

データを使って何をやりたいのか? 技術的には興味はあっても明らかにビジネス面で破たんしているものであれば断る勇気も必要です。

そしてクライアントのニーズを深堀り、業務は次第に広く深くしていく。既存得意領域から離れすぎず、徐々に領域を広げてニーズに合わせていく。仕事の枠をドラスティックに変えるというのは難しいと思いますし、実現できずに破たんします。

フリーランスの場合、よほど優秀な営業パートナーがいない限り、それらを含めて一人で担う必要があります。つまり自分でやるか、パートナーを見つけるか。パートナーを見つけるのも正解の一つです。

今後について

特に大きな目標があるわけではなく、まずは目の前の一つ一つの仕事に全力を尽くすこと。現時点ではたまたま興味とニーズが合っているので、あまり戦略を持たなくてもいいとは思っています。正直、5年後はわかりません。企業で株主がいるわけでもないので、そこは考えなくてもいいかなと。

今のところ組織化、スケールさせることはあまり考えていません。そしてフリーランスに対するこだわりもそんなにありません。面白い仕事(と見合った報酬)があれば舞台は問いません。

いろいろなことがマッチしてここまで来れたので、さまざまな機会を大切にする。継続するために興味は大切に。これを忘れないように生きていこうと思います。

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