Javaをとりまくトレンド
こんにちは、谷本 心 (@cero_t) です。
15年以上Javaエンジニアとして働いていて、2019年から2つの会社で正社員として所属しています。また、仕事のかたわらコミュニティ活動をしていて、関西Javaエンジニアの会を立ち上げたり、JJUG(日本Javaユーザーグループ)のリーダーを務めたりしています。
▲アメリカのサンフランシスコで毎年行われているJavaイベント「Oracle Code One」での登壇時の写真
今回のテーマは「副業」ですが、私自身はどちらかというと主/副をつけるというより複数の会社で働いているため「複業」という言葉を使うほうがぴったりきますね。ということで、今回はエンジニアの副業や複業について話をしたいと思います。
そもそも「Java」というと堅めのエンタープライズ案件で使われているイメージがあって、副業なんてチャラい(別にチャラくはないですが)ことなんてできなさそうと思われているかもしれません。
しかし、Javaを使っている現場でも副業で働ける会社は実はたくさんあります。
私自身が複数の会社で働こうと考えていた時、幾つかの会社とお話をさせていただきました。多くの会社は、パートタイムジョブとして働くことを認めていましたし、もちろん現在所属するEverforthもAcroquestも、パートタイムジョブとして働けるエンジニアも募集しています。
副業は技術の幅を広げる手段
Javaはここ数年アップデートがとても早くなっていて、半年に1度、新機能のリリースが行われます。また開発する際のフレームワークは、これまではSpring Bootの一強、あるいはJava EEが選択肢となるくらいでしたが、最近はMicronautやQuarkus、Helidonなど新しいものが次々に出てきています。
また、これはJavaに限った話ではありませんが、最近のシステム開発ではアプリケーション開発の知識があれば済むというものではありません。
例えば、下記のような多岐にわたる分野の知識が必要となってきました。
- クラウドプラットフォームの知識や理解
- CI/CDの構築
- 監視・可視化の整備
- パフォーマンス改善
- QA
このような状況では知識の幅を広げることと、その知識を継続してアップデートすることが求められます。そのために自分で学習することももちろんですが、現場で様々な技術やフレームワークを試すことも習得のきっかけとなります。
1つの会社であっても複数案件を掛け持ちすることはよくありますが、副業を持つというのも技術の幅を広げる手段になりうると思います。
▲JJUGのイベントの様子
また、Javaはコミュニティが強く、コミュニティイベントでも採用のためのブースが出展されていたり、懇親会などで仕事のお誘いを受けたりすることがよくあります。身近で副業をしている友人に聞いたところ、知人経由で仕事を打診されたとか、エージェント経由で依頼があったとか、きっかけは様々でしたが、いずれにせよJavaエンジニアの持つスキルセットを活かして副業ができる現場はたくさんあるようです。
複業を始めて気づいた変化とメリット
複数の企業で働くほうがコスパが良い
私はアーキテクトやコンサルタントの仕事をすることが多く、どちらかというと時間で成果を出すというよりも、自分の持っている知識を活かして成果を出すという形で働いています。
こういう知識集約型のような業務では、一つのプロジェクトや一つの会社だけで働くよりも、複数の会社で働いた方が会社としてのコストパフォーマンスが良くなるということを感じます。
たとえば外部のコンサルタントに依頼する際には、月に20時間だとか10インシデントだとかの限られた時間で依頼するものであって、フルタイムで160時間分の稼働をお願いすることってあまりないですよね。それと同じで、時間が短いほうがコストパフォーマンスが良くなりやすいのです。
また働く私自身も、複数の案件を並行し、傾向が異なる現場の課題を解決することにメリットを感じています。レガシーな現場とモダンな現場、規模が小さい現場と大規模な現場、それぞれに違う課題があり、銀の弾丸のような手法は存在しないからこそ、たくさんの現場を経験して知見を得ることで、自分自身のスキルを磨くことができると考えています。
時間の使い方が自由に
何よりも大きいなと思うのが、自身のキャリアや生き方を自由にできるようになった点ですね。現在は2社で働いていますが、状況によって稼働時間を増やしたり減らしたりしています。
最近は週5で働いていますが、少ないときは週3しか働かない時期もありました。別に体調を崩したとかではなく、他にやりたいことがあったから、その時期は仕事の量を減らしていたのです。例えば以下のようなことをしていました。
- 新作の対戦格闘ゲームのコミュニティを作って対戦会を開く
- BABYMETALの海外ツアーが始まったからいくつか追いかける
- 海外の技術イベントをはしごする
- 国内のコミュニティで登壇行脚をする
そうやって趣味、というか、自分の人生に取って意義深いことをしたい時に、仕事とのバランスを取るのが難しくなるのですよね。そんな時に、一時的に仕事の稼働を減らして自分の時間に没頭した後、仕事の稼働を元に戻す、ということをするようになりました。
▲海外の格闘ゲーム大会の表彰式。惜しくも優勝を逃しましたが表彰台は日本人で独占
▲アメリカのオークランドで定期的に行われているeスポーツイベント。日本よりも規模が大きい
こんな生き方をしているのは私だけではありません。私の勤める会社の片方であるEverforthでは、本当に様々な、「自分にとって意義深いこと」を続けながら働く人がいます。
- 演劇を主軸にしながら働く人
- 一度社会に出たあとに大学院に戻って哲学を学びながら働く人
- 芸能関連の仕事をしながら働いて、紅白歌合戦に出演して同僚を驚かせる人
そうやって自分の思うように生きている人たちをたくさん見ると、複数の会社で働くことはもはや珍しいことではなくなっているのだと感じています。
もちろん誰しもがそんな生き方をできるわけではないですし、そもそも万人に向いているわけでもありません。
ただ、自分の生き方を追求したい人にはこういう働き方が向いているのだなと思います。
採用側としても不確実性を低減するメリットあり
また採用する側としても、業務委託やパートタイムジョブとしてエンジニアを採用することにはメリットがあります。優秀なエンジニアに短時間でも手伝ってもらえるという実利面もさることながら、フルタイムのメンバーとして採用する前のお試し期間としても有用なのです。
いくら面談やテストをしても、本当に組織にフィットするのか、技術的に成果が出るのかは確信できません。であれば、まずはパートタイムジョブで始めてみて、お互いにフィットするようであればフルタイムに移行し、そうでなければパートタイムに留めるなり契約を終了すれば良いのです。
不確実な面談やテストを続け、運任せで採用するよりも、一緒に働いてみるという形式の方がよほど効率的だと私は思っています。
今後始めたい「レンタルすべる人」
最近はいわゆる「新しい生活様式」にあわせて、IT業界ではリモートワーク中心で働くエンジニアが増えています。通勤やオフィスでの拘束時間が無くなったり、インターネットを介した仕事が増えたりすることで、新しい仕事をする機会になるとにらんでいます。
そんな状況に合わせて、私は新しい副業様式として「レンタルすべる人」を始めようとしています。
レンタルすべる人
・5万円/月で御社のSlackに常駐します
・すべる以外にも技術的な質問に答えます
ってやれば、ビジネスとして成り立つのではないか?
— 谷本 心 / CERO-METAL (@cero_t) July 16, 2020
残念ながら全く引き合いはないのですが、というかこんなフザケタ内容で引き合いがあるはずもないのですが、これは平たく言えばSlackなどオンラインでの参画を前提とした技術サポートです。これまでも「技術顧問」みたいな話はよく耳にしますが、ひとかどの人物でなければ出来ないことですし、それに見合った報酬を設定しなくてはならず、なかなか簡単には意思決定もできません。
これをもう少し敷居を下げて始めやすい形式でできればと考えて、オンラインのみでの参画という形に至りました。
たくさんの現場に少しずつ参画することで、多くのクライアントのお役に立つことができますし、私自身も色々な現場での経験を積み上げることができます。これが新しい時代の副業の形式として成り立つのではないかなと思っています。そんな想いがこもった「レンタルすべる人」に、ぜひお声がけください(笑)。
▲日本のデブサミでの登壇の様子
自分の好きなように生きる人が一人でも増えますように
私自身、2社で働き始める前には、自分にそんなことができるのだろうか、とか、様々な制度や法律上で厄介なことがあるのではないか、などと思い、二の足を踏んでいたところはありました。
そもそも、副業をしたいという人の9割くらいは収入を増やすことが主目的だと思うのですが、そのために本業を週5で働きつつ、追加で働くと労働基準法的には残業扱いになります。少々面倒にも感じるのですが、従業員を守るためにそのようなルールになっているようです。
これを見直そうという動きもあるようですが、現状ではこの辺りを無視してこっそり働くことはグレー(いやブラック)でしょう。その辺りはよく相談をして、私のように合計で週5日の稼働に押さえるなり、本業以外を個人事業主にするなり、適切な方法を選べば良いと思います。
モヤモヤと思い悩むより、思い切って飛び込んでみて、ダメだったら戻す。それくらいの気持ちで始めても良いでしょう。
私は、そうやって自分の好きなように生きる人が一人でも増えれば良いなと願っています。機会があったら、一緒に働きましょう!