ITフリーランスのメリット・デメリット

IT業界は、他の業界に比べて個人事業主としてフリーランスで活躍する人が多い業界です。フリーランスで働く場合は、どのようなメリット・デメリットがあるのか、見ていきましょう。
メリット
IT業界で、フリーランスとして働く大きなメリットは、下記の2点だといわれています。
会社員より年収は高め
多くのエンジニアが、フリーランスを志す理由の1つは『収入が増える』ことです。
フリーランスになれば、仕事の案件や1件当たりの価格の決定権を持つのは自分です。また、仕事や仕事上必要な勉強や交際にかかるお金を、経費として計上し節税が可能なため、会社員時代に比べて手取り収入が増える人が多い傾向にあります。
収入が増えればモチベーションにもつながり、高いモチベーションが仕事の質の向上にもつながるでしょう。
在宅勤務など自由なライフスタイルに
フリーランスの最大のメリットともいえるのは、勤務時間や勤務地も自分に裁量があるためライフスタイルに沿った仕事の進め方ができるという点です。
集中力の高い時間帯が夜中や早朝の人、自室やカフェで作業するのが好きな人は、自分に最適な労働環境で効率的に仕事ができるでしょう。
また子育て中の人や、体調がすぐれない人なども家族や自身の状況によって働き方を選択でき、ライフバランスを保ちやすいといえます。
デメリット
収入が増えたり、比較的自由度が高いフリーランスのエンジニアですが、デメリットも覚悟しておいたほうがよいでしょう。リスクヘッジのためにも、主なデメリットを確認しましょう。
安定した収入が望めない
フリーランスには、安定した『基本給』がありません。そのため、多くのフリーランスで働く人には『先行きがわからない』といった不安がつきものです。また、病気やけがなどで働けない期間は『収入が0円』となり、さらには定期的にこなしていた案件自体が自分の手を離れてしまう、といった危険性もあるでしょう。
月収が低い時や体調面に心配があったり、案件の量が十分でなかったりした時に、不安やモチベーションとどう向き合っていけるかが鍵といえるかもしれません。
失敗などもすべて自己責任
個人事業主としてフリーランスで働くと、仕事の出来や金銭面の管理、営業・交渉まで自分で責任を持つ必要があります。
もちろん失敗や問題を抱えたときも、自分に代わって矢面に立ってくれる人はおらず、すべて自分で負わなくてはなりません。
また、会社員であれば、今後求められる知識や技術、その勉強に関わる費用・時間を準備してくれる企業もあります。しかし、フリーランスは自らの努力で同等の知識や技術を身につけることが必要です。
こうしたことから、モチベーションや金銭、リスクの管理が得意な人がフリーランス向いているといえるでしょう。
ITフリーランスの案件取得方法

リスク管理の側面から見て、仕事の案件は複数の依頼主から受けるのがおすすめです。続いてはIT業界のフリーランスが案件を取得する方法についてまとめました。
自分の持つネットワークから
フリーランスで働くと決めたら、知人や過去の就労先で関わりのあった企業に独立することを知らせましょう。すでに一緒に仕事をした経験などのつながりがあれば、双方にとってやりやすいといえ、受注を受ける可能性も高いです。
また、自分が持つネットワークであれば、相手がどのような人材や技術を欲しているのか、どういった知識が必要なのかを見極めることができます。自分の価値を高める努力やプレゼンテーションにもつながるでしょう。
さらに報酬としていくらくらい支払ってもらえるのかも予想可能なため、案件1つに対して価格交渉もしやすい傾向にあります。
ただし、人間関係や報酬の額や受取時期の交渉がうまくいかなかった場合など煩わしさを感じる人も少なくありません。そうした場合にはフリーランスの紹介エージェントを利用するというのも手です。
紹介エージェントを利用
紹介エージェントには、多くの案件が寄せられるため、単価も高く、豊富な案件や依頼主の中から、自分の志向に合ったものを選択できます。
また、エージェントを介すことで、報酬の交渉を代行してもらえたり、自分が得意な案件だけを集めたりすることができるため、時間の短縮にもなります。
自分一人では交渉できない大手企業や遠方の企業も紹介してもらえる可能性があるので、仕事の幅やネットワークをさらに広げることにもつながるでしょう。
豊富な案件を目にすることで、自分の強みや今後収入を上げるために必要な知識や技術を見極めること、人材市場の動きを読むことにもつながります。
ただし、紹介エージェントを通すことでクライアントと意思疎通が複雑になったり、同じような案件しかトライできなかったりといったデメリットもあるようです。紹介エージェントを利用する場合にも、自分の手で仕事の幅を広げる努力が必要かもしれません。
50代からITフリーランスを目指すなら

会社員として50代を迎えると、老後の収入面での心配や、仕事上での責任が格段に増えることなどから、フリーランスに転向したいと考える人は年々多くなっています。
50代からフリーランスとして働くにはどういったことが必要なのか見ていきましょう。
経験やスキルを活かして
フリーランスには定年がないため、経験やスキルがあれば何歳になっても仕事が続けられます。
50代以降ではフリーランスであっても、プロジェクトの進行管理、遂行能力など社会的経験やスキルが求められます。40代後半~50代まで会社員として働き、マネージメントや企画などの実績がある人は、十分にフリーランスとして活躍することができるでしょう。
ただし、IT業界では求められる知識や技術が日々アップデートされるため、50代以降であっても自分を向上させる努力が必要です。新しいものを受け入れていく柔軟な姿勢が会社員として50代を過ごすより求められるといえます。
その他の確認すること

IT業界でフリーランスとして働くには、メリット・デメリットをよく知っておくことや、案件の受注方法のほかにも重要な確認事項があります。
屋号の届け出について
屋号は、法人でいう『会社名』のようなもので、ITフリーランスにおいて屋号とは、仕事上で使う、いわば『看板』や『ペンネーム』のようなものです。また屋号は複数持つことや後で変更することも可能です。
ITフリーランスには屋号が必ずしも必要なわけではありませんが、「○○デザイン」「××プログラミング」と業種を屋号に明記することで業務内容をわかりやすくしたり、また本名で活動するのに抵抗や不都合があったりする場合に便利です。屋号での銀行口座の開設や印鑑の作成もできます。
屋号の届け出は、税務署への『開業届の提出』の際に行うことが可能です。さらに、屋号を頻繁に使う場合には『商号登記』もできます。屋号の商号登記は法務局の管轄です。
経費率の目安
フリーランスとして働く前に、経費の目安を出しておきましょう。経費としてかかる金額自体よりも、「経費÷収入」で算出収できる経費の割合『経費率』を見ておくことが大切です。
ITフリーランスの場合、サービス業になるので、経費率は30~50%以下が妥当でしょう。ただし、ITフリーランスは、「何をどのくらい経費として計上するか」には個人差があります。
仕事上で購入したり、かかったりした金額以外は経費として認められません。経費として計上していても、それが収入につながっていない場合には、税務署で認められないこともあり、注意が必要です。
まとめ
IT業界でフリーランスで働くには、年収や自由度が上がる、といったメリットがある一方、収入や失敗などすべてが自己責任になるといったデメリットがあります。しかし、50代以降でも経験やスキルを活かして、会社員からフリーランスにチャレンジできる業種でもあります。
開業前に、案件を受けられるネットワークがあるか、屋号は必要か、経費の目安などの確認をしておきましょう。