フリーランス通訳者とは
フリーランス通訳者は特定の企業に属さずに、個々の仕事を請け負う通訳者を指します。エージェントに登録して仕事を斡旋してもらうのか、個人の人脈や営業活動で仕事を得るかはさまざまです。
フリーランス通訳者に求められるもの
フリーランスの通訳者に求められるものは、実にたくさんあります。
まずもっとも基本である語学力自体は、当然ながら相当高いレベルを要求されるのです。ネイティブな会話が聞き取れて理解できる能力が必要とされます。
語学力はなにも変換先の言語だけではありません。他言語の発言をより正確に細かいニュアンスも伝えるためには、日本語の国語力の高さもまた必要です。また、コミュニケーション能力や礼儀作法、国際マナーの知識もなければなりません。
さらには異文化や異なる習慣、風習に対する理解も欠かせない要素です。そしてクライアントが属する分野に関する専門知識も、ある程度持たないと通訳に支障をきたします。少なくとも基本的な専門用語はすべて押さえないといけません。
フリーランスは変換先の言語、日本語に関する語学力に加えて、その2つの言語圏の習慣や風習、クライアントの専門分野の知識を十分理解することが求められます。
フリーランス通訳者になるには
通訳者になるためには、語学に関して、高校大学の学習だけでは不十分です。外国語大学や外国語専門学校、大学の外国語学科などに通うか、大学を卒業したのちに働きながら通訳者の養成スクールに通う必要があります。
特に通訳者は語学もさることながら特殊なスキルが必要です。語学だけではカバーできないスキルを養うため、最近の傾向としては通訳者養成スクールが注目されています。また、異言語と異文化に親しむために留学をするのも、通訳者を目指す人にはよい経験になることは間違いありません。
通訳の仕事は大きく3つに分けられる
通訳の仕事は大きく分けて、3種類に分類できます。同時通訳、逐次通訳、そしてウィスパリングです。それぞれシチュエーションが異なり、当然ながら通訳の仕方も変わります。どのように違いがあるのでしょう?それぞれを具体的に見ていきましょう。
同時通訳
通訳の仕事の中でも、最上級のスキルが必要とされるのがこの同時通訳です。話し手の発言を瞬時に理解して通訳し、日本語で(逆もあります)伝えなければなりません。
高度な語学力や対象分野の専門知識もさることながら、凄まじい集中力も必要です。長時間続けるのは不可能なほどで、たいてい15分ほどで待機している通訳者と交代します。休憩を入れなければできないような、相当な精神的重労働ということです。
用途は衛星中継の同時通訳や国際会議、国際的な講演会などです。同時通訳ができる通訳者というのは、この業界の中では花形に位置づけられるほどの高いスキルが証明されていることになります。
逐次通訳
逐次通訳は話し手がキリがついて話し終わるまでの内容を、その直後に訳して伝える仕事です。同時通訳よりは少し余裕があるので、メモを取ったりして整理して訳せます。もちろんその分、より一層正確な翻訳が要求されるのです。
専門的なことがテーマである場合が多いのも特徴になります。海外の専門家が集う小規模の会議や記者会見、インタビューなどでよく見られる手法です。
ウィスパリング
ウィスパリングは聞き手の傍らで、話の内容を訳して耳元でささやくように伝える手法なので、この名前が付けられました。別室でモニターが聞けるようにするなどの準備も特に必要がなく、手軽に使える手法です。
比較的小規模な会議や、海外製品のプレゼンないし商談等のビジネスの現場でよく使われます。場合によってはインタビューなどでも見受けられる手法です。
通訳者の仕事場所や料金相場、年収
通訳者が仕事をする場所としては、どのようなものがあるのでしょうか?またその料金相場や通訳者の年収事情を確認しておきましょう。
通訳者が活躍する場所
国際的な活動がおこなわれるあらゆる場所が、通訳者にとってのフィールドです。分野もビジネス・教育・研究・政治・文化・芸能など本当に多岐にわたると言えましょう。
国際舞台すべてが、通訳者の活躍の場といっても過言ではありません。
シチュエーション別に言えば、国際会議などでの通訳や、ビジネスの現場での通訳、海外の芸能人やアスリートの会見の通訳、日本を訪れた観光客を案内する通訳、海外の要人などに随行しての通訳などがあります。
フリーランス通訳者の報酬
企業に属する通訳者の場合は、多くの場合、年収400万円以上で、高ければ1000万円近い人もいるでしょう。フリーランスの場合はさまざまですが、時給で2000円から4000円ぐらいであることが多いです。年収にして300万円から600万円ほどです。
もちろんもっと高い収入の人もいるでしょう。特定分野の専門的な知識が深ければ重宝されます。当然それは高収入につながると言えるでしょう。
東京五輪で注目。フリーランス通訳案内士とは
2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、「通訳案内士」が注目を集めつつあります。通訳案内士とはどういう職業で、どのようにすればなれるのでしょうか?
通訳案内士になるには
通訳案内士になるためには国家試験を通らなければなりません。「独立行政法人 国際観光振興機構」が試験を実施しています。それに合格したうえで、都道府県に通訳案内士の届出をする必要があるのです。もしその資格がないのに通訳案内士と同じような仕事をしたら、「通訳案内士法」の規定によって罰せられます。
仕事内容と仕事の探し方
仕事の内容としては、ツアーで海外から日本を訪れた観光客のガイドをするのです。回る場所については何を聞かれても大丈夫なように、あらかじめ徹底的に情報を把握しておかなければなりません。
この仕事は求人情報などで見つけるのは難しいので、「全日本通訳案内士連盟」「日本観光通訳協会」などの団体に所属して、そこから通訳ガイドの仕事を斡旋してもらうのがもっとも手軽な方法です。
フリーランスの通訳案内士が得る報酬
通訳案内士の報酬はどのぐらいなのでしょうか?観光庁によれば通訳案内士で年収200万円以下の人が約半数ぐらいだということです。400万円を超える年収の人がほんの数パーセントと、収入面ではかなり厳しい仕事だと言えましょう。
通訳案内士は企業に属する人は少なく、ほとんどがフリーランスです。個々のツアー随行に対して報酬を受け取るパターンが多いと聞きます。経験豊富でスキルが高いベテランの案内士の中には、月に50~60万円を稼ぐ人もいます。
旅行会社から依頼される仕事の場合、1日8時間ツアーで1万5000円〜2万5000円が相場となります。スルーガイド(数日から数週間随行する長期の仕事)で1日2~3万円が相場となります。
以上はあくまで現状です。今後は2020年に東京五輪が控えていますし、観光がこの国の成長戦略の1つの柱とされているので、今後需要が増していき、収入も上がる可能性はあります。
まとめ
フリーランスの通訳者に関しての基本的な情報をまとめてみました。専門性が高い分、スキルアップが収入に結びつく魅力的な仕事とも言えるでしょう。フリーランス通訳者を目指す人は、これらの情報を独立のための参考として役立ててください。