企業も副業を解禁。働き方の多様化
以前は副業を始めるに当たって、会社の了解が取れるのかが重要なポイントとなっていました。多くの企業が副業を禁止していたためです。しかし近年では、大手会社を始めとして条件つきで副業を推奨する企業も増えてきています。2016年には、ロート製薬が副業解禁の制度を打ち出しました。
まずは副業OKか確認しよう
副業を始める前に、自分が勤めている会社の規則を確認しておきましょう。多くの場合、雇用を結んだ時にもらう契約書や、就業規則に記載されています。
特に規定を設けていない企業もありますが、その場合でも責任者への確認は必須です。状況によって、事前の相談があれば副業を認めてくれる会社もあります。
会社勤めをしている場合、本業をおろそかにしないことが重要です。支障が出ないと判断された場合は、許可が出る可能性もあります。
副業NGの場合は?
規則で副業NGが決まっている場合や、責任者に相談の結果許可がもらえない場合は副業はあきらめましょう。副業OKの企業に転職することも、ひとつの方法です。
会社が副業を禁止しているにもかかわらず副業を始めてしまうと、さまざまな問題が発生します。副業がバレてしまった場合に、減給や仕事を失うリスクがあることを考えておきましょう。
就業規則や規定で触れられていない場合、発覚するまでは特に問題なく副業を続けることができます。会社側が、禁止ではないが望ましくないと考えている場合は、副業が発覚した時点で何らかの通達があるでしょう。
会社には隠して副業をしたいと考える方も多いですが、税金の金額でバレてしまうこともあります。副業は、本業に支障が出ない形で始めることが大切です。
週2日副業する場合の社会保険や税金の知識
週5日は会社で働き、残りの週2日を副業に当てようと考えているなら、保険や税金について調べておく必要があります。2箇所以上で給与をもらう場合には、保険の加入方法や税金が複雑になるためです。
具体的にどのような仕組みになっているのか、社会保険と税金について説明します。
社会保険と労働保険
本業で、社会保険に加入している方も多いでしょう。社会保険は、加入条件を満たした企業のみ加入できます。
社会保険の加入条件は拡大していますが、週2日の副業で社会保険に加入することはほぼありません。社会保険の加入条件は、正社員の4分の3以上の勤務日数がある場合や、1週間の勤務時間が長い場合です。週2日の週だけではなく、シフト制で1ヶ月のトータル勤務日数が多い場合は状況によって変化します。
雇用保険と労災保険は、社会保険と条件が異なります。雇用保険は、主な収入を得ている会社が加入対象です。労災保険は両方の会社で加入しますが、従業員が支払うわけではありません。
週20時間以上働く場合
週20時間以上働く場合、社会保険の加入対象です。ただし加入義務があるわけではなく、会社の意向によって異なります。
2017年4月には、会社の規模にかかわらず社会保険の適用が認められるようになりました。社会保険に2箇所で加入しておくと、将来もらえる年金が増加します。
本業の厚生年金だけでは不安な人は、週20時間以上の副業を検討しても良いでしょう。本業の勤務日数、時間によっては難しいケースもありますが、厚生年金の半額分は会社が負担してくれます。
所得税について
副業をしている場合、どちらかの勤務先を『主な勤務先』に設定します。基本的には勤務日数や給与が多い方を選びますが、年末調整の書類を提出した勤務先が『主な勤務先』です。副業先では、本業よりも所得税の税額が高くなります。
所得税の徴収は甲欄と乙欄に分かれているためです。副業先では、乙欄に記載された所得税額が源泉徴収されます。
18年の乙欄課税割合は、給与の3.063%に設定されています。例えば、月収が8万8,000円~8万9,000円の場合は、課税額が3,200円です。一方、本業の場合(甲欄課税の場合)、月収が17万5,000円でも所得税は3,910円です。ただし、この所得税は一旦仮で徴収されているだけで、確定申告で支払いすぎた分が還付されます。
出典:国税庁|源泉徴収税額表
住民税について
住民税は、1箇所の勤務先で給与から引き落としされます。2箇所で働いている場合は、給与の多い方でまとめて引き落としされるケースが大半です。
申告した場合、給与からの天引きではなく自分で市区町村に支払う形にも変更できます。2つの会社で別々に住民税を天引きすることはできないため、注意が必要です。
住民税を給与から天引きした場合、自社給与分に対する住民税より高い金額が市区町村から会社へ通達されます。基本的には金額が通達されるだけですが、何らかの収入があったことは会社の給与担当者に知られる仕組みです。
副業選びのポイントと注意点
どんな副業を選ぶのかは、自分のスキルにもよります。また、今後の自分にとって、プラスになる副業を選ぶこともポイントです。勤務時間や内容など、家族の理解を得られる副業を選ぶことも考えておきましょう。具体的なポイントと注意点を紹介します。
自分のスキルを把握する
副業を考える場合、自分の得意な分野から選ぶのもひとつの方法です。本業の他に仕事をすることになれば、体力や時間的な都合も出てきます。
自分の好きなことを副業にすれば、ストレスも少なく給与アップをねらうことができるでしょう。保有している資格や、興味のある分野で副業を探してみましょう。
どんな仕事でスキルアップできるかを考える
自分のスキルアップのために、副業を決めるのもおすすめです。外国語の習得や新たな人脈の形成など、副業にはさまざまなメリットがあります。
本業に役立つ職業を副業にしても良いですし、自分磨きのために新たなジャンルに挑戦するのも良い選択です。単にお金を稼ぐだけでなく、今後の自分にとって役立つことを副業に選んでみましょう。
家族の理解
家族がいる人は、副業をする時に家族の理解も必要です。副業によって休みがなくなり、家族との時間が取れなくなるケースもあります。
また、在宅で仕事をする場合は集中できる環境も必要になるでしょう。無理に収入を増やすよりも、家族でゆったりと過ごすことを重視する家庭もあります。きちんと家族と相談した上で副業を決めることが、家族との関係を良好に保つ方法です。
副業するメリットとデメリット
副業をすることで、収入が増えるメリットがあります。それ以外にも副業のメリットは豊富です。どんなメリットがあるのか理解した上で、副業を始めましょう。また、副業にはデメリットもあります。ここではメリット・デメリットの双方を具体的に紹介します。
収入の増加と仕事の経験値向上
副業を始めることで、収入が増加します。本業の収入が減るわけではないため、一定の収入アップが目指せることが副業の大きなメリットです。
副業に時間を割くほど、収入はアップします。また、2種類の仕事をこなすことで経験値向上にもなるでしょう。本業だけでは得られない経験もできるため、スキルアップを目指すなら副業を始めてみることがおすすめです。本業で役立つスキルを得られる可能性もあります。
本業への支障や体調管理
副業の主なデメリットは、本業に支障が出ることです。無理なく両方の仕事をこなせれば良いですが、どうしても本業のみ行う場合と比べて勤務時間は長くなります。
本業が短時間勤務でかけもちをしようとしている場合や、残業がまったくない場合はそれほど体力は必要ないかもしれませんが、仕事時間を増やせば負担は増えるでしょう。仕事が終わった後、夜間に働く場合は翌日まで疲れが残ることもあります。
副業をする場合は体調管理もしっかり行い、本業に穴を開けないよう注意が必要です。特に、会社へ副業の許可を得ている場合、欠勤や遅刻が増えると副業が原因と捉えられかねません。
また、副業先と本業で出勤して欲しいシフトが重なると問題です。できるだけ、シフトや勤務時間が本業に影響しない副業を選ぶことが大切です。
まとめ
最近では、フルタイムで働く正社員の副業が認められる傾向もあり、副業を始める人が増えています。無理なく副業を始めるなら、週2程度の副業もおすすめです。週2の副業では社会保険のことを考える必要もなく、比較的気軽に副業を始められます。
所得税や住民税は、年末調整や確定申告をしておきましょう。勤務先で副業が認められているなら、スキルアップや収入アップのために副業を検討してみてはいかがでしょうか。